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村人転生~最強のスローライフ 作者:タカハシあん
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294 話がそれるのはいつものこと

 たった数日なのに、ドワーフのおっちゃんちがやけに生活感が出ていた。

 庭にら嫁さんの趣味か、小さな花壇と作り掛けの畑があった。

 選択干場には服が掛けてあり、砂場ではガブの下の弟……かと思ったら娘かよ!? まったく気が付かんかったわ!

 多分、サプルのお下がりだろう服をきるデンコの妹……って、名前知らねーや。あれ? 聞いたっけ? いや、聞いてねーよな?

 ま、まあ、聞いたところでガブの名前さえ出てこなかったんだからどっちでもイイわ。

「おう」

 そう呼び掛けると、デンコの妹が振り返った。

「とーちゃんかかーちゃんはいるかい?」

 うちのスーパー弟妹と違い、一般的三才児に通じるかはわからんが、オレの顔は覚えていたようで、逃げることはなかった。

「珍しいか?」

 デンコの妹の目線がオレの頭にいるプリッつあんに向けられいた。

 いたのかよ! って突っ込みは甘んじて受けよう。オレも『いたんだっけ!』とか思いましたから。

「これ、プリッつあんだ」

 と、紹介したらプリッつあんに耳をかじられた。

「プリッシュ。わたし、プリッシュ!」

「え、マジで!?」

 今知る驚愕の事実──ではねーな。そー言やぁそんな名前だったっけ。まあ、忘れてましたけどねっ。

「じゃあ、本名はプリッシュ。あだ名はプリッつあんだ。よろしくな」

 プリッつあんをつかみ、デンコの妹に押し付けてやる。

「プリッつあん」

「え、そっち!?」

 どうやらデンコの妹もプリッつあんの方が好みのようで、可愛らしい笑みを浮かべていた。

 うんうん。デンコの妹はわかる女のようだな。将来が楽しみだ。

「プリッつあんと遊んでな」

 女の子同士(?)仲好くやってろと言い残し、開け放たれた玄関に入った。

 玄関も生活感が出ており、サプルに感化されたのか花瓶に花が活けてあった。

「いるかい!」

「はーい!」

 声を掛けると、直ぐに嫁さんが応えてくれた。

 昼食の準備中らしく、台所の方からやってきた。

「あら、ベーさん。お帰りなさい。いつ帰ってきたんです?」

 どうやら暮らしが落ち着き、ご近所とも上手く行っているようで、どこにでもいるおばちゃんと化していた。

「たった今さ。昼食かい?」

「はい。サプルちゃんから教わった肉まんを作ってたんですよ」

 あ、これ肉まんの匂いか。焼売かと思ったよ。

「上手くできそうかい?」

「それが全然。ベチャベチャになったり生蒸しになったりで困っちゃうよ。やっぱりサプルちゃんはスゴいね」

「まあ、そのうち嫌でも上手くなるさ。それよりおっちゃんはいるかい?」

 この嫁さんおしゃべりだと、オレの考えるな、感じろセンサーが警戒警報を鳴らしたので直ぐに話題を変えた。

「はいはい、今呼んできますね。あ、どうぞ中に」

 と言うので遠慮なく上がらしてもらい、茶の間(的な一家団欒の部屋)へと通された。

「あんた、ベーさんだよ!」

 どうやらおっちゃんは地下にいるようで、嫁さんが階段から叫んだようだ。

「すいませんね。あの人ときたら自分の部屋が気に入っちゃって、仕事場にしちゃってるんですよ。あんな立派な工房を造ってもらったってのに」

「構わんさ。自分のやりやすいところが工房だしな」

 イイもん作ってくれんならどこでもイイさ。オレは気にしねーよ。

「いらっしゃいだよ」

 嫁さんと同じく生活に慣れたようで、すっかり村人の雰囲気を出していた。どんなかは勝手に想像してね。

「おう、お邪魔してるよ」

「ああ、ベーならいつでも歓迎さ。昼がまだならうちでどうだい? まあ、サプルちゃんの料理には数倍落ちるがよ」

「誰かがオレのために作ってくれる。それだけで料理は旨いもんさ」

「やっば、サプルちゃんのあんちゃんだけはあるね。うちの男どもに見習って欲しいよ」

 まあ、男なんてそんなもんだし、目の前にある幸運に気付かない生きもんさ。

「いいから食事の用意しねーか! ベーを待たせんな!」

 ハイハイとおっちゃんの怒りを軽く流して台所へと戻って行った。

「ったく、これだから女は参るぜ」

 そこは同じ男として聞き流してやろう。強がらなくちゃ生きて行けねーのも男の悲しい性だしな。

「そう言えばデンコの姿が見えねぇが、どうしたんだぁ?」

「そのことできたんだよ。まあ、昼を食ってからにしようぜ」

 まずは嫁さんが作ってくれた料理を食することが礼儀だしな。

 しばらくして嫁さんが肉まんモドキと野菜と鳥肉の香味煮を運んできた。

 デンコの妹とプリッつあんがきて昼食を頂いた。

「ほう。旨いじゃねーか」

 もちろん、サプルのよりは数倍落ちるが、王都の食堂で食べた料理の数百倍は旨いものだった。

「なんだい。嫁さんって料理上手いじゃねーか。これなら食堂でも出せんじゃねーの」

 お世辞なしに旨いぞ、これ。普通に商売できんぞ。

「やだよ、そんなお世辞して。でも嬉しいよ」

 料理好きと言うだけあって、料理を褒められていると心底嬉しいようだ。

「そうだ。嫁さんにやる気があるなら宿屋やってみねーか? そのうち知り合いやダチが遊びにくるんでよ、泊まるとこ造らなくちゃならねーんだよ。だから、そこで働くヤツを揃えなくちゃならねんだわ。嫁さんなら十分厨房を任せられるし、気持ちのイイ宿にしてくれっと思うんだがな」

 儲けようとは思わねー宿屋だし、そんな大人数を泊めようとも思ってもいねー。嫁さんを混ぜて三、四人でできるくらいの規模を考えている。

「……ちょっとやってみてーだな……」

「まあ、直ぐにとはいかんが、考えててくれや。まだ先のことだしよ」

 早くても夏過ぎになる。それまで決めてくれたらイイさ。

 あ、話がそれっちまった──はいつものことでした。すんません。

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