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村人転生~最強のスローライフ 作者:タカハシあん
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明日は移動日。また海を渡る。酔ってなければ書きます。
 ああ旨い コーヒー最高 あぁ旨い



 ヴィベルファクフィニー心の川柳でした。



 なんて柄にもねーことをしたくなるほど旨いコーヒーの余韻を楽しんでいた。

「……余程美味しかったのね……」

 ふっと我に返ると、目の前に居候と隠居が座っていた。

 どうやら驚愕から抜け出したよーで、いつもの……かは知らんが、自然体で寛いでいた。

「ああ、旨かった」

 それしか言いようがねー。今後のマ〇ダムタイムが物足りなくなるくらいだ。

 コトン。

 そんな音がしてテーブルを見ると、コーヒーが満たされたカップがあった。お代わりってことだろう。なら遠慮はいらない。

 グレンのばーちゃんに感謝を籠めて。頂きます!

 また香りを楽しみ、味を楽しみ、熱さを楽しむ。これぞマ〇ダムタイムの究極。もう二度とオレはマ〇ダムタイムをできねーぜ。

 ゴトン。

 今度は二リットルは入りそうな花柄のポットがそこにあたった。

 前世の記憶がなくなっていないのなら、これは前世で二十年以上愛用して、ひょんなことから壊してしまったオレの宝物だ。

 多分、グレンのばーちゃんが再現してくれたのだろうが、本物とか偽物なんかどうでもーイイ。このポットで作るコーヒーはオレの好みど真ん中の味になるのだ。

 自然とポットに手を伸ばして持って見ると、なにやら中身が入った重さだった。

 この意味はと居候を見た。

「もらっておきなさい。グレンがあなたを気に入った証し。まあ、グレンが誰かに物を、魔道具を贈るなんてわたしの記憶にそうはないけどね」

「わしなんてまったくないさ。グレン婆が物をあげるとこなんて」

 好かれた理由がまったくわかんねーが、この世の富を全て出しても手に入れることができねーもんをくれると言うのだ、ここは素直に感謝して頂いておこう。

「ありがとう。大切にするよ」

 ポットを抱え、ただの壁に向かって深々と頭を下げた。

 今日からお前はオレのもの。一生の宝物だ。

「わたしたちにも頂けないかしら? グレンのお茶は何千何万回と飲んできたけど、それは初めて見たわ」

「ああ。そりゃわしも気になるな。そんなに旨いのか?」

 しょうがねーな。この嬉しき日にサービスだぜ。

 一秒前までは絶対になかったカップにコーヒーを注いでやる。

 ん? 重さが変わらねーな。もしかして、無限系の魔法のポットか? それなら嬉しいが、まあ、そうじゃなくても不満はねーさ。懐かしい味をもう一度味あわせてくれたんだからな。

「……匂いは、良いさね……」

「そう? なにか焦げ臭いわよ」

 隠居の方は違いのわかる隠居らしく、幸せそうな顔で香りを楽しんでいた。

 居候の方はダメだな。違いがまったくわからねーようだ。にしてもどれだけ生きても味の好き嫌いはあるもんなんだな。不思議なもんだぜ。

「なら、これを入れるとイイぜ」

 ポケットから砂糖と羊乳、あと茶菓子にバームクーヘン(っぽいもの)を出した。

「なにこれ!?」

 居候がコーヒーよりバームクーヘン(っぽいもの)の方に興味をそそられたようだ。

「うちの妹が作ったお菓子だよ」

「───なにこれ美味しいぃ~!」

 まったく聞いちゃいねーようだ。

「すまんさね。この魔女は甘いものに目がないのさ」

「まあ、女なんてそんなもんさ。まあ、喜んでもらえてなによりだ」

 妥協を許さないサプルちゃん。納得行くまで何度も試作をするので大量にあんだよ。

 ……バームクーヘン(っぽいもの)、もう見るのも嫌だよ……。

 ものがものだし、もったいない精神が働いて捨てられなかったが、好きなヤツにしょ───じゃなくて美味しく頂いてもらいましょう。

「ありがとー!」

 収納鞄からバームクーヘン(っぽいもの)を取り出して別の収納鞄に移して居候に渡すと、夢見る少女のように踊り出した。

 ……キャラ崩壊してんぞ、悠久の魔女さんよ……。

「さて。そろそろ本題に移るとしようか」

 カップを置いて隠居を見る。

「お茶に誘ってくれたのは感謝してもしきれねーが、それはそれ。これはこれだ。もう一切の妥協はしねーぞ」

 あれだけ忠告してやり、反省の機会も作ってやった。なのに、それを無視するばかりかオレを罠に嵌めやがった。それを許してやるほどオレの度量は広くも深くもねーぞ。

 パチンと、なにかが弾ける音がしたと思ったら、同じテーブルに四人の男が着いていた。

 一人はよく知りたくもねーが、腰抜けくんだ。ってことは、残りは他のマフィアのドンってことか。

 腰抜けくんはこの状況に困惑しているようだが、残りの三人は、この状況がわかるらしく、苦笑したりため息ついたりしていた。

「……ご隠居どの。今日はなにようで?」

 四人の中では一番高齢で、知的な感じのじーさんが苦笑混じりに隠居へ問うた。

「忙しいところすまんさね。実は、この少年とガマル、ダンバルーがもめてるのは知ってるかね?」

 知的な感じのじーさんがオレをチラっだけ見て隠居に目を戻した。

「話だけなら」

「グレン婆がこの少年を気に入った。この意味がわかるな」

「はい。では、今後一切、その少年に手を出さないことを誓います」

「しゃねーな。グレン婆が出てきたらおれたちにはなにも言えねーよ。ああ、うちもそのガキには手を出さねーよ」

 と、宣言したら消えてしまった。

「ダンバルーは、この少年に貸し五つと船を優先して回してやりな」

「……わかりやした。すまねぇ、少年」

 オレを見て頭を下げると、また消えてしまった。

「ヴィベルファクフィニー……は、長いからわしもベーと呼ばしてもらって良いかね?」

 構わんよと頷いて見せた。

「ベーは、どうしたらこいつを許してくれる?」

 それはどんなことでもイイってことだな。

「なら、一家総動員……は、じゃまだから代表して腰抜けくんが寺院にお参りにこい。もちろん、お布施は忘れんなよ。そうだな……うん、金貨五枚。二日に一回、金貨五枚持って寺院にお参りに行け。それを三十回続けたら許してやる。そうしたら大精霊さまがあんたらの呪いを解いてくれっかもしれねーぜ?」

 忌々しいそうな顔をしているが、隠居には逆らえないようで渋々承諾した。

「ガマル。二度はないさね」

「……は、はい。わかりやした……」

 真っ青になった腰抜けくんも消えてしまった。

「これで許してやってくれさね」

 頭を下げるご隠居さん。ほんと、敵わねーぜ……。

「わかったよ。だが、二度はねーぜ」

「ああ。構わんよ。好きにしなさんな」

 なるべくそうならないことを祈るよ。こんなおっかねー人外どもと事を構えたくねーよ。

「んじゃ、今日はご馳走さんな。グレンのばーちゃんによろしく言っといてくれや」

「ベーならいつでも歓迎さ。気が向いたらくるといいさね」

「ああ。気が向いたらくるよ。悠久の魔女さんもまたな」

「絶対にまたきなさいよ! お菓子持って!」

 ハイハイと、あしらいながらグレンのばーちゃんの家をあとにした。 
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