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カンナのカンナ 異端召喚者はシナリオブレイカー 作者:ナカノムラアヤスケ

第七の部 望まれぬ再会

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第八十四話 もやっとしました

メルィィィィィィイクルィスマァァァァァァス!(巻き舌+ヤケッパチ)。

マックでナゲットx15個入りを貪りながら執筆しました。
口にしたカロリーが陰謀編を考えている脳細胞に吸い取られる勢いです。

余談ですが、12/24日に投稿したキャラ容姿設定でファイマさんの元ネタがわかる人が結構いらっしゃったことが嬉しいです。
 
 牢屋から出られたとは言え、俺は依然と無罪放免というわけではなく、とりあえずは幻竜騎士団に身柄預かりという形になったらしい。

「全く。リーディアル様から報を受けたときは開いた口が塞がらなかったぞ。ほら、君のギルドカードだ」
「や、色々と悪いな。助かる」

 道すがらにタマルに預けていたギルドカードを受け取り、俺は今回の件に関しての礼を口にした。俺の軽い調子に、仮面の奥の美貌がため息をついたのだけは分かった。

「一応、騎士団の屯所に来てもらうぞ。君を幻竜騎士団で預かる為の手続きをかなり急ぎで行ったからな。詳しい事情は書類に軽く目を通した程度であまり把握していない」
「…………ちなみに、どこら辺までは知ってるんだ?」
「『他国の貴族ご令嬢誘拐未遂』の容疑で、君が拘束されていたという程度だ」

 俺がどこのご令嬢・・・・・を誘拐未遂したのかはまだ知らないようだ。建前上はお忍び旅行だって話だし、あからさまに名前を出すのは躊躇われるんだろうな。

「先に言っておくが、私の介入がなければ、君は最悪の場合は『処刑』されていた可能性もあるぞ」
「…………………………………………………え、マジで?」

 さらっと口にされたバッドエンドに、俺は一分近くを要してからようやく間抜け面した声を返した。

「君は人の機微には聡いが政治関連には本当に疎いな。事情があるだけに、仕方がないのではあろうが」
「お嬢様をちょっとだけ連れ回しただけだぞ?」
「連れ回した相手が些か悪すぎたようだ。通常ならしばらくの禁固刑か強制労働で済んだのだろうが」

 詳しい話は屯所に着いてからだ、とレグルスの歩みが早くなる。その口振りからきな臭いものを感じた俺は、そこからは会話無く道を進む。

 幻竜騎士団の屯所は皇居の側にある建物だった。警邏駐屯所とは比べものにならないほどの規模で、あちらが派出所ならこちらは警察署だ。

 門の左右を固めている騎士団員は、レグルスの姿を確認すると「お疲れさまです!」と敬礼を行う。レグルスは「ご苦労」と言い残すと屯所の中に入っていった。俺もその後に続こうとすると、門番騎士の二人から不審者を見るかのような視線を頂いた。そりゃ団長様がこんな胡散臭い小僧(笑)をつれて屯所に戻ってきたら変に思うだろうさ。

 そんな彼らの反応はさておき、俺はレグルスの後を追って屯所の奥へと進んでいった。やがて通路上にあった他のよりも装飾が凝った両開きの扉にまでたどり着くと、その中に入っていった。

 調度品こそ形状に違いはあるが、その配置はギルドにあるリーディアルの婆さんが使っている執務室に近いな。どうやらここは幻竜騎士団団長の仕事部屋らしいな。

「私は軽装に着替えてくる。そこのソファーにでも座って待っていてくれ」

 レグルスは纏っている鎧各部の留め金を弄りながら、部屋内部にある隣室への扉へと向かう。どうやら更衣室らしい。

 あの奥で、レグルスは鎧の中身を解放するのか。

(…………や、まてまて。さすがにダメだろ)

 もやっと燃焼しそうになる思春期男子のスケベ根性を意志の力で沈静化させる。あの鎧の奥に納められた魅惑の双丘を拝みたいのは紛れもない本心だが、だからといってこの世界に来てから多大な恩のある相手に不義理を通すわけにはいかない。断腸だんちょうの思いで団長だんちょうの更衣最中に突撃をかますのは我慢する。

 ダンチョウだけに!

