挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
村人転生~最強のスローライフ 作者:タカハシあん
しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました

ブックマークしました。

設定

更新通知 0/400

設定を保存しました
エラーが発生しました

カテゴリ

ブックマークへ

以下のブックマークを解除します。
よろしければ[解除]を押してください。

ブックマークを解除しました。

247/988

247 村人道

「なあ、ベー。ブララジャムの代金は幾らだ?」

「代金? あー代金な……」

 まったくもって考えてねーわ。

 あのブララジャム、二年前のもんだし、砂糖も三十キロは残っている。ましてや今年は二百キロはきてる。ましてや今年はブララ取り放題。量もハンパじゃねーだろう。在庫処分別みてーなもんに代金をもらうのもなんかワリーと思わなくないが、まあ、会長さんの気が済むならもらっておくか。

「……あー……うん、そうだな。じゃあ、鉱物の見本をもらえねーか? あと、店を見せてくれや」

 ブララジャムの代金など銀貨十枚にもならねーくらいだし、代金としたらそんなもんだろうよ。

「そんなんで良いのか?」

「村で採れる鉱物なんてたかが知れてる。その土地その土地で採掘される石を知ることは土魔法の使い手としてはとてつもなく重要なんだよ。それに、物がどこからどう流れてくるかなんて金貨百枚に匹敵する価値がある。ブララジャムで知れんなら安いもんさ」

 こっちが申し訳ねーくらいだ。

「ほんと、村人のクセに恐ろしいこと考えるよな、お前は……」

「ダメなら標本だけくれや」

 そんだけでもおつりがくれくらいだしな。

「いや、案内するさ。お前の知識になればこちらも利益になりそうだからな」

 商人の顔して笑いやがる。まったく、商人はおっかねーぜ。

「じゃあ、それで頼むわ。と、その前に昼食取らしてもらうな」

 あの女豹の中には戻りたくねーんで、新たに肉まんを収納鞄から取り出した。

 なんだかんだ言って肉まんが一番役に立つ食いもんだな。

 一つソフトボールくらいの肉まんをかぶりついていると、また視線を感じた。

「はいはい、わかったよ。もー好きなだけ食えや」

 もう諦めた気持ちで収納鞄から肉まんをあるだけ出してやる。食い過ぎて腹壊しやがれ。

「会長さん、行くぞ」

 会長さんの腕をつかみ、その場から逃げ出した。

「お、おい、ベー! わしもーー」

「年寄りがそんなに食ってんじゃねー」

 問答無用で引っ張って行く。

 まだ会長さんちを知らんので倉庫の方から外に出てから店の前へときた。

「……わしも食いたかった……」

「拗ねんな、イイ年して。ほら、これでも食ってろ」

 ポケットからあげパンを出して放り投げてやる。

 年の割りに条件反射も運動神経もイイようで危なげなくキャッチした。

「なんだこれ?」

「パンを油で揚げて砂糖を振りかけたもんだよ」

 年寄りの胃には優しくねーだろうが、あんだけ食ってまだ食えんだから丈夫と判断させてもらうわ。

「……旨い、な……」

 もう食ったのかよ。放り投げて五秒も過ぎてねーだろうがよ。

「ったく、大商人が物欲しそうに見んな! 威厳が崩れ落ちんぞ。ほら!」

 しょうがねーんで、更に三つ出してやった。

「お前のポケットや鞄は食の宝箱だな」

 そんなどっかの食レポみてーなコメントなどどーでもイイわ。ったくよ。

「あと何日かは王都にいっから見本は今日でなくてもイイが、忙しいなら勝手に見させてもらうが、どうなんだ?」

「そうだな。夜に商人仲間を集めたいから、一の刻くらいなら大丈夫だ。あとはザニーノに任せる。あいつならだいたいのことは知ってるんでな。飽きたら部屋でゆっくりしててくれ」

 ちなみに一の刻はだいたい二時間くらい。金刻番ってもんがいて、なんかの魔道具を用いて刻を見、鐘を叩いて知らせる者がいんだよ、この王都にはな。

「あ、さすがに風呂はねぇが、体を拭く湯は用意する。必要なときはザニーノに言ってくれ。部屋も自由に使ってくれて構わん」

「風呂なら簡易用のあるから心配しなくてもイイよ。湯も出せるし消せもする。まあ、場所さえもらえりゃ勝手にやるよ。部屋はまあ適当でイイさ。眠いなら地面の上でも眠れっからな」

 柔らかいベッドでしか眠れんでは村人は勤まらん。丈夫で図太いが超一流の村人である。突っ込みはノーサンキューです!

「……ときどき、村人ってのが仙人と同等に聞こえてくるぜ……」

「まあ、似たようなもんさ。村人道は奥が深いんだぜ」

「わしには一生懸けてもわからん道だな……」

「なに、オレもまだまださ。村人の半分もわかってねーよ」

 まだ生まれて十一年。まだ遠き道程さ……。

「あーなんつーか、ガンバレ」

「おう。ガンバるとも。見ててくれや!」

 オレは村人道を極めてやるぜ。絶対にな。
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