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村人転生~最強のスローライフ 作者:タカハシあん
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233 調子に乗りました

「この船の名は、サリエラー号よ!」

 しばらく前に船を停めてなにかを話していたと思ったら船の名前を決めていたよーだ。

 赤毛のねーちゃんの命名にオッサンズが歓喜の声を上げる。

 船のことは赤毛のねーちゃんらに任せたので勝手にしろだが、そろそろ港に行ってくんねーかな。もう三時は過ぎてんぞ。

 しょうがねーなと席を立ち、上のデッキにいるねーちゃんらのとこへと行く。

「歓喜してるとこワリーんだが、そろそろ港に行ってくれや。こっちにも予定があんだからよ」

「まだ船の中をいじってないよ。これじゃ仕事にもならないじゃないか!」

「お嬢。無理言っちゃいけませんぜ。こいつは、いや、ベーさんはおれたちの雇い主で、船の所有者だ。そこはちゃんと理解しておかなくちゃダメですぜ」

 別にあんたらの雇い主になった訳じゃねーが、外から見たらそーなんだろうな。まあ、利用したいときに利用できればイイだけだからな、あとは好き勝手にやってりゃイイさ。オレは口出ししねーよ。

「……わかったよ……」

 渋々だがオッサンに従う赤毛のねーちゃん。なんだ、よく教育されてんじゃねーの。

「港に行くまでなら応えてやるよ。まずは港に行ってくれ」

「了解だ。船はあっしが動かします。お嬢は、ベーさんに指示してくだせい」

「あ、バッブ、テメー! ズリーぞ! 操船ならおれがやるぞ!」

「いや、おれがやる!」

「ふざけんな、おれだってやりてーぞ!」

 アハハ。怖い顔をしてるクセに中身はガキだね~。まあ、そりゃオレもだがな。

「じゃあ、今日はオッサンがやれ。雇い主命令だ」

 ブーたれる残りのオッサンズ。

「やかましい! どうせ乗りこなせるために練習しなくちゃなんねーんだ、順番でやれ。ちなみにオッサンは一番最後な。一番最初をくれてやったんだからよ」

 意地悪く笑ってやると、それを理解した残りのオッサンズが歓声をあげ、悔しがるオッサンを囃し立てた。

「クソ! 覚えてやがれ!」

 捨て台詞を吐いて操縦室へと向かって行った。仲のよろしいことで。

「んで、ねーちゃんはこの船をどーしたいんだ?」

「誰よりも速く、誰よりも遠くに行ける船にしたい!」

 なにやら壮大な答えが返ってきた。

「まあ、そうしたいって言うならそうするが、この船、そんな長旅ができるほど大きくねーぞ」

 たかだか十メートル。湾内をクルージングするならイイが、百キロ二百キロと航海するなら厳しいぞ。部屋なんてねーんだからよ。

「船乗りならどこでも寝れるよ。今までそうしてきたんだからね」

 船乗りの顔、になってるかはオレにはわからねーが、誇りを持って生きてるヤツの顔は知っている。

「わかったよ。なら、船倉を部屋にして一層部を客室にする。荷物は収納魔術でなんとかする。が、そんなにデカいもんは積み込めねーからな。精々樽くらいのデカさだ。収納力はだいたいこの船くらいの広さくらいだぞ」

 小さなボディーに大収納とか燃える難題だが、探求するには船への情熱はねー。なんでそれがオレの限界だ。

「……いや、あんた、無茶言うなって顔してるけど、最新鋭の魔道船に勝ってるからね……」

 え、そうなの? 魔道船、おっくれてるぅ~。ってな冗談はともかく、このサイズでやるんならそうしなくちゃしょうがねーんだ、気にすんな、だ。

「魔道船ってことで貫き通せ。まず創って見せるから変更したいなら言え」

 まずは船倉を四つに区切りして、二つを寝室にして、一つをユニットバス、一つを倉庫とした。あとは、小物入れのスペースにして、あれとこれをつけてー、ここにサバイバルキット入れてー、あ、脱出用の扉欲しいな。そうすると海中から出入りできるところも欲しくなるぜ。おっと、材料が足りねーや。ちょっと足すか───なんて、やれば夢中になるバカなオレ。限界を軽く突破して、もう魔道船とは貫き通せねーくらいの船になってしまいましとさ。

「調子に乗りました。ごめんなさい」

 燃え尽きたように口を開けて佇むねーちゃんらに誠心誠意謝罪した。

 客室用にした一層部は全面ガラス張り(結界で補強してます)。ファンタジーな世界に未確認飛行物体を出した気分です。はい。

「いいよ、これで」

 なにやら真理を見つけた賢者のような穏やかな笑みを見せる赤毛のねーちゃん。なんかいろいろとスンマセンてす。

「皆、入港の準備だ。用意しな!」

 赤毛のねーちゃんの号令一下、茫然としてたオッサンズが動き出した。

 入港を示す旗を掲げるためにポールがいるとのことで立てやると、黄色や緑、色とりどりの旗を掲げた。

「それ、誰が見んだ?」

「あそこにいる監視人が見んだよ」

 オッサンの一人が指差す方向に、灯台みたいな塔に誰が立ているのが見えた。

「いろいろあんだな」

 前世より遥かに遅れているとは言え、人の暮らしは複雑怪奇。いや、意味違うが、雑なようで細かい決まりがあんだな、この時代にもよ……。

 餅は餅屋で任せて見てると、接岸しようてしている桟橋になにやら人だかりができていた。

「なんなんだ?」

「わからん。ん? ありゃダンバル一家のもんだな」

 まあ、こんな船だしな、何事かと出てきたんだろう。

 規則に乗っ取って入港したんだから問題ねーだろうと丘に上がったら、なぜか敵意を向けられた。

「お前らはダンバル一家が預かる。大人しく着いてこい!」

 なにやらリーダーらしき眼力のあるオヤジがそんなことを宣った。

 なんなのいったい?
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