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村人転生~最強のスローライフ 作者:タカハシあん
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154 説明

「……え、えーと。説明はなし、ですか……」

 囲炉裏に蓋をして簡易テーブル置いた上に並べられた旨い料理を食していると、タケルがそんなことを言ってきた。

「なんだい説明って?」

 紹介なら夕食前にしただろうが。

「あ、いや、その、そこのモフモフちゃんは、いったいなんなので?」

 オレの横で鹿の角煮を頬張るモコモコガールに目を向けた。

 オレはモコモコって感じだけど、タケルにはモフモフに見えんだな~と思いながらオレもガールに目を向けた。

「なんでいんだ、お前?」

「え、今更!?」

 タケルの突っ込みは無視。いるのは最初からわかってたし、害はねーからホっといただけだ。

 再度問うが、食うことに集中してるようでオレの声など届いちゃいねーよ。

「まっ、いっか」

 腹一杯になれば帰んだろう。モコモコダンディらも近くで買った(うちからな)料理を食ってんだ、大した違いはねーさ。

「……いいんだ……」

「ほれ。ボーっとしてたらモコモコガールに全部食われっちまうぞ」

 モコモコガールもそうだが、タケルのヤツも結構食う。ボヤボヤしてたら食いっぱぐれんぞ。まあ、足りなけりゃ出すけどよ。

 モコモコガールが最後のナンに手を伸ばそうとしたが、一瞬早くタケルが取り上げた。

 目と目が合うタケルとモコモコガール。なにやらお互いを敵認識したようで、なんかわからんエネルギーをぶつけ合っている。

 ……ったく。お前らはなんの食いしん坊キャラだよ……。

 うちのもんは心がおおらかなのでそんな二人を苦笑しながらもあたたかく見守っていた。

 そして、いつもより長めの夕食が終わる。

 腹ぱんぱんにした食いしん坊二匹は『うーうー』いながら床に大の字。キャラかぶりか?

 なんてくだらねーことを考えながらマン〇ムタイム。あーコーヒー(モドキは止めました)うめー。

 腹が落ち着いた頃、扉が叩かれた。

「開いてるよ~」

 そう返すと、扉が開かれモコモコダンディが現れた。

「娘がお邪魔していたようで申し訳ありません」

 つーか、このモコモコダンディ、山で暮らしてた割りには常識(礼儀)を知ってんな。若い頃、冒険者でもやってたか?

「構わんよ。一人や二人増えたところでうちの食卓はびくともしねーからな」

 うちの食卓に足りないって言葉ねー。

「それより食事は終わったのかい?」

「はい。皆、腹一杯食べました」

「そりゃ良かった。腹減ってちゃ力でねーからな」

 エリナの部下やらオークやらに追われ襲われの逃亡生活だったようで食事も満足に取れなかったとか。

 最近はねーちゃんらや餌さ捕獲部隊の活躍で落ち着いたようだが、山には灰色狼や角熊、群青鳥、大虫類と言った魔物じゃねー山の生き物が沢山いる。いくら獣人とは言え、それらをかわしながらの生活は苦難でしかねー。それでも生きられたのはこの辺が豊かだからだろうよ。

