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村人転生~最強のスローライフ 作者:タカハシあん
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230/992

230 バーカ

 今日も港は閑散としていた。

「人、少ねーな」

「今の時期は帝国の方に良い風が吹くからな、売り付けと買い付けで出払ってんだよ」

 横を歩くオッサンがそう教えてくれた。

「そー言やぁ、うちの国の特産ってなんなんだ?」

 これってもんは聞いたことねーが。

「そうだな。余り特産ってものはないが、鉄製品と羊毛が多いな。まあ、広く浅くがこの国の特徴って言えば特徴だな」

 なるほど。可もなく不可もなくって普通の国って訳ね。なんとも恵まれたところに生まれたもんだ。

「あ、ワリーが先に行って用意しててくれや。ちょっと代金を回収してくっからよ」

 オレが行っても邪魔なだけだし、待ってるのもつまんねー。ちょっくらからかいがてら行ってくっか。

「一人で良いのか?」

 どこに行くかわかったのだろう、マジな目を見せるオッサン。赤毛のねーちゃんは我関せずだ。

「構わねーよ。仕込みはバッチリだからな」

「心配するだけ無駄か。まあ、やり過ぎだけは止めてくれよ。まだ港に出入りすんだからよ」

「努力はして見るよ」

 まあ、我慢はしねーがなと心の中で付けたし、腰抜けくんちに足を向けた。

 船がいないせいか、腰抜けくんちも人は少ない。が、やることがない人足らが札遊びやおしゃべりをしている程度には繁盛(?)していた。

 人足も大変だね~と思いながら腰抜けくんちの玄関(と言ってイイのかわかんねーけどよ)くると、マッチョマンが立ち塞がっていた。

 ……前と違うヤツってことは、交代制でやってんのかな……?

 なんてどうでもイイことを考えながらマッチョマンと向き合った。まあ、見上げてるとも言うがな。

「代金を取りにきた。あんたらの親分に伝えな」

 が、返ってきたのは嘲笑だった。

「それが親分の命令なら好きなだけしな。だが、テメーらの勝手でやってんならテメーらで責任を負えよ。オレは知らねーからな」

 嘲笑が消え、動揺が走る。アホが。

 マッチョマンの一人が上へと消え、しばらくして下りてきた。

「上がれ」

 と言うのでお邪魔します。で、通されたのは腰抜けくんの部屋とは思えねー寂れた……つーか、物置? いや、なんか牢屋っぽいな。

 なんぞやと見回していると、ガシャンと音がして、振り返ると檻で塞がれていた。

 あらら。オレ、騙されちゃった?

 なんと巧妙な罠なんだと感心していると、腰抜けくんとその愉快な仲間たちが現れた。

「無様だな」

「そりゃお前の方だよ。なんだい、その三流な悪党が言いそうなセリフは? 無様にもほどがあんだろう。あ、いや、三流だからイイのか。そりゃ失礼した」

 三流に一流を求める方が間違っている。無条件でオレの失態だわ、すんません。

 誠心誠意の謝罪をした。

 と、ガシャンと檻を蹴る腰抜けくん。謝罪が足りなかったか?

「っざけんじゃぞ、このクソガキがっ!」

 ん~。ダメか。三流にも三流なりの矜持があるんだな。立派だよ、三流……。

「すまねー。三流をバカにしたようだな。これからはもっと三流を低く見るよ」

 世界の三流に全力で謝るよ。めんご!

「か、頭、落ち着いてくだせい!」

「そうですぜ、ガキの強がりですよ、こんなの!」

 愉快な仲間たちに静められ、なんとか三流の矜持を取り戻す腰抜けくん。うん、立派だ。

「……そ、そうだな。ケッ! 余裕がってのも今のうちだ。テメーには生きて生まれたことを後悔させてやるよ」

「ふ~ん。そっ」

 三流の矜持を傷付けたことは謝るが、だからって三流に付き合ってやるほど優しくねーぞ。やんなら陰でこっそりやってくれよ。見てて辛いわ。

「フン! まあ、いいさ。この部屋は魔術封じになっている。いくらテメーが訳のわからん術を使おうがこの中じゃ手も足も出せねぇんだよ」

「へ~。世の中にはそーゆーもんもあんだ。知らんかったわ~」

 やっぱ自己流じゃ限界があんな。こりゃ本格的に魔術を習わんとダメだな。

 と、まあ、今後の課題は文字通り後にして、今はこのアホだな。

 まあ、魔術封じを用意したのはお見事だが、なんの力だか見抜けてねーのに魔術と決めつけるのは頂けねーな。それに、これだけのことをしてるのに、まだオレを侮ってやがる。それとも対策済みなのか?

 ポケットから魔剣(バット)を取り出して壁を軽く叩いて見る。

 ボコりと壁が陥没して隣の部屋だかなんだかが見えた。うん。至って普通の壁だわな。

 窓側も軽く叩いて見るが、やはりなんの仕掛けもねー。壁より簡単に壊れた。

「……えーと、こんだけ……?」

 なんかいたたまれなくなってきたわ。三流、どんだけ低いんだよ。底見えねーぞ。

「「「……………」」」

 なにやら皆さん、お口全開のご様子。そりゃこっちがしてーくらいだわ。

「はぁ~。もうイイ。あんたらのアホさ加減には付き合ってらんねーよ。勝手に滅びろ」

 窓側を破壊して外へと飛び出た。

 まったく、もうちょっと賢いなら付き合ってもイイんだが、際限ねーアホと付き合ってたら頭に蛆が湧くわ。

「叩き棒、ちっともったいねーがしゃーねー。お前らにくれてやるよ」

 叩き棒に設定していた結界解除を外し、ただの叩き棒に戻した。

「まあ、オレも鬼じゃねーからな、体重の二倍で許してやるよ。残りの人生をそれで謳歌しろや」

 有効範囲が半径三十メートルなので腰抜けくんちを一周して構成員に仕掛けた結界を再発動させて行く。他にいたら後程だ。

「さて。赤毛のねーちゃんらとこに行くか」

 なにか後ろで騒いでいるようだが、もうオレには関係ねーこと。勝手に騒げだ、バーカ。

 
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