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村人転生~最強のスローライフ 作者:タカハシあん
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287 勇者ベー

冬の高速道路で怖いこと。雪で通行止めになり、見知らぬ地で下に下ろされること。カーナビなし。土地勘ゼロ。渋滞。コンビニがあっても売り切れ状態。食料なし。夜なら更に最悪。ガソリンスタンドが閉店。頼りのスマホはバッテリー切れ、などなど。
冬の高速道路をご利用のさいは用意はしっかりと、です。
 はい。アブリク島に到着です。

 スーパー幼女サプルちゃんの活躍により、あの岩だらけの島が整地され、簡単な区画や側溝が創れていた。

 防波堤や防潮堤も簡易ではあるが、今の時代から考えれば立派なものだろう。ちょっとくらいの嵐なら問題はねーはずだ。

「す、凄いな。以前きたときは岩だらけだったのに……」

「これを数日間でやったとは信じられんな」

「それが八才の女の子がやったのだから尚更です」

「ベーの妹もまた規格外か。どんな兄弟なんだよ」

 知らん。としか言いようがないので人外どもの鋭い眼光は無視して総督邸建築現場へと向かった。

 アブリク島には親父さんはいないようだが、オッサンズの何人かと職人が建物を造っていた。つってもまだ基礎段階。まだ先は長いよーだ。ちなみにそれまでの仮住まいはサプルの土魔法で創ってあります。

「おう、オッサン。進んでるかい?」

 港からドラム缶くらいの樽を運んでいたオッサンに声を掛けた。スゲー力あんだな。

「お、お前か。どうした?」

「ちょっとダチと釣りしててな、近くだったから昼をしにきたんだよ。オッサンたちはもう食ったのか?」

 まあ、時刻は昼前だけどよ。

「いや、まだだが、そろそろ昼だし、こっちも食うか」

 決めたと言うことはオッサンが現場監督なんだな。そこまで聞いてなかったわ。

「なら、一緒に食おうぜ。頑張ってるオッサンらの労いも兼ねてよ」

 オッサンらは島に泊まり組のようで、しばらくはこの島にいるそうだから楽しみを作ってやってガス抜きしてやんねーとな。

「おっ、そりゃ嬉しいね。もう食うために働いているようなもんだからな。アハハ!」

 一生懸命働いたあとの旨いメシ。そして風呂でサッパリしたあとはよく冷えたエールを飲む。数日前とは別人のように身も心も輝いているぜ。

「人数が多いんでバーベキューにするが、構わんだろ? まあ、サプルならあとなんか出すと思うけどよ」

「サプルの料理ならなんでも構わんさ! 絶対に旨いんだからよ!」

 喜んでもらえるのは嬉しいが、明日帰るとか知ってんのかな? まあ、食料はあんだからいっか。全てを親父さんに任してんだからな。

「んじゃ、体をキレイにして昼にしようぜ。その間に準備しておくからよ」

「あいよ。キレイにしねぇと昼抜きにされるからな」

 土をいじり家畜を世話してるんだからうちの周りもド田舎臭に満ちてるんだが、キレイ好きなサプルちゃんは人の汗の臭いは大っ嫌いときている。

 オレも今世は風呂好きになってよく風呂に入るが、好きなことに夢中になって風呂に入るのを忘れると、叩き棒で叩かれて風呂場に追いやられてしまうのだ。

 まあ、『あんちゃん臭い!』と言われると切なくなるので素直に従うけどな。あれは、心臓を抉る力があるぜ……。

 そんな訳でサプルがいる間は、汗を流してからの昼食になると、それはカーチェから報告は受けていたのだ。

 すっかりサプルにちょ──教育されたオッサンズをがシャワー室へと向かうのを見送り、バーベキューをやる場所へと戻った。

 サプルの土魔法により幾つかのコンロが創られており、炭が明々と燃えていた。

「サプル、なんか手伝うか?」

 加速装置でもつけてんのかと思うくらいのスピードで動くサプルに手伝いなど不要だが、誠意を見せることが兄の威厳と立場を守るのに繋がるのである。まさに小さなことからコツコツと、だぜ。

「あ、ならバリエを捌いて。あたしじゃ上手く捌けないからさ」

 やれば鬼神のごとく捌けるのだが、生で食べるのに抵抗があるサプルちゃんは、バリエの捌きをまったく覚えようとしないので、捌きはオレの担当なんです。

「あいよ。アーガル、一匹出してくれや」

 と、お願いしたら十匹も出してきた。なぜに?

「いつでも食えるように皿に盛っててくれ」

 と、鬼畜回答が出た。

 見れば刺身派が無言の圧力を掛けてきやがった。

 嫌なことにはノーと言える──ときとないときがあるのがオレですが、今はノーと言えないときなので喜んで捌かしてもらいまっせ。

 ……食い物の恨みは恐ろしいモン……。

「秘技、結界捌き!」

 とかなんとか言って見るも、誰からも突っ込みが入らない。それどころか誰も見てねーよ!

 なにかスッゲー疎外感を感じるが、それはきっと気のせいだ。そう、気のせいさ!

「ドンマイ」

 と、頭の上で伸びていたはずのプリッつあんがいつの間にか目の前に現れてサムズアップしていた。

 あまりのことに地面に崩れ落ちるが、やはり誰一人として突っ込む者はいない。つーか、気付けよ、無視すんなよ、この腐れ人外どもがよっ!!

 さめざめと泣くオレを慰めるのはプリッつあんだけ。君の優しさが心に沁みるよ……。

 ──なんて寸劇はこのくらいにしてだ。さっさと捌いっちまうか。

「え!? その一瞬でなにがあったの?!」

 おいおい、プリッつあんよ。そんな孤独に負けてちゃこの世を生きて行けないぜ。オレなんか前世でいっぱい経験したお陰で孤独耐性マックス。一人の時間は娯楽の時と変換できるよーになったぜ。誰もにも邪魔されないオレ時間。スゲー最高じゃねーか!

「奥義、結界乱舞!」

 グハハハっ! 我にかかればバリエの十や二十、ものの数ではないわ! 

 ノリノリでやること二十分。四十匹のバリエを捌いてやった。

 ……ん? あれ? 四十匹?

 なんか増えている気がしないでもないが、まあ、そんな細かいことはどーでも良いわ。満足できた。それが全てだぜ!

「なんと言うか、バカだな」

「バカとしか言いようがないバカだな」

「見事なまでのバカだな」

「もう勇者と読んでも良いくらいですね」

「なぜかそんなベーを格好いいと思う自分が憎いぜ」

「……いつの間にか褒め言葉になっているところがベーの凄いところさね……」

 フッ。そー褒めんなよ。照れるじゃねーか。でも、もっと褒め讃えるがよい!

「……あたし、あんちゃんの将来が心配になってきたよ……」

 なんか妹に心配された!?
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