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村人転生~最強のスローライフ 作者:タカハシあん
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244 他人の苦労は蜜の味

 扉がノックされ、家令さんが扉を開いた。

 入ってきたのは会長さんの娘とドワーフのおばちゃんだった。

「とうさん。お昼はどうしますか?」

「おぉ、昼か。そうだな、食堂で……」

 と、なぜか会長さんがオレを見た。

「なあ、ベー。なにか料理はもってるか?」

「ん? あるよ。食うかい?」

 なにか目がマジだったのでそう聞いて見た。

「おう! 頼むわ。いや、サプルの料理が忘れられなくてな、結構飢えてたんだよ!」

 どうやらサプルの料理でグル〇細胞が目覚めたらしく、帰ってきてから料理人を集めたようだが、誰もサプルの域に到達どころか足元にも及ばないらしく、日に日にストレスが溜まってそーな。

「ほんと、残念なところだな、王都ってのは」

 外国から珍しい調味料や食材が入ってきて新鮮な野菜や魚が近くにあるのに、料理がてんで発展してねー。食に興味がないのかね、この時代(周辺)のヤツはよ。

「お前やサプルが王都に出てこないのも納得だわ。おれもあの生活をしてたら絶対にきたくねーよ」

 別に料理だけで村を出ない訳じゃねーが、まあ、会長さんの言いたいことがわかるので同意の頷きをしておいた。

「まあ、食いたいならオレは構わねーが、イイのかい料理人を放っておいて?」

 不味いものしか作れない料理人とは言え、料理を作っている自尊心はある。それを貶すのはしたくねーぞ。

「ああ。構わんさ。あ、いや、料理人に味を教えてやりてぇから沢山出してもらっていいか? 味を口で教えるのは難しくてな」

 まあ、確かにそうだな。オレも旨いか不味い、しょっぱいか苦いとかしか言えねーしな。

「なら鍋にすっか。それならオレにも作れっからな」

 乾燥昆布(見た目が似てるのでそう命名しました)やゴジル、その他もろもろ食材は揃ってるし、鍋ならよく伐り場で作っている。まあ、そこそこは旨いと自負するぜ。

「鍋か。良いな。あの大鍋で作った鳥鍋、旨かったな~」

 そー言やぁ船長さんや会長さんらは海鮮鍋より肉系の鍋を好んでいたな。

「王都じゃ肉は食わねーのか?」

「もちろん、食うさ。だが、肉なんてそう滅多には食えねーよ。肉を食うための牧畜なんてしてねーし、食えたとしても年を取った山羊か鶏が精々だ。たまに冒険者が狩ってくる魔物の肉が手に入るが、それは貴族に行っちまうからな、そうは食えねーさ」

 まあ、牧畜をやるにはこの世界は向いてねーな。なんせ、魔物が多すぎる。ましてや空には竜。地には狼と、多種多様な肉食獣がいやがる。

 王都とは言え、一歩外に出れば食うか食われるかの生き残り戦。牧畜なんて魔物に餌さを与えているようなもんさ。

「大変だな、王都の暮らしも」

「普通、逆なんだが、お前の暮らしを知ったらまったくだとしか言いようがねーな」

「なら、牧畜業でもやって見るかい?」

「……そりゃ、やれるもんならやりたいが、そんな土地、どこに……沖合いの島か!?」

 さすが大商人。勘がよろしいことで。

「───いや、だが、島までどうやって? それに管理はどうする?」

「行く方法は問題ねーし、牧畜する獣人族でも雇えばイイさ。前にいるって聞いたぜ。あとは、会長さんのやる気と、家畜をなににするかだな」

 ニヤリと笑って見せると、天を仰いで深いため息をついた。

「なるほど。そうやって焚き付ける訳か。そりゃ、楽だわな」

 若いうちの苦労は買ってでもしろ。ああ、反論はねーし、イイんじゃねとも思う。ぜひともやってくれ。オレはそれを適正な価格で買わしてもらいますんで。

「まあ、やるもやらぬ会長さん次第。やるって言うなら協力するし、やりたくねーって言うならそりゃ残念と諦めるさ」

 エリナんところで牧畜はやるし、トータが狩りをしてるので肉には不自由してねーしな。まあ、やってくれたらラッキーくらいな考えさ。

「ったく。商人より商人らしいこと言いやがって。そこまで聞かされてやらねーなんて言える商人がどこにいる。やるに決まってんだろうがよ!」

「そりゃなによりだ。数年後には旨い肉が食えそうだな」

 他人の苦労は蜜の味。知ったら止められませんがな。

 あ、できれば牛系をよろしく。確か東の大陸に牛がいるとか聞いたことがある。ぜひとも輸入して欲しいもんだ。いや、一度行って見るのもイイかもな。タケルの船なら数日で行けんだろうしよ。

「まあ、その前に鍋だな。どこか火を焚ける場所はあるい?」

「それなら倉庫前で良いだろう。三十人くらいは余裕だ」

 と、会長さんの船頭でその倉庫前へと向かった。

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