Is this a pen?
No, it is Tom.
Then, is it Tom?
No, it is a cockroach.
Thank you Michael
I am Tom.
02 ミラ・バ・ケッソ
―――町
あのあと、俺は城で龍の討伐代金を受取、外に出た。
確か、この世界では平民は屑扱いを受けてるんだよな。貴族か元貴族しか魔法使えないとか。
どっちにしろ劣等種だろって感じだが。俺はじーちゃん以外認めていない。他は等しく劣等種だ。
にしても、どこ行こうかな。家もねーし。
いっそ、じーちゃんが言ってたエルフの聖地でも行くか?
俺は一度路地の裏に入る。
「不可視状態にしてくれ」
『はーい』
風の精霊に頼み、光の反射を弄ってもらう。一応これで周りからは見えないだろう。
そのまま浮き上がり、適当な方向に飛翔する。
だって、エルフどこいるか知らないし。運が良ければ当たるかも知れん。外れたらそこらで遊べばいい。てかマックねーかな……。中世の世界じゃねーよな……。
しばらく飛翔していると、路地の奥の方に人の賑わいを発見した。
なんであんな所に?
少し離れた所に降り、不可視状態を解除する。
「さあ、どいつも元気な子供ばかりだよ」
手錠をつけられた子供たちが並べられている。
全然元気じゃねーし。ボロボロの服を着て死んだ魚の目だぞ?
とりあえず何をしているのか聞くにも、身体が子供じゃ相手にもされないだろう。
「10歳くらい年齢上げてくれ、あとマントと杖。ついでに豪華な服な」
『はーい』
精霊魔法で自分の姿を偽る方法がある。普通は体だけだが、そんなの少し応用すれば服も変えられる。
精霊によって身長175くらいの姿になった。髪も顔は、もともと整っていたし、金髪なのでいいだろう。
前に一歩出、ちかくのおっさんに聞いてみる。
「なあ、これは何をしているんだ?」
不機嫌そうにコチラを見たが、俺を見て目を見開く。
貴族に見えるってことだろう。
「貴族の旦那でしたか、これは奴隷売買でさー。普通は年単位の奉公のところを違法で永久にしたところでさ」
「ほう」
ふむ、違法だとかどうでもいいが、いいものじゃないな。劣等種同士でそんな無駄なことを。
……む。だが、奴隷ってのはいいかもしれない。召使って言うより、この世界のことを聞く相手がほしい。じーちゃんは引きこもってたから、あまり教えてくれなかったしな。
だが、弱い召使は足手まといだ。
「精霊、俺の周りで光輝け」
『はい』
俺の周りで四種類の色の精霊が光輝く。精霊は普通見えないので、見える奴は一応頑張れば契約は出来るやつだ。系統魔法が使えることと、精霊との感受性が高くないと見えない。
エルフは大体見えるらしいが、人間は嫌われてるらしく、精霊がわざと見えなくしているらしい。だから人間は精霊魔法が使えないのだ。
見まわしてみると、一人の少女がこちらを驚いた目で見ていた。
試しに少女の周りに精霊を飛ばしてみると、目で追っている。
ビンゴ!
俺は奴隷商人の目の前まで行き、話しかけてみる。
「なあ、この少女はなんだ?」
「へぇ、一応貴族だった子でさー。魔法はドットが使える程度でね。ご覧のとおり、顔の火傷と腕がないですが、初物ですし、魔法は使えますんで、どうですか? 安くしときますよ」
ふむ、確かに左半面汚い布で包まれている。右腕が半ばからなく、コチラも汚い布で覆われている。このままだと化膿し、病気にでもなって死ぬだろう。顔事態は普通に可愛い。小さい頃のユウナレベルだ。
処女かどうかってのはやるつもりはないからどうでもいい。それならそれでいい程度だ。
「なんでこうなった?」
「顔の方は昔からのようですが、お恥ずかしい限り、ここに運ぶ途中魔物に襲われまして、魔法が使えるとのことで、護衛させてたときに腕を……」
ふむー……運悪いな。大方没落貴族だろう。小さい頃に魔法が暴発して火傷、家は没落。そのあとにコレって感じだろうな――面白いな。
俺はニヤリと顔をゆがませた。
「買おう。いくらだ」
「へぇ、こんな見た目でさー、100エキューで結構です」
人間の価値なんてそんなものか。てか、金数えるのが面倒だ。たしか、報酬でもらった金を1000エキューずつ小分けにしてもらってたな。
大きな袋を取り出し、適当に三分の一程度取り出して渡す。
「釣りはいらん。その少女をもらおう」
「へ、へぇ! ありがとうござっしたー!」
商人は慌てて少女の手錠を鍵で開け、こちらに渡してくる。
うん。臭い。少女くせーよ!