「なら、そろそろやるか」

「はい、お願いします」

 よっこらせと立ち上がり、大の字になって寝てるタケルを見下ろす。

「ほれ、起きろ。行くぞ」

「へ? は? なんです、いったい?」

 なにがなんだかわからない顔をするタケルに構わず、メンドクセーと問答無用に襟首をつかみ、外へと連れ出した。

「え!? ちょっ、な、なんなんですか! あ、歩きます! 歩きますから───痛っ! 痛い痛い痛いですって! 自分で歩きますって!」

「んじゃ歩け」

 と、襟首を離し、歩かせる。あ、靴はちゃんと持ってきてやってます。

「ど、どこ行くんです? もう暗くなるじゃないですか」

「モコモコ族んとこだよ」

「モコモコ族って……見た目で言ってるでしょ、それ。つーか、なぜおれもなんです?」

「行ってから話すよ」

 タケルの疑問をばっさりと切り捨て、アバール商会の横───つーか、上? まあ、隣りに創った多目的広場(馬車できた人用の駐車場的なもんだ)に向かう。

 そこにはモコモコ族の仮設住宅? 的なものを土魔法で創ってやり、今は広場の中央に集まっていた。

「ちと暗いな」

 広場の真ん中で薪を燃やして暖にしてるが、灯りには足りず、近くしか灯してなかった。

 光球を二つ生み出して辺りを照した。

 陽の光を結界で閉じ込める方法ならもっと明るくできるんだが、それは昼間にやっておかないとならない方法だから直ぐにはできんのだ。

 場が明るくなり、モコモコ族らの表情が見て取れるようになった。

「皆、こちらを見ろ」

 モコモコダンディの声に、他のモコモコさんらがオレに目を向ける。

「聞いてるかもしんねーが、オレはベー。本当の名前じゃねーが、周りからはベーで認識されてっからベーと呼んでくれ。横にいんのはタケル。嵐山って船の持ち主で船長だ。挨拶しろ」

 タケルの背を叩き、前へと出す。

「え!? あ、え? あ、えーと、タ、タケルです。よ、よろしくお願いいたします」

 まあ、今は名前さえわかればイイと、オレらより早くきていたあんちゃんに視線を飛ばして自己紹介を促した。

「おれはアバール。アバール商会の主です。今後ともご贔屓に」

 と、営業スマイルを見せるあんちゃん。客を差別しねーとは商人の鏡だよ、ほんと。

「で、ねーちゃんらはなんでいんだ?」

 なんか当然のようにモコモコ族の後ろにいて、当然のようにしゃがんでオレらに注目していた。

「え、えーと、なんででしょうね?」

「いや、なにやってるのかしらと思って」

「まあ、好奇心に駆られてよ」

「気にしないで続けて」

 なんつーか、段々と砕けてきてねーか、このねーちゃんら? きたときはもっと威厳みてーのがあったのによ……。

「まあ、そのねーちゃんらは冒険者で、今うちの村を守ってくれてるもんだ。山で会っても殺し合うなよ」

 面通しできて丁度良かったと納得しとくか。

「腹一杯で眠いかもしんねーから短く説明する。あんたらに島をやる。まあ、そんなにデカい島じゃねーが、この人数ならしばらくはやってけるくらいの広さはある。無人島なんで一から畑を作る必要はあるが、島に自生する実を採って加工してもらいオレが買う。もちろん、金があっても島じゃ使えねーからその分の代金で食料や道具類、野菜の種などをオレからでもイイし、あんちゃんからでもイイから好きなものを買え。あんたらを島に運ぶタケルを時々行かせるからよ。とは言え、直ぐにとは行かねー。あんたらにはまず小船の扱いやら釣りの仕方、泳ぎ方を身に付けてもらう。それと毛を刈ってもらう。他にもあるが、まあ、徐々に説明して行く。オレにも都合があり、あんたらにやる道具を揃えなくちゃならんからな。まずしばらくは体力と気力を取り戻せ。体が鈍ると言うなら狩りに行くなり稽古するなりしろ。ただし、村には行くなよ。うちの村は余所モンに厳しくはねーが、さすがに獣人とかには慣れてねー。行く用事があるならあんちゃんに頼んで同行してもらえ。あんちゃんにはワリーが村長に話を通しててくれや。それと、この中から一人、雇え。そして、商人にしてくれ。族長さん、誰かやりてーってヤツがいたら出してくれ。いねーなら賢いヤツを選んでくれ。これは差し出せって言ってる訳じゃねー。いずれ島に港を造り、商船の休憩地にする。そのための準備であり、あんたら一族を生かすためのもんでもある。それを踏まえて選び出せよ。そいつ次第であんたらの未来が決まるんだからな」

 いやまあ、決まるかどうかはわからんが、商人を出しておけば少なくても利用されたり騙されたりはしねーだろう。

 この世でもっと恐ろしいのは商人なんだからな。




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