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村人転生~最強のスローライフ 作者:タカハシあん
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254 生きるのが楽しい

 朝、帰り支度を終えてドアを開けたら娘さんがいた。

 寝巻き姿じゃなく仕事用の姿からしてオレが起きてくるのを待っていたんだろう。

「おはようさん。早いんだな」

 時刻はまだ六時前。農家では珍しくもない時間だが、街での目覚めにしては早いんじゃねーの? よー知らんけどさ。

「ベーくんこそ。まだ寝てると思ってたわ」

「村じゃこんなもんさ。朝食前に家畜の世話や畑仕事があるからな」

「……本当に村人な生活をしてるのね……」

「そりゃ村人だからな」

 いろいろやってはいるが、基本、村での仕事で生きている。反論は認める。だが、聞かぬ、ですけどね。

「そっちこそどうしたんだい? まだ早いんじゃねーの?」

「商人の朝も早いのよ。まあ、うちは生鮮品を扱っている訳じゃないから他よりはゆっくりしてるけどね」

 ふ~ん。業種によって違うんだ。まあ、そりゃそーか。

「それで繁盛してんだからなによりだな」

「ふふ。そうね。朝食はどうする? 用意はしてあるけど?」

「いや、このまま帰るよ。残してきたヤツらが気になるしな。またきたときご馳走になるわ」

 娘さんにはご隠居さんから家をもらったことは伝えてねーが、酔い潰れた会長さんを運びにきたときに、ちょくちょく遊びにくると言っておいたのだ。

「じゃあ、今度くるときまで料理の質を高めておくわね」

「おう。楽しみにしてるよ。会長さんによろしくな」

 協力者(共犯者)とは今後とも仲良くやっていかなくちゃならんので、会う頻度は多くなるし、夏に一月ほど村に遊びにくると約束した。わざわざ別れを交わす必要もねぇさ。

 外に出ると、会頭さんや幹部クラスの従業員がいて、丁重に見送ってくれた。

「いつでもきてください」

「ああ。遠慮なくこさせてもらうよ」

 今回は買い物は諦めた(まあ、イイのがあったら買うけどね)。今度きたときにするよ。

 動き始めた商人街を眺めながら倉庫へと向かった。

 だいたい距離にして一キロちょっと。ゆっくり歩いて十五分。迷うことなく、邪魔されることもなく到着した。

「変わった様子はねーな」

 結界が発動した様子はなく、監視する者も結界センサーには引っ掛かっている様子もなかった。

 倉庫に入ると、ちょうどベッドから起き出したところのようで、皆……ではねーか。まだお休み中のヤツも何人かいたよーだ。

「おや、ベー。早いお帰りでしたね」

 その声に目を向けたら早起きエルフがソファーで寛いでいた。

「まーな。こっちもほっとけんからな。なんか疲れているみてーだな」

 特にタケルくんが。

「ええ。昨日は忙しかったですから」

 なにがとは聞かない。そのうち聞けばイイからな。

「今日の予定は?」

「アブリクト島に資材搬入です。他は教育です」

 もうそこまでやってんだ。やはりカリスマ社長(?)は仕事が早いね。

「まあ、あと何日かしたら村に帰るからよろしくな。まあ、残りたいってんならそれでも構わんよ」

 やり甲斐があるなら遠慮なくやればイイ。オレに遠慮するなだ。

「いいえ。ベーが帰るまでには終わらせますよ。早くあの船で冒険がしたいですからね!」

「フフ。どうやら気に入ったようだな」

「ああ! 森の人と呼ばれるエルフが海を冒険できるなど夢にも思いませんでしたよ。ましてや海の中にあのような世界が広がっているとは……世界は本当に素晴らしい!」

 そりゃ紹介した甲斐があるってもんだ。

「あ、兄貴、おはようですだ」

「おう、デンコ。元気に働いてっか?」

 なんかデンコとは一日しか間を開けてねーだが、数日は見てなかったよーな気もしないではないが……まあ、気のせいだろう。多分。

「…………」

「ん? どうした?」

 なんか元気ねーな? 働き過ぎで疲れたか?

「デンコはベーに見捨てられたのではないかと気に病んでるんですよ」

 は? 見捨てる? なんで?

「まあ、わたしたちならベーを理解してますが、まだ若くて経験のない子にわかれと言う方が間違ってますよ。ちゃんと構ってあげなさい」

 あー……なるほどな。デンコも天才の枠に入ってたからサプルやトータのように扱っていたが、あの天才児と一緒にしたらデンコに失礼か。そりゃオレの失態だわ。

「すまんな、デンコ。別にお前を見捨てた訳じゃねーよ。オレは好きなことは好きなだけやるって性格だからな、他にもそうさせっちまうんだわ。だから兄貴のオレが許す。好きなことを好きなだけやれ。その間に土魔法が学びたいなら教えてやるし、勉強したいと言うなら学ばせてやる。それがオレ流の教えだ」

 サプルやトータにやるように、デンコのごわごわした髪をグチャグチャに掻き回してやった。

 こう言うスキンシップも大切なのも忘れてたわ。

「オラ、いろんなことやりてーだよ!」

「それでこそオレの弟分だ。好きなだけやったれだ!」

 顔を洗って朝食だと、その背中を押してやった。

「フフ。まるで父親ですね。ザンバリーが大変だ」

「まあ、父親もそれぞれさ。オカンとまた新しい命を育めばイイさ。オレたちは勝手に育つガキどもだからな」

 別にオカンとザンバリーのおっちゃんが結婚したからと言って別居する訳じゃねーが、二人の新しい生活を邪魔するつもりはねー。つーか、二人が結婚してもオレらの生活が変わることはねー。それぞれ好き勝手に生きてるさ。

「まあ、それはそれで気の毒かとは思いますが、ベーたちの父親になろうと言うんです。ガンバレ、ですね」

 ……冒険者の間ではガンバレって応援が流行ってんのか……?

「それで、ベーの今日の予定は?」

「今日は屋台で一仕事するよ」

 重要ではねーが、屋台で商売するの、やって見たかったんでな。

「……ベーは、生きるのが本当に楽しいんですね……」

 ああ、生きるのが楽しくてたまんねーよ。
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