ダメだコレはキツイ。
俺は少女に金貨の入った麻袋を渡す。
少女が不思議そうにコチラを見ている。
「そんな服じゃ臭くて連れて歩けないだろ? この後宿に行って体キレイにしたら、服買ってこい。その金は全部使っちまっていいから」
俺の言葉に目を見開く少女だが、どうでもいい。
周りの客や商人も目を見開いているが、こっちもどうでもいい。
「店主、金は足りただろ? ではな」
俺は少女を連れてそこを離れることにした。臭いので、風の精霊の力を借りて匂いを消している。
「また、どうぞー」
商人はほくほく顔で見送ってくれるが、それこそどうでもいい。今日は宿でもとるか。
―――宿
「あの、ありがとうございました」
少女がペコリとおじぎをする。
震えてる事から商人にそう言えって言われてるのかもしれないな。
風呂から上がって匂いもとれている。
一番高い宿に泊っているので風呂もちゃんとあったようだ。
この世界は風呂も貴族用しかないから仕方ない。
改めて見てみると、キレイな少女だ。
髪は腰までの金髪で透きとおるような白い肌。大きな蒼い瞳。
まぁ傷の部分をタオルで隠しているが。服は着てくるなと言ってあるから。
別に犯るつもりもない。親父の命令もないわけだしな。そもそももう親父じゃないし。
ただ、汚い服をまた着たら意味がないからだ。
「別にいい」
そう言いながら、俺は元の姿に戻る。
「え? ええ?」
少女は混乱気味だが、いつもあの姿でいるわけにはいかないだろう。
「ああ、俺の年齢は7歳だ。お前もそのくらいだろ?」
「あ、は、はい。同じ年齢です」
まだ呆然としているが、別にいい。
「とりあえずタオル全部とれ」
「え……えっと、わたしは火傷が……」
「知っている。いいから脱げ」
少女は緊張しながらタオルをパサリと床に落とす。
一糸まとわぬことが恥ずかしいのか、頬を赤く染めている。
「あの……初めてなのでうまくできるか……」
「はぁ、勘違いするな。そもそも俺もお前もこんな体でどうやってやるんだっての。出来るとは思うがやるつもりはない。とりあえずこっちこい」
少女がおずおずとこちらに近づいてくる。
「あ……」
軽く火傷に触れてみるが、ふむ。目もやられているのか。こりゃキツイだろうな。
腕も水メイジが直したのかも知れんが、実力不足だ。化膿しはじめてる。
よく痛みを我慢して風呂入れたな。精神力もこの年で結構なものだな。
さて、どうやって治すか。腕が無くなるくらいなら、前の世界でもケアルで直せたしな。
魔力も同時に回復させるか。あとは、化膿や病気を治すために万能薬か。
俺は影から二つのガラス瓶を取り出す。
「え? それは?」
「ああ、この影の中に収納できるんだ。魔法だな」
「はあ……」
納得してないようだが、魔法って便利な言葉だ。
「コレ先に飲んで、こっちを後に飲め」
エリクサーを最初に呑ませ、万能薬を次に呑ませる。
「わかりました」
素直だな。まあ、俺の命令は聞くしかないのだが、奴隷だし。
クピクピと飲み始める少女。てか遅せーよ! 一口飲んで、口離して飲み込むってあり得ないだろ?
