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※この話はフィクションです。実在する個人名、団体名、その他固有名詞とは全く一切関係ありません。うそっぱちです
長門Limited
作:オオタユウヤ





「好きだ、長門!」

最初にその言葉を聞いたときは何かの冗談だと思った
彼がわたしのことを好き、スキというのは人が人に好意があること伝えるときに使う『好き』なのだろうか?いや、そんなことはありえない。彼は涼宮ハルヒに選ばれた『鍵』なのだ。彼とわたしが結ばれることはあってはならない。よってわたしはこの場では拒否の言葉を伝えなければならない。
なのに、何故わたしはこんなことを言ってしまったのであろう



「…本当?」

わたしの口からは拒否の言葉ではなく、確かめの言葉がでてきたのである

「ああ、好きだ」

彼はもう一度、思いを伝えてきた。今度こそ拒否の言葉を発しなければならない。
早く…拒否の言葉を……

「…わたしも……好き」

わたしの口からでてきた言葉は受け入れの言葉であった。なぜ、なぜなの先ほどからわたしの口から発せられる言葉はわたしの考えとは真逆の言葉。
なぜ…?いや、わかっている。わたし自身の個体がそう望んでいるからである。わたしは彼の思いを受け入れることにした。これは『涼宮ハルヒ』でも『情報統合思念体』でもなく、わたしか決めたこと。そう、わたしは誰のものでもないわたしのもの。わたしはわたしが望むがままに生きて行こう、そう思った。











次の日から、彼とわたしは行動を共にする機会がふえた。
昼休みになると彼は部室に来るのだ、その時点でわたしは読みかけの本に栞を挟み、彼と一緒に昼食をとるのだ。
放課後はSOS団の活動を終えてからわたし達以外の部員が帰ったのを確認して、一緒に帰っている。
あたり前だがわたしと彼が付き合っているということは周りの人間には伝えていない。万が一涼宮ハルヒにこのことがばれるわけにはいかないと、彼が提案したのである。わたしはその提案に賛成した。彼が言うようにもしこのことが涼宮ハルヒに知れればなんらかの『情報爆発』や『暴走』を起こすことが予測されていたからである。
彼は毎日わたしを家まで送ってくれる。その後彼はわたしの家にきて、とりとめもない話しをし、お茶を一杯飲み終えたころに帰って行く。
休日の日に行われるSOS団市内探索では、わたしの『情報操作』の能力を使い彼とわたしを同じペアにしている。
そのあとは図書館などに行き、時間を潰している。そんな普通の日常がわたしにとってはとても幸せな日々であった。わたしは今まで涼宮ハルヒを『観察』するためだけに存在していた、それが彼とであってから一気に豹変した、彼には本当に心から感謝している。彼のおかげでわたしは、今までなにも感じなかった毎日を楽しいと感じている。



だがわたしはわかっていたこんな日々はそう長くは続かないと………。だからわたしは少しでも長くこんな日が続いて欲しい、そう願った

















そんなわたしの願いは、もろくも崩れ去った。


それはある日のSOS団の部室

「ねぇ、キョン、それと有希も」

「何だ?」

「何?」

「ちょっと変なこと聞いてもいい?」

「だから何だ!」


「えーと、これはあくまでわたしの勘なんだけど…、もしかしてあんた達付き合ってるんじゃ……」
ガタっ
扉を開け、古泉一樹が入ってきた

「よう、古泉遅かったじゃ………おい古泉、その怪我どうしたんだよ!」

古泉一樹は全体に包帯を巻いていた

「古泉くんどうしたの、ひどい怪我じゃない」

「なに、少々交通事故にあってしまいまして。ですが見ためほどたいした怪我ではないですよ」
「交通事故ってお前、今日はもう帰ったほうが良いんじゃないか?なぁハルヒ」

「そうね、古泉くんあなたは今日は家でじっくり休養しなさい。これは団長命令よ!」

「それではお言葉に甘えて今日は休ましていただきましょう。その前に長門さん、少しお話しがあるのですが、よろしいでしょうか?」

「何?」

「ここでは何なので外で」

「…わかった」









わたしは古泉一樹に連れられ非常階段までやってきた

「ここなら誰にも聞かれる心配はないでしょう」

そう言って古泉一樹は喋りだした

「実はこの怪我は交通事故でしたのではないのです」

「…閉鎖空間」

「話しが早くて助かります。そうですこの怪我は閉鎖空間にて神人によってあたえられたものです」
「ここ最近、閉鎖空間の出現率が急激に増えてきています。その理由あなたはご存じのはずです」

