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村人転生~最強のスローライフ 作者:タカハシあん
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313 アハハ、ウフフ

 店へと入る直前、なにか頭の中を稲妻が走った。

 なにがなんだかわからないが、オレの勘が危険だと叫んだのはわかった。

 考えるな、感じろな生き方をしていると、理屈は二の次。三の次。まず勘に従い退避しろである。

 直ぐに回れ右──したらねーちゃんらに逃げ道を塞がれた。

「どこ行くのかな~?」

 斥候系ねーちゃんが輝かんばかりの笑顔を見せながら迫ってくる。

 ならばと右に逃げようとしたら騎士系ねーちゃんが回り込んで立ち塞がった。

「…………」

 やたら迫力のある笑みに、後退ると、なにかに当たった。

 壊れた人形のようにギギギと首を回して振り向くと、これまたエエ笑顔の魔術師ねーちゃんがいた。

「……な、なんなの、でしょうか……?」

 なんかスゲー怖いんですけど? おしっこちびっちゃうよ、オレ。

「まあまあ」

「ほらほら」

「どっこいさ~」

 それはいったいなんの掛け声だよと突っ込めねーうちに店の中へと押し込まれてしまった。

 中にはフェリエとアリテラがいた。

 事実を端的に言ってみたのだが、股間がキュッとするのはなぜでしょう? 

「ワ、ワリーな、フェリエ。一人でやらせてよ」

 取り合えずなんか言って見る。気の利いたこと言えとの突っ込みはノーサンキュー。できるか、ボケ!!

「いつものこと。気にしなくて良いわよ」

 苦笑するフェリエだが、なぜか目が怖いデス。なんなの、いったい!?

「そ、そっか。もう遅いし、帰ってイイぞ」

「ベーも帰るの?」

 なぜか言葉が冷たいのデスが?

 明鏡止水(現実逃避)明鏡止水(現実逃避)。心を無にしろ、オレ!

「いや、オレはもう少しやってくよ。サプルの方が遅れてるからな、せめてオレの方は明日開かねーと隊商の連中が暴れっちまよ」

 困ったもんだと品出しを再開させる。

「で、アリテラはどーしたん?」

 可能なら見て見ぬふりしたいところが、それは悪手中の悪手。だからと言って好手は思い付かねーけどな……。

「いちゃ悪い?」

 前世の記憶と経験がなければ心が折れているだろう冷たい眼差しだが、今生のオレはイイ人生だったと言って死ぬと決めている。だからオレはオレの決めたルールを破る訳にはいかねー。オレはオレを貫くのだ。

 明鏡止水(現実逃避)はヤメだ。

 冷たい眼差しを真っ正面から受け止め、真っ直ぐとアリテラを見た。

 そんなオレの変化に気が付いたのか、動揺するアリテラだが、その目だけは逃さなかった。

「アリテラ。お前の心はお前だけのものだ。感情もお前のものだ。好きにしたらイイし、オレが口出すことじゃねー。だが、オレの心はオレのものだ。感情もオレのだ。誰にも侵害される気もねー。これは誰であろうと許さない。例えそれが友達だとしてもだ」

 人でもエルフでも感情のある生き物だ。感情をぶつけて生きている。別にそれが悪いとは言わねー。だが、感情を押し付けるなのだけは許すことはできねぇ。

 感情は過ぎたら毒だ。暴力だ。相手を捩じ伏せ、行動を、考えを、人格すら変えてしまう。

 それが人だ。弱肉強食な世界では縛ることのできない絶対ルールだ。否定する気はねーさ。

 だからと言って肯定する気もねー。それを認めたら前世の、逃げることが幸せだと思っちまう“俺”になる。またクソみてーな人生を送ってしまう。そんな人生を二度も経験してられっか! また経験するくらいならオレはここで『イイ人生だった!』と言って死んでやるよ。

「……ご、ごめんなさい……」

 幼子のように小さくなり、今にも泣きそうな表情を見せた。

「いや、オレも言い過ぎた。それはオレが知ってればイイことだったしな。アリテラには関係ねーことだったな。ワリー」

 素直にアリテラに謝った。

 オレもまだまだ甘い。覚悟が足りねー。もっと人生を楽しまねーとダメだな。

「ううん! わたしが悪かったんだからベーが謝らないで」

「なら、お互い様ってことで、なしにしようや」

 なんか恥ずかしいこと口走っちまった。なかったことにしてもらえるなら助かるよ。

「うん。そうしてもらえるなら助かるよ……」

 ってことで今のなし。入ったところからテイクツー。

「お、アリテラ。いたのか。どーしたん?」

 店の中に入ると、なにやら薄手のコートを羽織り、顔をさらしたアリテラがいた。

「へ?」

 なにやらキョトンとするアリテラさん。どーした?

「いや、ベーの切り換えの早さに戸惑ってるだけでしょう。まったく、その切り換えの早さは最──いえ、変態級なんだから」

「え? 言い変える意味がわからぬでござる!?」

 とかエリナ風に言って見たら、特大のため息をつかれてしまった。

「……まあ、いいわ。ベーはベーだものね」

 なにやらフェリエの中でオレの知らないオレが確立されたよーだ。まあ、どうでもイイけどさ。

「さあ、品出しを続けましょう。明日には開くんでしょう、お店?」

 オレの知らないところでオレの知らないフェリエが確立した感じ? まあ、それもイイけどよ。

「ああ。んじゃワリーが頼むわ。給金は弾むからよ」

「期待してるわ。あ、アリテラさん。暇なら手伝ってよ。一人でも多い方が良いでしょうしね」

 フェリエの提案(と言う名の命令)に否はねー。もう、この店の主はフェリエです。

「うん。手伝わせて」

 アリテラも否はねーようで笑顔で承諾した。

「──あ、ちょっと待て」

 と、二人に言い残して外に出る。

「ちょっとそこいるおねえさまたち」

 窓から中を覗いていた三人のおねえさまたちに声を掛けた。ちなみに結界で封じています。

「え、えーと、ちょっとした出来心なんです……」

「悪気はなかったの……」

「あ、そ、その、アリテラが……」

 アハハ、ウフフとねーちゃんたちに近付く。

「今夜は寝かせないぞっ☆」

 男のナイーブなハートを翻弄した罪、万死に値する。明日の朝まで品出しの刑デス!
二週間休みなし。仕事場と宿の行き来だけの毎日を楽しむために必要なもの、スマホ、タッチペン、脳内メモリー。そして、できたのがこの作品。だからどうしたとの突っ込みはノーサンキュー。ただ、よく続いてるな~と思っただけです。
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