「一気に飲め」
勢いよく飲ませてみる、苦しそうだが、遅すぎるのだ。
少女の体が緑色に大きく光輝き、光が納まると、腕が元に戻っていた。見えない目も見えるようになっているし、火傷もきれいに治っている。
「わ、わわ、すごいすごい!」
少女がぴょんぴょん跳ねて、嬉しそうに治った右腕を振っているが、変色している部分もあることから、病気だろう。
「いいから、もう一個も飲め」
「は、はいっ!」
少女が万能薬も飲み干す。
傷を負っていた部分やお腹。更には秘所まで輝きだす。
エイズかかってなコイツ。汚くしてたからだまったく。
キレイに腕の変色もなおった。
「か、体が軽いです!」
「ああ、てかお前ちゃんと洗え。初体験もしてないのに性病にかかるってどんなだよ」
「うぅ……はい」
顔を真っ赤にさせて照れているが自業自得だ。
「あの……」
もじもじと照れているがなんだ……。
「今の薬ってどれくらいするんでしょうか……代金を」
「ああ、払えないだろうから気にするな。考えてみろ。瀕死まで切り刻まれても治せる薬と、病気だろうとなんだろうと治せる薬だぞ? 貴族だって喉から手が出るほど欲しい薬だ」
「あう……」
少女の顔が青ざめてゆく。まぁ、そうだろ。エリクサーなんてこの世界なら俺しか精製出来ない。俺ってかGFに作ってもらうんだが。最低でも100万エキューは軽くする。
「だから気にするな。その変わり一生俺に仕えてもらうからな。逃げたら地の果てまで追いかけて殺す」
「は、はい!」
はあ、厳しく言って睨みつけたのに嬉しそうに返事しやがって。まあ、この調子なら逃げないだろうな。
「そういや、俺の名前言ってなかったな。ウィディス・ラ・リバルスティンだ」
「あ、わたしはミラです。家名は今はないです」
「ぶっ!」
「へ?」
思わず拭いてしまった。なにこれ? 運命ですか?
「ミラ・バ・ケッソって名前だったのか?」
「はい、よくわかりましたね」
小首をかしげてるが、ありえないだろ。アホすぎるだろ……。
「そう言えば、ウィディス様はどこの貴族様ですか?」
「いや、俺は貴族じゃないぞ?」
「はい?」
「あー、だから。金はあるけど貴族じゃない。どうするか考え中だ。てか、座れ。ずっと全裸で立ったままか?」
そう言うと、忘れてたのか、顔を真っ赤にさせて横のベットにチョコンと座る。
膝を閉じて背筋をピンと伸ばしている。貴族スゲーな。この年齢でもしっかりしてやがる。
「お金はあるのにですか? それならゲルマニアで貴族になるのがいいかと。お金があれば貴族になれる国ですので」
「貴族になったほうがいいのか?」
「はい。基本平民は貴族様には逆らえないので、土台からして違います。無意味に混乱もまねかず、どこにでも自由に出入り出来るので、貴族になった方がいいかもです」
ふむ。貴族の言うことなんて聞くつもりもないが、いちいち喧嘩吹っ掛けられるのもどうかと思う。
にしても、こいつは100エキューでいい買い物したかもしれないな。相談役にうってつけだ。
「ならそこに行くか?」
「あ、でも爵位を買うのに3000エキューくらい。領地を買うのに数万エキューくらいかかるかと」
「別にそれくらいならいい。明日朝一で服買って爵位買うぞ」
「はあ、わかりました」
「じゃ、おやすみ、ミラ」
「おやすみなさいませ、ウィディス様」
さて、明日から忙しくなるか。
一応コイツも魔法使いだから、反逆してくるかもしれないし、自分にオートリフレクとオートプロセスのアビリティセットしておくか……。
ケアル――HP回復。
エリクサー――対象のHPMP回復。
オートリフレク――常時魔法反射
オートプロセス――常時物理軽減
アビリティ――GFが覚えたスキルをプレイヤーにセットする。HP80%アップもコレ。
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