「……」

「おや、知らないとは言わせませんよ」

「いつから?」

「それはあなたと彼の関係をいつから知っていたのかということですね?」

「……」

「ごく最近ですよ。あなたが情報障壁を展開していたおかげで少々てこずりましてね。ですが『機関』をあまり甘く見ないほうがいいですよ」

「前フリはもういい」

「そうですか。では本題に入ります」
「彼のことはあきらめていただきませんか?」

「いやだと言ったら?」

「……実は今日僕は『機関』の命令で来たわけではないのです。『機関』はもうあなたが彼をあきらめるつもりはないと思い、強行策にでるつもりです。僕がなんとか説得しているのですが、もう時間の問題でしょう。ですから僕は『機関』の命令ではなく、SOS団の親しい友人としてあなたにお願いします。彼のことはあきらめてください、このままでは『機関』はどんなてを使ってでも、あなた達の仲を切り裂くでしょう」
「…わたしが守る」
「あなたが強いのは知っています。知っているからこそ『機関』も本気で来るでしょう。
そんな中であなたは彼を必ず守りきれると言い切れますか?先ほどもいいましたが『機関』をあまり甘く見ないほうがいいですよ。『機関』はかなりの大組織です、数でこられたらいくらあなたでも限界が来るでしょう。そうなったら彼は傷付きます。いえ、下手したら死ぬこともありえます。あなたはそれでも良いのですか」

「…少し……考えさせて」

「ですがあまり時間はありません。もって…3日というところです。それまでに決着をつけて下さい」

「……わかった」

「それでは僕はもう行きます」

そう言うと古泉一樹は出口に向かって歩きだした……ふいに古泉一樹は振り返りわたしに言った

「長門さん、あなたにばかり辛いやくめを押し付けて本当に申し訳ないと思っています」

「…………あなたは悪くない」

そう古泉一樹は何も悪くない。もしわたしが何かを恨むのだとしたら彼を愛してしまったわたし自身の心なのであろう









「……ナ…ガト……長門ッ!」

わたしはその声で我に帰った。ふと見ると、彼が心配そうな顔でわたしを見ている。そうだ、今わたしは彼と一緒に下校している途中だった

「何?」

「いや、ぼーっとしてるから大丈夫かなって」

「大丈夫」

「ならいいんだけどさ。そういえばさっき古泉となに話してたんだ?」

「たいしたことではない」

「そっか」

そんな会話をしているうちにわたしの家の前までついた。

「今日は用事があるからここまでで帰るよ」

「そう」

「じゃあ明日また学校で」

そう言うと彼は歩きだした。

彼が行ってしまう。そう思うといてもたってもいられなくなり

「…待ってッ!」

気がつくとわたしは彼を引き止めていた。
なぜ彼を引き止めたのだろう
わたしはまだ迷っているのであろうか。


いや、もう結論はでている。わたしは決着をつけるために彼を引き止めた…

わたしはこの恋に決着をつけようと思う…











「…わたしの家」

「よって行けってことか?でも今日は用事が…」

「………」

「…と思ったがやっぱりよって行こうかな」

俯いていたわたしの心中を察しってか、彼はそう言ってくれた。
そんな彼の優しさにふれていると決心が揺るぎそうになる

だけどわたしは決着をつける。
世界のために?いや、彼のため、そしてわたしのためにも…












わたしと彼は今わたしの家にいる

彼はわたしのだしたお茶をすすりながら沈黙を保っている。何を話せばいいかわからないと言った様子だ



こうして永遠に続くのか、という沈黙をわたしは破った






「…あなたにお願いがある」

「なんだお願いって」

わたしは彼の隣まで行って、顔を突き出して言った―


「…キス……して」

「なっ、本気か」

「あなたはわたしのことが好き?

「そりゃ好きだけど」

「なら……いい」

「でも―」

彼はそれ以上言葉を発せなかった。
なぜか、わたしの唇が彼の唇をふさいでいたからである

ほんの10秒ほどのキス、唇を離すと彼は顔を赤面させていた

「な、長門いきなり…」

わたしは顔を突き出しさらに言った

「次はあなたからわたしにキス……して」

「いいのか?」

「いい」

「長門―」





この夜、彼とわたしは結ばれた















深夜―

彼は疲れてわたしの膝の上で眠っている

なぜあんなことをしたのだろう

わたしは考え、結論をだした

絆が欲しかったから。
彼とわたしの確かな絆が欲しかったのだ

これで思い残すことはなにもない















「………ッ!」

わたしはいつのまにか泣いていた
なぜ?わたしは彼と出会ったことを後悔している?

…いや、わたしは彼と出会ったことも、彼を好きになったことも何一つ後悔していない―

じゃあなぜ?

なぜわたしは泣くの?


何度解析しても理由がわからない

理由なんてものは無いのかもしれない
ただ泣きたいから泣くそれだけなのかもしれない















わたしにとって彼は運命の人だった
だけど彼にとって、わたしは運命の人ではなかった

ただそれだけだ



「さようなら…………わたしの運命の人」















わたしは彼の記憶を消した


























長門Limited――END――――














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