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村人転生~最強のスローライフ 作者:タカハシあん
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369 しばらくお待ちください

 なんだかお通夜のような昼食がやっと終わった。

 元気を取り戻すための食事なのに、全員が肩を落とし、顔色が悪かった。

「飛竜、滋養強壮にイイはずなんだがな?」

「お前の話で疲労困憊だわ!」

 確かに、会長さんの突っ込みもキレがないな。つーか、オレの話、そんなにつまらなかったか?

「飛竜狩り、ガキどもには大ウケだったんだがな?」

 ベーおもしろーい! とか大好評で、よくせがまれるんだぜ。

「……お前は、前途ある子供になに非常識を植え付けてんだよ……」

「非常識って、ガキどもは竜退治とか好きだろう?」

 前世じゃ、オレも竜退治ゲームにハマったもんだぜ。

「いや、そりゃ子供は竜退治とか好きだろうが、お前の退治の仕方が妄想の域だわ! だいたいなんだよ、殲滅ノックって! 意味わからんわ! いや、わかんねーけど、非常識だってのはわかるわ!」

「んじゃ、今度、竜狩りに行くか? サプルとの約束も果たしてねーし、とある冒険者から竜の住む島があるって聞いたからよ」

 違う竜もどんな味するか気になるしな。

「行くか、アホが! わしゃ騎士でもなけりゃ勇者でもないわ! つーか、死ぬわ!」

「アハハ。大丈夫大丈夫。竜に食われても死なないように魔術でなんとかしてやるからよ」

 一度、食われてみて確認済みだぜ。

「そんな大丈夫いらねーよ! 肉体の前に精神が先に死ぬわ!」

「情けねーな。大商人の名が廃るぞ」

「竜に食われるくらいなら大商人なんぞ止めるわ! アホが!」

 なんて和気あいあいな雰囲気を出しながら広場へと着いた。

 ちなみに、ここまで馬車に乗ってきました。皆さん、元気がなかったからな。

 終盤に差し掛かっているので広場はそれほど混んではいない。だいたい、初めは中規模の隊商で、中は大規模隊商、終盤は小規模隊商や個人で動く行商人になってくる。

 オレとしては今頃くる行商人が楽しみだ。

 買う品は少ないが、大規模隊商のような主流なものではなく、各地にある工芸品や布、乾燥物など、珍しいものが手に入り、各地の話を聞ける。

 買うだけではなく、近隣の村から集まるものや各家の内職もの──街では必要がないが村での暮らしには必要なものを売ることもできるのだ。

「おっ、じいさん。まだしぶとく生きてたか」

 オカンの子供の頃から行商人兼冒険者をやってるじいさんで、一年をかけて各地を回っている変わり者だ。

「おう。運と健康が取り柄じゃからな」

 去年も同じことを言ったよーな気もするが、再会の挨拶としてはこれで充分。いや、いつもの挨拶ができることが幸いだろうよ。

「珍しいものは手に入ったかい?」

 これもいつものセリフであり、あったら買ってきてくれと頼んであるのだ。収納鞄と金を渡してな。

「ああ。お前さんが欲しがっていたザヤの種を持ってきたぞ」

「おっ。頼んでおいてなんだが、よく手に入ったな?」

 東南の方にある国で咲く花で、蜂の蜜として最高だと耳にしたので、あったら買えるだけ買ってくれと、頼んでおいたのだ。

「偶然にも東南からの隊商と会ってな、聞いたらあると言うんで、言われた通り買えるだけ買っといたよ」

 下げている収納鞄からザヤの種が詰まっているだろう小袋を出した。

「それで幾らなんだ?」

「聞いて驚け。これで銅貨五枚だとよ」

「マジか! 幾らなんでも安くねーか?」

 ザヤの蜜は国王の食べ物とか言ってたのによ。

「おう。わしも驚いたよ。お前さんから聞いてたから金貨を握り締めておったんじゃが、東南の隊商の話じゃ、ザヤは油をとるためのもんで、結構な量がとれるようじゃ」

「油か。そりゃ一粒で二度美味しいな」

 こりゃ、断然に買いだな。エリナのトコで育ててもらう一つに入れておこう。

「まあ、しばらくゆっくりして行けや。積もる話も聞きてーからよ」

「おう。お前さんのところでゆっくりして行くのが当然になっちまったからな」

 オレと知り合う前は集落に泊まっていたが、付き合いができてからは広場に泊まるようになったのだ。

 他にも付き合いのある行商人に声をかけながら王弟さんがいる場所に行ったら誰もいなかった。つーか、なにもなし、なんだが?

「どこ行ったんだ?」

 まあ、カイナが宿を用意すると言ってたから、そっちに移ったんだろうが、なんかメッセージくらい残しててくれや。

「……な、なあ、ベーよ。あれは、なんだ?」

 なんだい? と会長さんを見ると、なにか驚いた顔をしながら、やや上空の方に目を向けていた。

 なんやねんと、会長さんが見る方向に目を向けたら、なんかありえへんものがあった。

 目をゴシゴシ。頬をビンタ。うん、現実ですよ、おっかつあん。

「……城、だな……」

「ああ、城だな」

 会長さんの呟きに、オレは反射的に肯定した。

 剣と魔法の世界に、これってないくらい溶け込んでんのに、どうしてだか受け入れられないその風景。

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