「みんなー。よしお兄さんだよー。こんにーちーはー」
ある子供向け番組。よしお兄さんと称するマッチョな男が、画面に向かって叫んでる。
「おーやおや。返事がないね。最近の子はしけてるって本当かなぁ」
わざとらしく、腕を組んで歩いてみせる。
「ちゃんと返事せぇ!」
急に、セットの木を蹴飛ばした。
すると、画面の方角から、数十人のガキがどたどたと飛び出して、男をボコボコにした。
CM中。
CMが明けると、男は、半ケツ状態で、カメラの中央、うつぶせとなり倒れていた。
どこからか、ナレーションが聞こえる。野太いオヤジの声だ。
「おっと。よしお兄さんが動かなくなってしまったぞ。みんな、お兄さんを復活させるには、方法はただ一つ。励ますことなんだ」
すると、どこからか、ちびっこたちの黄色い歓声。
「きゃー。お兄さーん。たってー」
「がんばってー。負けちゃやだよう」
「ファイト、ファイト、よ、し、お!」
起き上がる気配がまったくない。
すると、スタジオ内が急に暗くなり、雷が落ちてきた。
ゴロゴロピカーッ!
男を直撃した。
すると、どうしたことでしょう。
男の体がみるみる膨れ上がっていったのです。うつぶせのまま。
ついには、スタジオをはみ出し、カメラマンやらディレクターやら大騒ぎです。
男はその騒ぎで目を覚ましました。
「むう。ここはいったいどこなんだ・・・・・・」
どうやら、男は前後の記憶がないようです。
また、ナレーションがかかりました。今度は、甲高いオバハンの声です。
「コラッ。よしお! あんた、また巨大化して! 今晩、メシ抜きにするよ!」
「わ。わ。か、母ちゃん。カンベン!」
男はあわてて縮んでいきました。
縮みすぎて、虫くらいの大きさになってしまいました。
ADが気づかずに、ふんづけてしまいました。
ぶちゅっと音がしました。
テレビ局の外は激しい雨です。
その音は、まるで、鳴り止まぬ銃撃戦を思わせ、たけしクンは怖くなって、また蒲団の中にもぐってしまいました。
たけしクンというのは、西小五年の男の子です。野球部です。(おわり)
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