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そして最後の舞台の幕が上がった

断罪編スタートです。

そしてちょっとご報告。

19日の午前中に前話を御覧になってくださった皆様、勇者の前世の性別に訂正があります。勇者の前世は男性です。私の修正ミスで分かりにくい事をしてしまい、申し訳ありませんでした。

そして高神正明は決断した、加賀美響子との婚約を破棄して狭山由香里と幸せになることを。

響子を切り捨て、由香里と新しい未来を生きることを決めた彼だったが、それには障害があった。


正明はまず、由香里の取り巻きになっていた他の生徒会メンバーに由香里と自分が婚約することを告げた。由香里に告白することなく失恋した彼らだったが、彼女が幸せならと諦めた。御三家の正明に逆らうほど、彼女に執着はしていなかったからだ。正明は響子との婚約破棄に立ち会ってほしいと傷心の彼らに頼んだ。五家や十家出身の彼らが味方してくれれば、響子も逆らえないと思ったからだ。


そして、実家に知られれば反対され、由香里と引き離されるのは明白だった。だからこそ、家からの横槍が入る前に衆目の前で婚約破棄をみせつける必要があった。彼は一番人が集まる時間と場所を選んだ、寮生も通学生も必ず通る、登校時間の下駄箱前である。


由香里にかまけて、生徒会の仕事が滞っていたことを生徒達は噂で聞いていた。そのことも、彼らの評価を下げていたが何よりも生徒達を辟易させたのは所構わずイチャつく姿だった。


女生徒の方が多い学園の為、由香里に対する嫉妬は激しかった。しかし、彼女には風紀の警護がついていた上に誰も、高神の不興をかいたくはなかった。身のふたもない言い方をすれば、正明や他の役員にそこまでする魅力が無かった。


それに、女子達のトップである響子に淑女としての姿を忘れませんようにと釘を刺されていた。そんなことも知らない正明たちは冷たい目で自分達を静観する生徒達に気づかなかった。彼らの未来が明るいものではないことは傍観者である彼らでさえ気づいていたのに…。


正明の腕に巻きつくように抱きついている由香里、そんな由香里を切なそうに見る取り巻き達が下駄箱前に立ちふさがっているために、近付けず遠巻きにする生徒達だった。邪魔をしないようにと教師は正明達に釘を刺されていたために何も出来ず、職員室にこもっていた。だが、正明達は知らない。彼らの言う通りにするようにと風紀から通告があったことを。


そして、舞台は整った。加賀美響子が登場したのだ。彼女は立ちふさがる正明の前で優雅に朝の挨拶をした。婚約者である正明と由香里がべったりとくっついていることに彼女はかけらも動揺しなかった。


「響子、俺は由香里と愛し合っているんだ。彼女と結婚するから、お前との婚約は破棄する」


挨拶も返さずに、開口一番に彼は言った。腕に由香里を巻き付け、どや顔で言い放った俺様会長に傍観していた周囲はどん引きだった。


「ごめんね、正明には婚約者がいるんだから、諦めなきゃって思ったんだけど、愛してるの!正明も私を愛してくれているんだもの、もう心にうそはつけないの。お願いだから、正明のことを諦めて!」


懇願に見せかけて上から目線で彼女に訴える由香里を熱のこもった目で見つめる正明達は、響子の目に一瞬宿った侮蔑の光に気づかなかった。


「婚約を破棄なさるのなら、家の干渉を受ける前に私との婚約を破棄して狭山様と婚約すること、狭山様と正明様は私とはもう一切関わらないとこれに書いてくださいませ。狭山様もサインなさってね。婚約は契約なのですから、それを破棄したという確かな証拠が必要ですわ」


そう言って、鞄から取り出したバインダーに挟んだ複写式の紙に記入を求める響子だった。彼女の準備の良さに少し戸惑いながらも、これでいいか?と彼らはサインを済ませて響子に渡した。


裏が読めない男、正明は素直に受け入れた響子に不審な気持ちもあったが、これまでも自分に不利益を与えずに支えてきた彼女の実力は評価していたために悪魔の取引にサインしたことに気づかなかった。


「ありがとうございます!ほんとうに良かった!正明様、狭山様、お幸せにね」


書類を大切そうに鞄にしまって、はればれと笑う見たことも無く生き生きした響子に見とれ、ボーっとする正明だった。だが、腕に抱きついている由香里が「なによ、悪役のくせに」とつぶやきながらギュッと力を込めて腕を握りしめた為に悪役って?っと思いながらも慌てて、お前なんでそんなに喜んでいるんだ?と問いかけた。


そして、彼は知ることになる驚愕の事実を。


自分が知ろうともしなかった高神の真実を。


そして…愛した人の本当の姿を。



断罪編スタートしました!


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