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村人転生~最強のスローライフ 作者:タカハシあん
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161 匂袋

暑くて思い付かない。なんで匂袋の話になったかも謎です。
「あれ?」

 商人通りで小麦や食用油、酒や酢を買ってジャックのおっちゃんの店にきた、のだが、その店がなかった。

「どうゆーこった?」

 年に二回か三回しかこないとは言え、方向感覚は前世からイイし、地理を覚えるのは得意な方だ。間違える訳がない。

 現に、店構えは去年きたときと同じ───ではないが、店の造りは去年と同じだ。

「……サニラ商店、か。なに屋だ?」

 不思議がっててもしゃねーし、店のモンに聞くのが一番だろうと店に入った。

「邪魔するよー」

「いらっしゃい」

 と、この店の主人だろう、三十代後半のおっちゃんが挨拶してきた。

 どうやらここは匂袋を売る店のよーだ。

 衛生なんて概念のねー時代では異臭を誤魔化すための匂袋が一般的であり、余程の貧乏人でなけりゃ誰でも持ってるものだ。まあ、うちの村は、他と比べて清潔だから匂袋は流行ってねーがな。

「なにかお探しかな?」

「あ、いや、ここ、去年までジャック薬草店じゃなかったっけ?」

「ああ、半年前にハルマ通りに店を移したよ」

 は? 店を移した?

 この時代で店を移すなんて滅多にあることじゃねー。まあ、繁盛して店を大きくするとかなら店を移っても不思議じゃねーが、ジャックのおっちゃん、そんなに繁盛してる薬草店じゃねーだろう?

「もしかしてあんた、ボブラ村のべーかい?」

「え、ああ。オレはべーだが」

 あ、うちの村、ボブラ村だったっけな。すっかり忘れてたわ。

「ジャックさんから頼まれてたんだよ。あんたがきたら店の場所を教えてやってくれってな」

 まあ、手紙なんて出すより確実だし、安上がりか。

「そりゃワリーな。手間掛けさせっちまって」

「ハハ。ジャックさんに聞いた通りの子供だな。とても九───いや十才か。ほんと、貫禄ある子供だな」

 普通じゃねーのは自覚してるが、貫禄あると言われたのは初めてだぜ。

「生意気なだけさ。で、ジャックのおっちゃんの店ってどこだい?」

 匂袋屋のおっちゃんに場所を教えてもらい、頭の中の地図で確かめた。うん、そう遠くはねーとこだな。

 ありがとなと、店を出ようとして体が待ったを掛けた。

 ……匂袋。お土産にイイんじゃね……?

 村にはないからこそのお土産であり、ドギツイのじゃなければ女衆にウケんじゃねーか。

「ん? どうしたい?」

「いや、村の土産に匂袋でもと思ってな。それほどドギツイのじゃなく、軽く薫るもんで花系の匂袋ってあるかい?」

「また、変な注文するな?」

「そうかい? うちの村は清潔にしてっからな、体臭はそれほど臭くねーんだよ。だからほんのり薫る程度でイイのさ。ねーかい?」

「ないことはないが、赤ん坊に着けるくらいの薄いもんだぞ」

 試しにとその匂袋を嗅がしてもらった。

「うん、イイんじゃねーか。これ、花か?」

「ああ。バカラって花だ」

 バカラか。聞いたことねー花だな。ここいら辺のものじゃねーのかな?

「これ買うわ。あるだけくれ。あ、他にもあるんなら買うよ」

 匂袋、ナメてたわ。これ、イイよ!

「───もしかして、毎年この頃になると大量買いする子供ってあんたか!?」

 なにやら有名になってんな、オレ……。

「なんかそーらしいな」

 まあ、だからどうしたって話だがな。

「で、売ってくれんならあるだけ買うよ。もちろん、他にもあんなら買うよ」

「ほ、本気、なのか?」

「本気だよ。あるときにあるだけ買うを信条にしてっからな」

 呆れてんのか驚いてんのかわからん顔してたが、催促したらカウンターいっぱいに出してくれた。

「幾らだい?」

「……金貨二枚と銀貨六枚だ……」

「へ~。結構すんだな、匂袋って」

 だからと言って買わねー選択はねー。イイもの、欲しいものには金にいとめはつけねー質なんでな。

 金貨二枚と銀貨六枚をカウンターに置き、確かめてもらってから収納鞄に入れて行く。

「……あのジャックさんが苦笑いする訳だ。とんでもねーガキだわ……」

「よしと。イイもん買わしてもらってありがとな。またくるわ」

 村で流行ったらラーシュんとこに送ってやろう。あそこの国は香を炊く文化だしな。あ、今度あっちから香を送ってもらうか。イイ値で売れるかもな。

 なんて皮算用しながら匂袋の店を出てジャックのおっちゃんの店へと向かった。
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