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村人転生~最強のスローライフ 作者:タカハシあん
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375 トンデモ生物

 想像以上にアダガさんの腕は弱かった。

 アガダさんがそうなのかセイワ族がそうなのかわからんが、考えて打っているんじゃなく、反射的と言うかなんと言うか、後手の打ち方なのだ。

 たまたまかと、先手を打たせても四手、五手くらいてオレの打ちに合わせてくるのだ。

 考えてない、と言うよりは先を見ていないと言うべきか? 二手先でチェックメイトにできるナイトの動きを見ていない。ほら、チェックメイトになった。

「あ、また負けましたか。ベー様は強いですね。まったく歯が立ちませんよ」

「何度も言ってるが、ベーでイイよ。オレはあんたの上司でもなけりゃ、あんたを支配してる訳でもねーんだからよ」

 もっと雑に扱ってもらえる方が楽なんだがな。

「すみません。わかってはいるのですが、魔族は強い者に逆らえない生き物。どうしても強者に従ってしまうのですよ。これでも不遜な奴だと周りから言われるんですよ、わたし」

「まあ、無理にやれっては言わねーよ。アダガさんのやりたいようにやればイイさ」

「もう一回、やりますか?」

 四連敗なのにも関わらず、まったく悔しさが出ていない。それどころか楽しくてしょうがないって顔だ。

「アダガさんは、勝負を楽しむってより試合うのを楽しんでるって感じだな」

「そうですか? わたしとしては勝ちに行こうとはしてるんですがね。こう言う頭脳ぷれーができるゲームは俄然燃えます」

 あー考えながらやってたんだ。オレには考えるな、感じろ的に打っているのかと思ったよ。

 たまに、なんでそこに打つ? とか思ってたが、何手先を封じてたから勘がイイのかと思ってたよ。

「まあ、ゲームの楽しみ方は人それぞれだ、アダガさんの楽しいようにやればイイさ。んじゃ、あと一局やったら行くか。もうイイ時間だしな」

 なんだかんだで四時過ぎまでやっちまった。そろそろ行かんとな。

「はぁ~。楽しかったです。またやりましょうね」

「おう。楽しみにしてるよ」

 今度は碁を打つのもイイかもな。アダガさん、打ち方はアレだが、頭は悪くねー。ちゃんとオレの打ち方を覚えて対応している。多分、そのうち逆転するだろうが、オレは挑む方が好きなタイプであり敵が強い方が燃える。どんどん強くなってくれだ。

 チェス盤や駒を片付け、収納鞄からただの鞄を出してそれに仕舞い、アダガさんに差し出した。

「アダガさんにやるよ。オレが遊びに行ったときは、それでやろうぜ」

「よろしいのですか? かなり高級なもののようですが?」

 ほぉう。そう言う価値観はあんだ。魔族の暮らしも世俗的なのかな?

「友好の印だ。初めて、ではねーが、遊び相手は多い方が楽しい。アダガさんとの勝負、スゲー楽しかったわ」

 嘘偽りのない思いだ。

「……あなたと言う方は……」

 苦笑いをするアダガさんに、ニヤっと笑い、背を向けてホテルをあとにした。

 後ろからアダガさんが着いてくるのを感じながら広場へとやってきた。

 四時を過ぎているのでほとんどが店仕舞い。女衆の姿もない。開いているのは気まぐれ屋広場店とサプルの店ぐらいだ。

 隊商の連中も夜営の準備や片付けをやっている。つーか、なんで普通に活動してんだ、こいつら? あの鬼巌城が見えねーのか?

「鬼巌城、なんか魔法的魔術的なもんが施されてんのか?」

 アダガさんに尋ねてみる。

「良くはわかりませんが、許可を得た者でなければ見えないようです。わたしらもある一定の距離を開けると見えません」

 よーわからん不思議設定だな。

 まあ、見えてねーのならそれでイイし、ホテルはカイナの領分。オレがどうこう言うつもりはねーよ。

 さて。あんちゃんはどこだ? 

 なにやってるか知らんが、仕事がねーからと言って休みにするあんちゃんではねーから、多分、広場を回って情報収集してるはずだ。

 どこだと見回すと、気まぐれ屋広場店の前で茶している姿を発見した。

「随分ゆっくりしてんな?」

 このあんちゃんも働いてないと死んじゃう病の人だからな。

「まーな。あの城を飲み込むために心を落ち着かせていたよ」

 おや。あんちゃんには見えてんだ。ほんと、カイナの不思議設定はよーわからんな。

「で、飲み込めたのかい?」

「ああ。飲み込めた。もうなんでもこいって感じだよ」

 それで、乾いた笑みじゃなけりゃあ、もう一段階上の世界に行けんだろうがな。

「なら、あんちゃんの仲間を紹介するよ。これ、アガダさん。魔族領からのものを仕入れてくれる商人だ」

「そうか。よろしくな、アガダさん」

「ふふ。さすがベー様を相手にしている商人ですね。忌避感はなしですか」

「人魚だろうが魔族だろうがベーの前では霞む存在さ。こいつが一番のトンデモ生物だからな」

 なんか二人の間になにかが生まれたのか、スゲーイイ笑顔を浮かべながら、がっちりと握手した。

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