挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
村人転生~最強のスローライフ 作者:タカハシあん
しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました

ブックマークしました。

設定

更新通知 0/400

設定を保存しました
エラーが発生しました

カテゴリ

ブックマークへ

以下のブックマークを解除します。
よろしければ[解除]を押してください。

ブックマークを解除しました。

109/992

109 村長命令

トリップものを考えてたらベーの方が思い付かなかった。 
「おぉ、ベー。待たせたな」

 コーヒー(モドキ)を二杯ほど飲んだくらいに村長がやってきた。結構近くの畑にいたんだな。

「ワリーな、仕事してとこにきちまって」

「構わんさ。んで、どうしたんだ?」

「うん、まあ、な」

 言葉を濁しつつ村長を席に座らせ、ばーちゃん(元村長の嫁さん)にコーヒー(モドキ)のお代わりと村長の分を頼んだ。

「集落、賑わってんな」

「あ? ああ、そうだな。こんなときだって言うのに、うちの村の女どもときたら困ったもんだ」

「ハハ。まあ、イイじゃねーか。女が笑ってるのは豊かな証し。イイ村だってことさ」

 女が泣いてるところは悲惨でしかねー。そんなとこで暮らしたくもねーな。

「……なんか、悪いことか?」

 と、村長が真面目な顔してオレを見た。

「なんでそう思うんだい?」

 これと言って表情や気配が変わってるとは思わねーんだがな。

「ズバズバ言うお前が言い難そうにしてんだ、まるわかりだ。年の功を舐めるな」

 ハハ。そりゃ恐れ入ったよ。さすが村長やってるだけはあるぜ。

「で、なんなんだ?」

 コーヒー(モドキ)を一口飲み、気持ちを切り替えた。

「最近、この辺に出る魔物の親玉に会った」

 そう言うと、村長の時間が停止した。そのまま死ぬなよ。イイ年なんだからよ。

 コーヒー(モドキ)を飲み干し、タバコ一本吸うくらいの時間が流れた頃、やっと時間が進み出した。

「あ、う、あ、あ……」

 とは言え、衝撃が強かったせいで上手く思考できないよーだ。まあ、ムリねーけどよ。

「気をしっかり持てや。まだ触りも語ってねーんだからよ」

「だ、だが、いや、な、じゃ、じゃなくて、本当なのか? マジなのか?」

 とうとう『マジ』が村長まで浸透したようだな。

「マジだよ。まあ、会ったのはねーちゃんらと一緒だがな」

「いったいどう言うことなんだ!」

「まあ、なんつーか、魔王級のリッチがこの付近に住み着いた的な感じだ」

 簡素に述べれば、だが。

「……リ、リッチ、なのか、本当に……?」

「ああ。腐れな親玉だったよ」

 表現に間違いはない。うん。

「……よく、生きて帰ってこれたな……」

 まあ、リッチと言えば不死の王として英雄潭の敵役の定番だからな、情報の入ってこないド田舎人でもよく知ってるんだよ。その災害級の力もな。

「まーな。手下の中に話のわかるやつがいてな、話し合いの場を設けてもらったんだよ」

 嘘も方便。必要ならオレは笑顔でウソをつくぜ。

「とは言え、悪質な毒を撒き散らすヤツで、ねーちゃんらは近くにいるのも辛そうだったな。オレも精神をゴリゴリ削られて発狂しなかったのが不思議でたまんねーよ……」

 我が精神ながら太いのか細いのかわかんねーぜ。

「どうする?」

 そう村長に問うと、キョトンとした顔になる。

「ど、どうするとは?」

「だから、リッチがこの界隈に住み着いた。このまま見なかったことにして昨日と変わらない今日を過ごしてどうなるかわかんねー未来を迎えるか、それとも退治するか、または逃げるかを聞いてる。どうする?」

 まあ、こんなこと聞かれて直ぐに答えを出せるヤツなんかいねぇし、できたらこんなド田舎で村長なんかやってねーって話だがな。

「……そ、そんなこと急に言われても、わからねーよ……」

 青を通り越して白くなる村長。気の毒に、とは思うが、村のことは村長が決めるのがルール。そして、責任だ。嫌なら出てけの非情な世界なのだ。

「なら、選択肢をだしてやるが、どうする? 聞きたくねーのなら黙るが」

 誘導したことは認めるが、決めるのは村長だ。おもしろくねーのなら最初から決めろだ。

「……頼む。教えてくれ……」

「わかった」

 と言ってポットからカップにコーヒー(モドキ)を注ぎ、一口飲んだ。

「まあ、簡単なところから戦うって選択だな。ねーちゃんら級の冒険者を百人くらい雇って退治してもらうか、それとも村の男衆総出で戦うか。運が良ければ村の半分は助かるだろうな。ただ、その親玉は、他の魔王級のブタと敵対してるらしいからな、その後はわかんねーな」

 エリナの手下は数はすくないが、イケメンと美丈夫だけで村を全滅(オレら三兄弟を抜かしてな)させるくらいの力はある。ましてやエリナのテリトリーではねーちゃんらが百人いても勝ち目はあるまい。生命エネルギーを奪われて強化されるのがオチだ。敵対してるブタのことはわからなすぎて正直先がまったく読めねー。ただ、最悪なのことになるのは想像できるがな。

「で、逃げるって選択肢だな。今なら家財道具全て持って逃げられる時間はあるから一番楽な方法だな」

 エリナは極度の引きこもり。逃げても追いかけてはこんだろうさ。

「んで、さっき言ったように見なかったことにする選択だな」

 まあ、現実逃避とも言うが、その日までは幸せに暮らせるだろーて。

「これはお勧めできねーが、諦めて滅びる選択だな」

 あると言うだけの選択肢だが、一応は言っとかんな。

「さて。こん中に気に入ったのはあるかい?」

「……ある訳ないだろうが……」

 そりゃそうだわな。選べたらある意味スゲーよ。尊敬はできねーがな。

 がっくりと肩を落とした村長が、なにやら恨みまが強い目を向けてきた。

「……お前のことだ、もう考えはついてんだろう……」

「大雑把な考えはある。だが、それを押し通そうとはしねーよ。この村の村長はあんただ。あんたが決めてオレらが従う。開拓時代から続いているこの村の掟だ。それにどうこう言うつもりはねーし、変えるつもりもねー。ただ、どうしようもなくなったら、オレは家族を優先するがな」

 戦えつうなら戦うさ。逃げるならオレも逃げる。そのままでいたいならそのままで日々を過ごす。だが、殺されるのと玉砕はゴメンだ。それだけは譲れねー。罵られようが恨まれようが、オレが最後に選ぶのは家族だ。他は見捨てるぞ。

「……はぁ~。わかった。わかったよ。お前の案に乗る。だから村を救ってくれ。その協力は惜しまんし、村の不満はわしが引き受ける。村長の命令だ。方法は問わん。村を救え……」

「しゃーねーな。村長の命令だ、やってやるよ」

 話のわかる村長でオレは嬉しいよ。
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