「…………くだらなすぎて泣けてくらぁな」

 くだらないことを考えたら色々と萎えた。しばらくして、全身鎧を脱いで軽装になった幻竜騎士団の団長様ーーレアルが部屋に戻ってきた。

 彼女は執務机の席に座ると、机の上に乗っていた書類を手に取る。

「待たせたな。早速で悪いが、君が拘束された経緯を詳しく教えてくれ。簡単な報告は既に受けているが、当事者の話は聞かされていないのでな」

 促された俺は、先日の一件ーーファイマと再会してから帝国軍人に拘束され、牢屋に入れられるまでの詳しい内容をレアルに説明した。拘束されたときの事情聴取とは違い、今度は包み隠さずすべてを話した。



 話を聞き終えたレアルは頭痛を堪えるように額に手を当てると。

「…………君はいったい何をやっているんだ?」

 全く同じ台詞を先ほど聞いたな。

「まぁいい。その妙にチャラい男はこの際無視しても問題ないだろう。むしろ『彼女』の身分を知らずに手を出そうとした時点で非はあちらにある。対処の方法に少々の問題はあろうが、騒ぎ立てて損をするのはあちらであろうからな」

 レアルの出した結論は俺の予想と大差なかったが、声に含まれている堅さは見逃さなかった。

「…………ファイマの奴は、そんなにやんごとない・・・・・・御身分だってのか?」
「私とて、今回の件にファイマ嬢が関わっているとは、君の話を聞くまでついぞ思わなかった。書類の上でも『他国のご令嬢』という情報以外は伏せられていたのでな」

 レアルは再確認に手元の書類へ視線を動かす。

「何度読み返しても書類上でファイマ嬢の名前は一言も記載されていない。具体的にどこの家の者かもな。ただし、以降は彼女とその一行を国賓待遇で迎え入れよ、との指示が下っている」

 国賓待遇ーー国が公式に認めた最上級の客を迎えるときの言葉だ。

「ここに来る途中に聞いた『処刑』ってぇのはこれが原因か?」
「あれは最悪の結果を想定してだ。国の賓客を無断で連れ回したんだ。万が一の場合を考えれば、重い処罰は免れなかっただろう」
「…………俺の見通しが甘かったのか。それとも」
「今回ばかりはファイマ嬢の認識が甘かった、と言わざるをえない」

 お嬢様のお茶目…………にしては問題が大きすぎか。

(や、ファイマはちょいと向こう見ずなところがあるが、そこまで思慮は浅くないはず)

 事実、彼女は一週間前の別れ際に「こんなことになるなんて」と口にしていた。ファイマは己が国賓待遇であることを知らなかった、と言うことだ。彼女の様子からしてもおそらくそれは間違いない。ドラクニルに来た時点では国賓ではなく貴族ではあるが、旅行者としての立場でしかなかったはずだ。

「レアル。あのお嬢様を国賓待遇で迎えろって指示は、具体的にいつごろ発行されたんだ?」
「指示は…………丁度君がお嬢様を連れ回した日・・・・・・・・・・だな。それが記載された書類がこちらの手元に回ってきたのは、君が拘束されたという知らせをリーディアル様から受けた翌日だったが」

 偶然と一言で片づけるにはタイミングはいいが、かといって必然と結論を出すには足りない。

「…………君が何のつもりでそれを聞いたのかはあえて問わないが、下手な憶測は止めておけ。少なくとも、現時点ではな」

 彼女は彼女なりに思うところがあるようだ。レアルの忠告に、俺はそれ以上を聞くことができずに押し黙った。

 話題を変える為か、レアルはそれまでよりもあえて軽い口調で言った。

「幸いにも、君の身元はリーディアル様が保証してくれている。ギルドと帝国軍は別組織ではあるが、あのお方個人は皇帝陛下からの信頼も厚い。幻竜騎士団団長としての『レグルス』も、鉱山での一件で君が信じられる人材であると証言している。今すぐに、とはいかないだろうが遠からず疑いは晴れるだろう」

