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村人転生~最強のスローライフ 作者:タカハシあん
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229 船を求めて

「船が欲しい」

 朝、寺院にきたら赤毛のねーちゃんにそんなこと言われた。

「幾らすんだ?」

 そう聞いたらなぜか目ん玉ひんむいた。なんでそうなる?

「ワリーが船の値段って知らねーんでな教えてくれや。つーか、船ってどこで売ってんだ?」

 買えるなら三隻ほど欲しいんだがな。

 目ん玉ひんむいたまま固まってしまった赤毛のねーちゃんの代わりに横にいる親父さんに尋ねた。

「……船は注文制で最低でも金貨一千枚はするからな……」

「ふ~ん。金貨一千枚とか金貨って結構あんだな」

 金鉱脈なんてそんなにあんのか、この時代?

「いや、驚くところが違うだろう」

 じゃあどこだよ? 全然わかんねーよ。

「説明が足りなかったな。タケルの話ではお前らがここにくるとき船を使ったと聞いてな。こいつがどうしても船の仕事を続けたいと聞かなくてよ。すまんな」

 なるほどね。娘の方は陸に上がるのがイヤってことか。

「船はあるが、オレの魔術で動かしてるもんだからな、他にはただの箱船だぞ」

「? 魔道船ってことか?」

「いや、そーじゃねーんだが、説明が……」

 ……まてよ。確かにあの箱船はオレにしか扱えないが、動力さえあれば別にオレじゃなくてもイイんじゃねーの。

「なあ、親父さん。あの魔道剣、風を生み出せるんだよな」

「あ、ああ。だが、魔石を必要とするぞ」

 腰に差した鞘から魔道剣を抜いて見せると、柄の部分を外して、中に収まった魔石を取り出した。

 青色をしたピストルの弾丸みたいなものが魔石のようだ。

 魔石は鉱石の括りとされ、魔の吹き溜まりから採れるもので加工や利用法方は結構昔からあるが、田舎者には余り縁のねーもので見るのはこれで二度目だ。

「それがあればイイんだな?」

「ああ。だが、風天の魔石は結構してな、これで金貨三枚はするし、効果時間が少ないときてるんだよ」

 ちょっと貸してもらい、感触を確かめた。

 風、とは言ってるが、これも大地から採れたもののようで土魔法を使ったときの魔力を感じる。が、なにか違うものも感じるな。でも、魔力量と言うか力と言うか、効果時間が少ないと言うような弱いものではないんだがな?

 魔石を返して魔道剣を使用してもらう。

 魔術を使えるので魔力の流れが見えるので、魔力を含んだ風の動きも見える。

「漏れてんな」

 柄から風に変換(オレ的な感覚でな)できなかった魔力が漏れているのが見えたのだ。

 結界でその漏れを塞いでやると、風が膨らみ、強風が荒れ狂って体を吹き飛ばされそうになった。

 慌てた親父さんが魔術を解除したお陰で被害はなかったが、周りは騒然となった。

「な、なにをしたんだ、ベー!?」

「ちょっと魔力が漏れてたから塞いでまでだ。多分、それで効果時間が伸びたと思う」

「土魔法や魔術とか、デタラメにもほどがあるぞ」

「そうか? 努力と根性で使えるようななったんだがな」

 オレは天才じゃねーからな、人の二倍も三倍もしねーと覚えねーんだよ。

「まあ、ベーだからと納得しとくわ。で、それをどうする気だ?」

「親父さんが許してくれんなら船の動力にする」

「どうりょく? なんだそれは?」

 チッ。動力って言葉もねーのかよ。メンドクセーな、まったくよ。

「なんつーか、動く力を動力って言うんだよ。まあ、馬車で例えるなら馬が動力なんだが、わかんねーよな」

「さっぱりわからん」

 だろうよ。魔力超便利な世界だしな。

「上手く説明できねーが、これを使えばオレじゃなくても船が動かせる。どうする?」

「それで頼む」

「───親父っ!?」

 ある意味似た者親子だな、この二人。

「今日からお前がこの剣の継承者だ。船の仕事はお前が決めろ」

 なんか知らんが、壮大な物語があるよえで二人だけの世界に入ってしまった。

「なんだいこれ?」

 横で黙って控えていたオッサンに尋ねた。

「魔道剣は姉さん───お嬢の母親のものでな、まあ、形見みたいなもんさ」

「ふ~ん。そりゃ薬代にしたら叫ぶわな」

「返すつもりで受け取ったんだろう?」

「まーな。そんな感じだったし」

 さすがに母親の形見とは見抜けなかったが、ねーちゃんの叫びからして大切なものなのはわかった。それを出してまで自分の価値を示したんだ、返さなきゃ外道だろうがよ。

「……なるほど。そりゃ敵わねーわ……」

 なにやら天を仰ぐオッサン。なんだいいったい?

「わかった。あたいが継ぐよ」

「ああ。好きなようにやれ。おれや母親のようにな」

 どうやら壮大な物語が終わったようで、二人がこちらの世界へと戻ってきた。

「で、イイってことだな?」

「ああ。頼む」

「了解。船を───そーだ。船って登録制なのか? それとも資格制なのか? つまり、親父さん───じゃなくて、ねーちゃんが船長なら船はなんでもよくて、船を登録してんなら船長は誰でもイイとかよ?」

「そうだな。国から海運権を買って初めて船を持てる制度になっているからな、船はなんでも良いし、船長も管理責任で登録してるまでだ。だから船長名義は港で変更すれば船は問わない。まあ、港の使用量は船の大きさで変わるし、荷で税金も変わるがな」

 つまり、海運権があればイイってことね。了解した。

「なら、港に船を入れるから必要なもんを用意してくれや。あと、船は一人でも動かせるが、オレは船のことは素人なんでな、わかるヤツと誤魔化し用に何人か選んでくれ」

「何人まで乗せられるんだ?」

「そうだな。十人は大丈夫だが、それ以上でも問題ねーよ。客船でも貨物船でも創るにはそんなに変わりねーからな」

「つくる?」

「土魔法で創んだよ」

 土魔法で下の土を集めて模型船を創って見せた。

「形の要望は素材のある場所で聞くよ。その方が手っ取り早いからな」

 なにやらこめかみをグリグリする親父さん。まあ、考えるな、感じろだ。

 そんなこんなで行くのはねーちゃんにオッサンズ四名。あと、十二、三の少年が行くよーだ。つーか、誰? 

「将来の副船長で雑用だ」

 良くわからんが、船の人事はねーちゃんの仕事。オレが口出すことじゃねー。 

「んじゃ、まずは港か?」

「ああ、だいたいのものは船に積んでるからね」

 港に行くのか。なら叩き棒を回収せんとな。

 あ、そー言やぁ今日、会長さんとこに行こうと思ってたんだっけ。まあ、約束してた訳じゃねーしな、なるようになるだ。

 つーことで港へと向かった。

 あ、タケルやデンコは昨日の続きと、親父さんらに引き継ぎをしなくちゃならんから留守番だ。

 
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