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村人転生~最強のスローライフ 作者:タカハシあん
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297 男は幾つになってもダメの生き物

 家に急いで帰ってきたものの、まだ四時前。皆が帰ってくるには早い時間んだった。

 まあ、気持ちを落ち着かせるためにマ〇ダムタイム。って、山羊たちを小屋に入れんと!

 たった数日家を空けていただけなのに村での暮らしをすっかり忘れてやがるぜ。

 おじぃんちで草を食む山羊たちを小屋へと追い込み、庭でエサを啄む鶏たちを一匹一匹小屋の中に入れる。

「ふぅ~」

 いつもならつかない息を吐き、額に浮かんだ汗を腕で拭った。

 いかんな。体が鈍ってやがるぜ。村人として一から鍛えんとな、とか思うが、明日から隊商相手の商売。終わったらがんばります。

 ラムノや畑を見回っていると、トータとガブが帰ってき、続いてサプル、そしてオカンが帰ってきた。

 その頃には五時になり、夕食の準備が始まり、トータは風呂の準備。オカンはジャム作り。オレは明日の準備のために保存庫から商品を外に出す。

「ベー!」

 と、呼ばれて振り返ると、アリテラがいてねーちゃんらがいた。

 ……あ、いたな、そー言えば。すっかり忘れてたわ……。

 なんかスゲー久しぶりな感があるが、それはいつもの気のせい。気にすると、当たり前のような顔で帰りを迎えた。

「おう、ねーちゃんら。遅くまでご苦労さん。風呂沸いてるはずだからさっぱりしてきな」

 戦いがあったのか、ねーちゃんらの装備が汚れ、騎士系ねーちゃんの顔には返り血が付いていた。

「いつ帰ってたのよ?」

「昼くらいかな?」

 アリテラの詰問口調に自然と返した。こいつも寂しん坊だからな、いちいち反応すんのもメンドクセーわ。

「えーと、その頭にいるのは、なに?」

 と、魔術師系ねーちゃんがオレの頭にいるメルヘンを指差しながら問うてきた。

「ねーちゃんには見えんだ?」

「いや、見えない方がどうかしてるでしょう!」

「へ~。そうなんだ」

 まともに突っ込まれねーからプリッつあんは、心の清い人にしか見えねー存在かと思ってたよ。

「こいつは、プリッつあん。オレの頭の上の住人だ」

「はぁ?」

「住人?」

 なに言ってんのコイツ、見たいな目で見られるが、他人の目など構っていたら弱肉強食な世界でスローライフとか言ってらんねーよ。変人覚悟の生き様だ。

「まあ、王都でいろいろあってな、プリッつあんだけオレの頭の上に住み着いたんだよ」

「言ってる意味がさっぱりなんだけど」

「だろうな。オレも理解できるように言ってねーしな」

 王都でのことを語ったら一月は掛かる。ここでは語り尽くせねーよ。

「まあ、今度きたときに語ってやるよ。こっちも明日からの用意やら家庭事情やらで忙しいからよ」

 ねーちゃんらも隊商がくるまでの契約。旅の準備やら次の依頼やらを探さねーとならねーしな。

 ねーちゃんらにはワリーが、こっちも余裕がなくて付き合ってらんねぇんだよ。

 じゃあなとねーちゃんらに言って商品出しを再開させた。

 アリテラがなにか言いたそうにしてたが、友達より家族を優先させるのが今世のオレ。構わず背を向けた。

 だいたい六時半くらいになり、いつもの温かな夕食が始まる。

 おしゃべりな家族じゃないんで、会話が弾むことはないが、場に満ちた幸せが弾んでいるのがわかるくらいに楽しい夕食である。

 だいたい四十分くらいで夕食は終わり、それぞれの時間が始まる。

 商品出しはだいたい終わり、残りは前々から専用の収納鞄に入れてってある。なんで、気を落ち着かせるためにワラを編むことにした。

 ド田舎生活ではワラは結構使えるアイテムである。

 まあ、前世の日本(昔のな)ほど、便利アイテムと見られてないが、それでもワラ縄やワラたわし、ゴザに箕的なものと、ド田舎の夜には欠かせねーものだ。

 ちなみにこのファンタジーな世界では光る石があり、銀貨一枚と高めだが、魔力を込めると一生使えるので一家に一つか二つはあるのだ。夜も仕事ができるようにとな。

 なんて集中してたら九時を過ぎており、トータもサプルもいなくなっていた。ちなみにだがプリッつあんは、オレが創ってやった結界ベッドで暖炉の前で寝てるよ。

 我に返り、辺りを見回すと、オカンが編み物をしていた。

 ……ごーいんぐまいうぇ~いなオカンでもやっぱり母親。息子の様子が違うことに気付いたようだ……。

 オカンの気遣いがありがたいが、まだ心の準備が整っていないので立ち上がることができない。

 ……まったく、男は幾つになってもダメな生き物だぜ……。

 だが、避けては通れぬ道。根性だせ、だ。

 勇気を振り絞って立ち上がり、囲炉裏を挟んでオカンの前に座った。

「王都でザンバリーのおっちゃんに会ったよ」

 そう切り出した。
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