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村人転生~最強のスローライフ 作者:タカハシあん
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245 頂きます!

 まずは鍋だな。

 と思ったのだが倉庫前の広場が余りにも汚くて創ることを断念した。

「さすがにこれで鍋はしたくねーな」

 土魔法で汚れは排除できるし、結界術でどうにもなるのだが、心情的になんか嫌だ。馬糞とか染み込んだもんで食いたくねーわ。

「会長さんよ。なんか土、まあ、鉄でもイイからもらえるか?」

 船を創るのにほとんどの鉄を使い果たした。残りでは三人用の鉄鍋しかできねーよ。

「鉄なら幾らでもあるが、土はなんでも良いのか?」

「まあ、鍋に適したもんはあるが……ああ、(かめ)を使えばイイか」

 瓶に使われている土(粘土)は鍋にも使ったものと同じだ。それを使えばイイ感じに土鍋ができんな。

 収納鞄から食材が詰まった収納鞄を取り出した。

「……今更だが、無限鞄とかふざけてるよな、お前……」

「別にふざけちゃいねーし、無限じゃねーよ。荷車二台分しか入らんしな」

「いや、それでも十分ふざけてるからな」

「なら、それでイイよ。ん、ちょうど切れたか。ほらよ」

 と、収納鞄を会長さんに放り投げた。

「前に頼んだものをそれに入れてくれ。そん中なら時間凍結されてるから腐んねーからよ」

 頼むだけ頼んでおいて入れるものを渡すの忘れてたよ。

「……お前、こんなもの気軽に渡すなよ。信頼されてるのは嬉しいが、ちょっと疑念を抱けよ。わしが返さない───」

「───訳ねーな。会長さんはそんなにバカじゃねーからな」

 友達とは言え、絶対の信頼なんて夢物語の中にしか存在しねー。だが、打算なら誰の中にもあり信頼って言葉よりは遥かに信用できる人の(さが)だ。

「目先のことに目を奪われるようじゃ商人として三流以下。オレの不興を買うよりは信頼を得るために動く計算をするのが一流だ、とオレは思ってるが、勘違いだったか?」

 別にそれを酷いとは思わねー。オレも打算で会長さんと仲良くしてるんだからな。

「……お前の人物鑑定は厳しいな。だが、お前に認められんのも悪くねーな……」

「商人の中じゃ二番目には高く買ってるぜ」

「なんだい、一番じゃねーのかよ」

 子供のように拗ねる会長さんに思わず吹き出してしまった。

 物事の計算をできて人の情も素直に出せる。さすが超一流の商人だぜ。

「ああ。二番だな。まあ、一番はまだまだ人としても商人としても会長さんより遥かに下だが、ここぞと言うときの判断と思いっきりはオレにもマネできねーな。あれはいずれ会長さんより超える商人になる」

 本当になんの主人公だよと突っ込みてーくらいの才能と運の持ち主だぜ。

「……お前がそう言うと、なんだか会いたくなってきたな……」

「うちの隣に店を出したから暇なときにきな。人魚族相手に商売してっからおもしろい話聞けるぜ」

 それはあんちゃんの糧にもなる。天下の大商人と話せば自分に足りないものに気付くだろうよ。

 おっと。鍋創らんとな。

 中身(海鮮鍋用具材)を結界ボールに入れ、十二個の瓶を粉々にしてから一つの鍋へと変えた。

 (インゴットになったもの)をもらい、海鮮鍋用の鉄鍋を創り、結界ボールに入れた。

 鍋の下にはもちろん釜戸を創ってあるのであしからず。

 海鮮鍋用の具材はできているので弱火で温めて行く。

「海鮮鍋は人足たちに食わしてやんな」

 食ってるところを見ているなんて拷問だしな、会長さんらが食わねーなら他に回せだ。

「ありがとよ。ザニーノ。ベーの心遣いだ、皆に食わしてやりな」

「はい。アルナ。食堂から皿をお願いね」

「はいだよ」

 ドワーフって皆そんなしゃべり方なんだな。

 なんてどーでもイイことを頭の隅で考えながら肉鍋を作ることにする。

 つっても材料ぶっこむだけなんですけどね。

 出汁用の昆布を入れて煮出し、いろんなカットされた野菜を入れて、酒と魚醤を適量(なんとなく)入れてちょっと煮る。ぐつぐつ言ってきたら火を弱火にして鶏肉、猪肉、オーク肉をぶっこんで灰汁を取る。

 イイ感じになったら蓋をしてしばし待つ。その間に収納鞄から卵を出して籠に入れて行く。

「あ、そー言やぁ、ここって卵を食う文化あったっけ?」

 王都の食事情、まったく知らねーや。

「あるにはあるが、高級食材で滅多には食えねーな。で、どうすんだ、それ?」

「卵につけて食うんだよ。旨いぜ」

 オレは卵をつけて食う派なんでな、ないなんてあり得ねーんだよ。

「それはまた贅沢だな。まあ、お前んちでは普通だろうがな……」

 まあ、客がこないときは冬にしか食わないがな。

 そしてイイ感じにベースペシャル肉鍋が完成した。

 振り返って見れば全員の手に木皿とフォークが握られていた。もちろん、卵も入ってる。

 鍋を木皿で、とは気に入らねーが、創るから待ってろってのも酷───どころか軽く暴動になるな。しょうがねーと諦めるか。

「いっぱいあんだからがっつくなよ。んじゃ、食いな」

「よし。皆、作法は教えたな」

 作法? なんのこった?

 見てると、会長さんが木皿とフォークをテーブル(いつの間にか用意されてた)におき、手を合わせた。

「頂きます!」

 会長さんの音頭に全員が頂きますと返した。

 あーまあ、うん。それぞれの文化だ。気に入ったのならイイんじゃねーの。多分……。  


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