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村人転生~最強のスローライフ 作者:タカハシあん
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259 友情

 萌えたぜ。

 萌え尽きたぜ、真っ白によ……。

 ───と、誰かが言ってたらごめんなさい。いろいろ意味は違うだろうが、今のオレの心境はそれだ。精も根も尽き果てたぜ……。

「大丈夫?」

 そんなメルヘンの優しさが胸に沁みる。

「プリッつあぁ~ん!」

 思わずプリッシュを抱き締めた。君はオレの心の清涼剤だよぉっ!

「プ、プリッつあぁん?!」

 君はセコンドに立つとっつあんより頼もしいよ。真っ白になっても立っちゃうよ、オレ!

 優しいプリッつあんは、戸惑いながらもよしよしと慰めてくれる。マジ君にフォーリンラブ。

 なんて気の迷いからなんとか我を取り戻し、全てをなかったことにしてマ〇ダムタイム。あーコーヒーウメー。

「え? えっ?!」

「どうしたプリッつあん。なんか納得できない顔して? 幻でも見たか?」

 おいおい、プリッつあんよ。メルヘンな存在だからって真っ昼間から幻見るなんて気の抜けてること言ってたらこの弱肉強食な世界で生きて行けないぜ。しっかりしろよな。

「え!? えぇぇっ!」

「ほら、これでも飲んで落ち着けや」

 ハチミツ羊乳を出してやり、計量カップの小さいやつを出して注いでやった。

 なんか目をグルグルさせてるが、ここは優しい眼差しで見守ってあげましょう。あーコーヒーウメー。

 幾分落ち着いた(誰とは聞かない優しさを君に求める)ので、屋台へと目を向けた。

 平台の上には売り切り御礼。毎度ありの状態だった。あーつまり、なんもないってことね。

 ほんと、女の買い物はスゲーよな。まるでハイエナが食い尽くしたあと見てーに、あるもの全て買ってったよ。

「……充実感も満足感もなんも湧いてこねーわ……」

 ただ疲れた商売だったぜ。

「さて。どーすっかな」

 まだ昼の二時前。店仕舞いするには早い時間だ。

 このまま帰るのもイイが、せっかく店を出したのに帰るってのもなんか惜しい気がする。さて、どーすっかな~と悩んでいたら、なんかピンク色したものが目に入った。

「ん? あ、勇者だ」

 意識を集中させると、ピンク色の髪をした勇者が目の前を元気よく歩いていた。ちなみに数メートル離れたところに女騎士さんがバレバレの尾行をしていましたとさ。

 オレの呟きが耳に届いたのか、勇者ちゃんがこちらへと振り向いた。

「あ、村人さんだ!」

 こちらを指差し、テケテケと向かってきた。

「村人さん、なにしてるの?」

「屋台を出してんだよ」

「え? 屋台を売ってるの? 珍しいね!」

 いやまあ、なんもないけど、屋台広場で屋台売るとか、まさに勇者の所業だよ、それは。

「違うよ。大繁盛して全部売れたんだよ。今は続けようか止めようか悩んでたとこさ」

「へースゴいね! なに売ってたの?」

「これだよ」

 収納鞄から真珠の髪留めを出して見せた。

「わーキレイ。なんなの、この白いの?」

「貝から取れる真珠ってもんさ。そー言うオシャレアイテムを売ってたのさ」

「オシャレアイテム? どう使うの?」

 勇者とは言え女のコの性なのか、興味津々って顔をしていた。

「こう使うんだよ」

 椅子から立ち上がり、屋台を回って勇者ちゃんの髪に付けてやった。

「ほれ。見てみ」

 手鏡を出してやり姿を写してやった。

「おー! ボクだぁー!」

 まあ、姫と言うくらいだから鏡はあんだろうが、前世の鏡と同じ質なのではっきりくっきり写るので驚いてもしょうがねーだろうな。

「アハハ。カワイーカワイー。よく似合ってるぞ」

 その手の趣味な人ならお持ち帰りしたいくらいの可愛さだ。まあ、サプルの方が百倍カワイイがな! 持ち帰りしようとすればぶっ殺すがな!

「なにかの縁だ。やるよ」

「いいの!?」

「ああ。イイよ。それ付けて街を歩いてくれ。宣伝になるからよ」

 広告塔には持ってこいの人材だろう、この姫勇者ちゃんは。

「ありがとう! 大事にするね!」

「まあ、飽きるまででイイよ。オシャレには流行り廃りがあるしな」

 まあ、女子のオシャレアイテムとして作ったもの。娘になれば趣味も好みも変わってくる。そのときどきを楽しめだ。

 イイよなと、女騎士さんを見ればなんか物欲しそうにオレを見ていた。

 コレか? と手鏡を掲げると、違うとばかりに首を振った。

 じゃあコレか? と髪飾りを出したが、これも違うよーだ。

 なにが欲しい? と念を送ると、なんか念が返ってきたことにびっくり。エスパーか、女騎士!?

 感じた念のままに収納鞄から小袋を出した。

 女騎士さんの目にお星さまがキラリ。

 どうやら女騎士さんは、色気より食い気の人のようだ。クッキーに魅了されたらしいよ……。

「ほれ。お土産に持ってきな」

 勇者ちゃんのお守りの慰労を兼ねて三袋、勇者ちゃんに渡した。

「クッキー!?」

「ああ。帰ったら好きな人と食べな」

「うん! マリーがスッゴく喜ぶよ!」

 あの女騎士さん、マリーって言うんだ。

 視線をずらして見ると、あ、よろしくですとばかりに頭を下げた。なんかコミカルな人だな……。

「そうかい。ならそのマリーさんにいっぱい食わしてやりな」

 こーゆーときに報いてやりな。多分、誰よりも苦労してそうな気がするからな。

 視界の隅で感激してるの女騎士さん。なんかあなたには妙な愛情が湧いてきたよ。

「うん! そうする!」

「おう。じゃあ、早く帰りな。マリーさんとやらのために」

「うん! じゃあねー、村人さぁーん!」

 元気良く走り去って行く勇者ちゃん。その後を敬礼しながら追い掛けて行く女騎士さん。

 君の勇姿は一生忘れないよ。とばかりに敬礼を返して見送った。

 オレと女騎士さんとの間に友情が芽生えた瞬間だった。




 



 
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