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村人転生~最強のスローライフ 作者:タカハシあん
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465/992

465 なんだかな~

「うん?」

 隊商とわかれ、バリアルの街へと続く街道に入って二、三キロ。上空をメルヘン機が飛び越えて行った。

 ……やけに低空を飛んでんな……?

 三メートルも満たない飛行機であり、ゆっくり飛んでいるので、そう大きな音はしないが、それでもファンタジーな世界で出せる音ではねーのでつい意識が向いてしまうな……。

「ベーさん。前方一キロのところで魔物の群れに襲われている馬車がいるそうです」

 馬車の後方を守っていたタケルが声を上げた。

 ちなみにオレは荷車台で薬草を煎じています。ここ最近、薬草作りをしてなかったので調合とか配合とか忘れてきたので、その復習をしてたんだよ。

 腕の通信機を使ってないところを見ると、音声のみの通信を受けたようだ。

「そりゃ難儀なこった」

 オレのセリフにキョトンとなるタケルくん。どーしたん?

「あ、いや、助けに行かないんですか?」

「いかないよ。メンドーだし」

 これは別に薄情なことを言ってる訳じゃなく、魔物に襲われるなんて珍しいことじゃねーからだ。

「この魔物が当然のようにいる世界で旅は命懸けだ。なんの自衛手段を持たず、かつ、護衛もつけないアホは死んで当然。強者の餌食となれだ」

 前世の記憶と常識を持つタケルにしたら納得できないだろうが、ファンタジーの世界は超自己責任&理不尽だ。死ぬのが嫌なら常に備えろ、強くなれ、なんだよ。

「まあ、見捨てるのが嫌なら助けに行けばイイさ。この近辺ならゴブリンか狼、もしくはオークくらいなものだしな」

「…………」

 なにか言いたそうな顔でオレを見るタケル。そんな目で見られてもオレに人助けする義務も義理もねーぞ。

 どこの世界、どの時代でも強者が法であり、弱者は虐げられる存在だ。こればかりは世界の法と言っても過言じゃねー。それが嫌なら世界を変えろ、だ。

「タケル。ベーの言うことが正しいわよ。それに、護衛が冒険者なら下手な手出しはいざこざのもと。わかったのなら近付かない。助けを求められたら助ける。冒険者の暗黙の了解よ」

 と、フェリエが冒険者の流儀を付け足した。

「でもまあ、タケルの勉強にはイイか」

 強者の法は強者によって覆させられる。それを学ぶのもイイだろうよ。

「そうね。一度は経験しておくのもイイかもね。わたしも経験が欲しいし」

 トラブルは回避するものだが、回避してばかりでは経験が身に付かないしな。若いときの苦労は将来への投資。安く買えるなら見逃すな、だ。

 と、言うことで先を進むと、前方に豪奢な馬車が見えてきた。

 ……そっちか……。

 フェリエと同じく護衛系のトラブルかと思ってたが、貴族系のトラブルの方だった。

「しかし、黒狼とは、また珍しいのに襲われてんな」

 この近辺、と言うか、この大陸の狼は、灰色系であり、黒系は魔境や秘境と言った人のいない場所に生息する魔物なのだ。

「……魔物使いか?」

 親父殿からいるとは聞いてるし、黒狼を使った暗殺集団がいるとも聞いている。その類いか?

「タケル。ここから狙えるか?」

 距離にして二百メートル強。銃なら届くはずだ。

「さすがにおれの腕じゃ無理ですよ。遠すぎます」

 銃であろうと弓であろうと、狙撃は技術がいる。まだ素人域にいるタケルには無茶ぶりか。

「じゃあ、フェリエとタケル。突っ込め」

「イイの? 多分、領主関係の馬車よ。前に来たとき見たわ」

 ほぉう。領主関係、ね。それは好都合だ。

「構わん。助けてやれ」

 オレの考えはわからないだろうが、オレの性格はわかっているので苦笑を見せ、コユキを走らせた。

「タケルは無理せずフェリエの援護な」

「……は、はい……」

 緊張気味に頷くタケル。まあ、これが肉体での初戦闘。緊張するなと言う方が悪いか。

「お前の援護はオレがする。目の前の敵に集中しろ」

 ズボンのポケットから殺戮阿を出す。

「オレの絶対射程は百メートルだが、二百メートルまでならだいたいのところには当てられる。このようにな!」

 結界球を生み出し、殺戮阿で打つ。

 真っ直ぐ飛んで行く結界球は、騎士の背後から襲いかかろうとする黒狼を吹き飛ばした。

「ざっとこんなもんよ!」

 騎士の体格からして黒狼は虎サイズ。そんだけデカけりゃ外す方が難しいぜ。

「わ、わかりました! 行きます!」

 覚悟を決めたように大声を出してライゼンを走らせた。

 タケルの背中をしばし見送ったあと、荷車台に目を向けた。

「メルヘンズ。近くに人がいる反応はあるか?」

 タケルの支援のためについてきたメルヘンズ。たまに機体カラーが代わることからして交代制のよーだ。

「北西方向、距離にして四百三十メートルに生体反応が二つ。熱量からして一つは人。もう一つは……鳥?」

「上空のラミーからの情報ではランバル鳥に酷似してるそうです」

 なんかいろいろ突っ込みてー光景ではあるが、メルヘン機人型バージョンは、動く鎧と脳内変換すれば辛うじて現実と向き合える。と無理矢理自分に言い聞かした。

「多少の傷は与えてイイから、殺さず捕まえてくれ。あと、他にも空を飛ぶ魔物がいないとは限らねー。全機で当たってくれや」

 荷車台に固定されているメルヘン機から歓喜のような気配が溢れ出てるのがわかる。

 ……まったく、メルヘンを相手すんのは疲れるぜ……。

 たまに息抜き(毒抜きか?)させねーと、こいつら山の魔物どころか空の魔物まで駆逐しかねー。昨日もいなくなったと思ったらゴブリンの群れを殲滅してたからな。山ごとよ……。

「第一リフトオフ!」

「第二リフトオフ!」

 荷車台の固定機が解除され、メルヘン機人型バージョンが大地に足をつけた。

「パーナ、行きまーす!」

「ナタリー、行きまーす!」

 機体の何十ヶ所もある噴射機が炎を噴き出し空へと上昇。三十メートルくらいのところで飛行機に変形。青い炎を噴射して飛んで行った。

「……なんだかな~」

 もうそうとしか言えねーよ、この状況……。 
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