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村人転生~最強のスローライフ 作者:タカハシあん
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239 ボク、勇者六才! オレは、村人十一才だ…

最初考えていたのとは違ったけど、この出会いを考えたのがこの話の始まりでした。今後のことなんて考えてはいません。なるようになれ、です。
 噂の姫勇者なのは直ぐにわかった。

 この国の王族は皆ピンクの髪をしているからだ。

 なんでもピンクは聖なる色とかで、王族しか纏うことができないとかなんとか。聞いたときはファンシーだな、おいとか突っ込んだものだ。

 王族とは無縁な村人なんで王族なんてこれが初めてだが、なかなかどうして雰囲気が一般人と違う。しかもピンクの髪が高貴に見えるのだからファンタジーはスゲーわ。

「ボク勇者、六才!」

「……オレは、村人十一才だ」

 なにこの自己紹介? ってな突っ込み大募集。このよくわからん状況を打開してくれや!

「えーと、お腹いたいの?」

 ちょこんとしゃがんでオレの顔を覗き込んでくる。

 なんともフレンドリーで、無防備な幼女である。が、相手は勇者と呼ばれている。ちょっとやそっとの暴力には負けねー自信があんだろうよ。

「いや、腹は痛くねーよ。ちょっと道に迷って疲れたから休んでたまでさ。ありがとな、心配してくれて」

 丁度イイ感じのところに頭があったので撫で撫でしてやった。

「───あ、ワリー。いつも妹にやってたからついやっちまったわ」

 ヤベーヤベー。相手は王族。触れたりなんかしたら打ち首だぜ。いや、よく知らんけどよ。

 キョトンとして勇者ちゃんは、自分の頭をさすると、なぜか笑顔になった。

「エヘヘ。頭撫で撫でされちゃった」

 まるで子供……いや子供か。なんか無邪気過ぎて調子狂うな……。

 この姫勇者ちゃんは、転生者なのは間違いないのだろうが、見た目も口調も幼女である。まあ、この年でこれだけしゃべられたら発育がイイのだろうが、感じからして前世の記憶を引き継いだって感じじゃねーな。きっとアホな願いしてこの世界の神(?)に介入されたんだろう。まったく、厄介なことしてくれるぜ……。

「ほんと、ワリーな。勝手に触ったりしてよ」

「ううん。全然イイよ! ボク、頭撫で撫でされるの好きだから!」

 にしても元気な幼女だな。勇者ってこんな性格じゃねーとやってけねーのか?

「そっか。してくれる人のこと好きなんだな」

 それは愛されている証拠であり、良き理解者がいると言うこと。なによりなことだ。これで我が儘に育っていたら目も当てられんだろうよ。

「うん! マリーにバボル、アバリ、あとアガサにカニッシュでしょう、あと……皆大好き!」

 多分、少し先の路地からこちらを心配そうに見る女騎士さんは、その中の一人だろう。なんともお勤めご苦労さまです。

「そっか。なら、大好きな人が心配する前に帰りな。オレは大丈夫だからよ」

 お姫さまがなんで街を歩いてるかは知らねーが、あそこでハラハラしている女騎士さんの感じからしていろいろ問題があんだろう、この姫勇者ちゃんには。

 ……まあ、良くねー方にいろいろだろうがな……。

「大丈夫! ボク勇者だから弱い人を助けるのが仕事なんだ! だからボクが案内してあげる。いつも王都を見回ってるから詳しいんだ!」

 あーうん。逃げられないよーだね。

 オレの長くて短い人生訓からしてこーゆー場合は下手に逃れると更に厄介になる。流されるべきときは流れに身を任せるのが一番である。

「そうかい。なら甘えるか」

「うん、任せて! それでどこに行くの?」

「バーボンド・バジバドルって人の店に行きてーんだが、知ってるかい?」

 んーと人差し指をアゴに当てて考える姫勇者ちゃん。

「思い出した! お城に良くくるおじいちゃんだ! うん、場所わかるよ! いつも前通るとザニーノがお菓子くれるんだ!」

 お菓子、ね。まあ、犬や猫にエサやってる感覚なんだろうな。この見た目では。

「そりゃ良かった。なら頼むわ」

 よっこらせと立ち上がり、背負い籠を背負った。

「持とうか? ボク、力あるよ」

「大丈夫だよ。そんなに重くねーからな」

 さすがに幼女に持ってもらったらオレの矜持が許さねー。つーか、あとを着いてくる女騎士さんに斬られそうだ。

「村人さんは、どこの村の人なの?」

 どうやら姫勇者ちゃんの中ではオレは村人で認定されたよーだ。まあ、オレの中でも姫勇者ちゃんで認定されたがな。

「ボブラ村って言う、ド田舎さ」

「ボブラ村か、全然知らないや!」

「アハハ。だろうな」

 街道沿いの村とは言え、幾つもある隊商の休憩ポイントの一つ。知ってる方がどうかしてるわ。

「ほらよ。案内してくれる礼だ。旨いぞ」

 ポケットから布袋を出して姫勇者ちゃんに渡した。

「なーに、これ?」

「クッキーって小麦粉を練って焼いたお菓子さ。オレの妹が作ったものだよ。いっぱいあるからもらってくれ」

 渡したときに結界を解いたので焼き立ての香りが漂い、姫勇者ちゃんの甘さを求める感覚を刺激したようで、目をキラキラさせなから袋を開いた。

 クッキーを一つつまみ上げ、クンクンとクッキーを嗅ぎ、パクりと口に入れた。

「うまー! なにこれ、うまー!」

 どうやら気に入ったよーでなによりだ。

 クッキーに夢中になりながらも器用に人を交わし、会長さんの店の方へと歩いている。

 数百メートル歩くと、高級商店が建ち並ぶ大通りに出たが、店と店の間の路地に入り、裏通り、って訳じゃねーが、派手さのない商店通りに出た。

「ここは?」

「職人相手の鉱物商や問屋があるとこだよ」

 なるほど。そーゆー店もあるわな。

「あ、あそこだよ!」

 姫勇者ちゃんが指差す方向に、一際立派な店があった。

 総石造りの頑丈な三階建てで、一階は取引用のところらしく、馬車や人が多く出入りしていた。

「繁盛してんな」

「うん。国のお抱え鉱物商だからね!」

 自慢気に言う理由が良くわからんが、まあ、姫勇者ちゃんは王族だし、なんか関係があんだろうて。

「ありがとな、助かったよ」

「ううん! 人を助けるのが勇者のお仕事だから気にしないで!」

 なんかアホにイイ用に利用されそうな甘いこと言ってるが、背後にお守りがいんだから大丈夫だろうよ。

「ほれ。お土産だ。大好き人と食べな」

 姫勇者ちゃんの頭に布袋を置いた。

「じゃーな」

 流れるように姫勇者ちゃんにさよならした。

 縁は異なもの味なもの。そうならないことを願うよ。








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