 単純なコネと権力を頼りにギルドへ話を通したが、どうやら予想以上に頼りがいのある人間と知り合っていたようだ。

「ただ申し訳ないが、しばらくの間はドラクニルの外に出るのは控えてほしい。容疑が晴れない身で帝都の外に出れば逃亡の疑いが掛けられる可能性がある。冒険者としての依頼も自粛してくれ」
「問題ない。冒険者家業を始めてから貯金が貯まる一方でな。そろそろ安い一軒家なら購入できるぐらいは稼いでる」

 もし暇を持て余したのなら、タマルの奴に紹介したように雑事系の依頼を受ければそれも潰せる。庭の手入れとかを手伝うと、依頼した奥様やら婆様やらから昼食やらおやつやらを頂けることもある。

「そういえば、君が伝言を任せたタマルとか言うゴロツキだがな」
「…………まさかギルドの方で問題でも起こしたか?」
「いや、ギルドに来た当日に登録試験を受けて、どうにか合格したらしい。実力的にはまだまだ未熟だがいい根性をしていると試験の担当官が誉めていたようだ」

 ほッ、と俺は安堵した。冒険者を進めた手前、少しばかりタマルのその後が気になってはいたのだ。合格してくれたようで何よりだ。後は奴の頑張り次第だ。

「や、ちょいまて。俺はタマルに伝言は預けたがそれ以上のことはお前に話してないぞ。何でタマルの合格云々の話題が出てくるんだ?」

 疑問に思った俺が聞くと、レアルは呆れとも笑いともとれる何とも言えない表情を浮かべた。

「奴は試験中に「アニキの期待に応えるんだ!」とよく叫んでいたようだ。試験官が興味本位にその『アニキ』という輩の事を聞いたら、彼に冒険者になるよう勧めたのは君だと言うではないか。それを耳ざとく聞きつけたリーディアル様がついでに教えてくれたのだよ」
「おふぃ…………」

 人の口から己の名前が出てくるとこうも恥ずかしいとは思わなかった。


 俺が恥ずかしさに両手で顔を塞いでいると、扉のノック音が響いた。 

「いいぞ、入ってくれ」
「団長、失礼します」

 レアルが許可を出すと、扉が解放されて外にいた人物が室内に足を踏み入れた。レアルが纏っていた全身鎧に、兜だけをはずして脇に抱えているその人物は俺も一度は会ったことがあった。確かベクトとかいったか。

 彼はソファーに座る俺の姿を確認すると僅かに目を細めるが、それ以上はなにも言わずに執務机の前まで歩み出た。

「軍の上層部から指示が下りました。こちらがその指示書です」
「うむ、ご苦労様。下がっていいぞ」
「…………あの、団長」
「ん、なんだ。他に報告があるのか?」
「い、いえ。報告ではないのですが…………」

 と、ベクトは言いよどみながらちらちらとこちらを伺う。団長の部屋で白髪の小僧がくつろいでいるのが不思議なのだろう。

「ああ、君にも話は通していたはずだ。人を一人、しばらく我が幻竜騎士団で身柄を預かることとなると」
「まさか…………よりにもよってこいつですかッ!?」

 そりゃどういう意味だくるぁ。や、彼からすれば団長様直々のきっつい『訓練』を受ける原因になった人間だしな。自業自得だが。

「話には聞いていましたが、どこぞの馬の骨ともしれない輩の身元を我が騎士団で請け負うおつもりですか!」
「どこぞの馬の骨、とはさすがに呼べないだろう。我が騎士団の特別顧問であるリーディアル様のお気に入りだ」
「千刃様のッ!? この男がですかッ!?」

 特別顧問とは、具体的な指示は出さないけど、困ったときはアドバイスぐらいするよ? ってな感じの役割らしい。

 しかし、あの婆様のお気に入りか…………嬉しくないのが不思議だ。
推理系ノベル書く人とかマジで尊敬したい今日この頃。
とりあえず、年内にファイマ陰謀編が終わらないのは確定な感じです。

今更なんですが、『ファイマ』と書こうとすると指が勝手に『レアル』を書いている事があります。
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