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カンナのカンナ 異端召喚者はシナリオブレイカー 作者:ナカノムラアヤスケ

第十の部 真実の一端

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第百七十七話 「うふふ」と微笑みながら振り回しているイメージはありかも知れない


 なんだか話しについて行けず置いてけぼりにされた俺は、きょろきょろとレアルや王たちへ視線を泳がせる。

「どうやら、千刃との知己であろうとも、そこまで詳しく話を聞かされていなかったようだな」

 フォースリンが口を開いてから、レアルが蚊帳の外になっている俺に言った。

「……実は一つだけ、まだ君に話していなかった事がある……私の父親についてだ」
「竜人族ってのは前にも聞いたけどな」

 あと、レアルが持っている大剣の前の所持者で、レアルの母親レイリーナが亡くなった後に失踪しているとも。

「我が父の名はシャルマ・ディアガル」

 なんとっ!?

 俺は驚愕した後に率直な感想を述べた。

「…………お前って確かレアル・ファルベールじゃなかったっけ? ファルベールさん家の娘さんじゃねぇのか?」

 ……………………………………………………。

 おっとぉ? 

 なんか室内にいる俺以外の全員がガクッと肩を落としましたが、どうしたんだろうか。

「そ、そこに今食いつくのか。相変わらず君は予想の斜め上をいくな。……ファルベールはいわば偽名のようなものだ。父の家名をそのまま名乗るわけにもいかなくてな」

 レアルは脱力した肩に力を入れ、咳払いをしてから仕切り直した。

「本当の家名は、『ディアガル』。

 私の本当の名は『レアル・ディアガル』なんだよ、カンナ」

「へぇ、ディアガルさん家の────」

 ん?

 ここに来てようやく、俺は似たようなやり取りが無かっただろうか。

「…………ちょっと待て────ディアガル・・・・・?」
「さすがの君も、思い出したようだな」

 やれやれと首を左右に振るレアルに、俺は恐る恐る尋ねた。

「なぁ、ディアガルさんって名前の家、実は結構多かったりするのか?」
「いや、『ディアガル』の家名が許されているのは帝国でたった一つ。他の家が使えば死罪に値する」

 おい止めろ。ただでさえ惚れた女が王族の血筋であると知った時点で一杯一杯なのに。

 そろそろ俺の容量キャパシティは限界だよ。

 しかし、レアルは俺の内心を一顧だにせず告げた。


「我が父シャルマは、現皇帝ケリュオン・ディアガル陛下の実兄なのだよ」


「…………………………冗談だろ?」
「私も、母がエルダフォス王家の血族と聞いた時、全く同じ気持ちになったよ」

 ということは、つまり。

 レアルはディアガル皇家とエルダフォス王家、双方の血筋を受け継ぐ存在なのである。

「って、血統のサラブレッドじゃねぇか!! どでかい剣を振り回して最前線で大暴れして良いご身分じゃねぇだろうよ!!」

 むしろ、お城の奥にある庭園で「うふふ」と微笑みながらお茶を楽しんでいるような身分だ。

 や、どちらかというと、庭園で巨剣を振り回して「ふははは」とか笑っていそうだな。

「ふははは」って笑っている場面、一度も見たこと無いけどな。

 絶叫しながら、頭の片隅では納得している自分もいた。

 皇帝ケリュオンと顔を合わせたときに、どことなく覚えのある雰囲気を感じたのだが、その理由が分かった。

 皇帝とレアルとの間に血の繋がりがあるのなら、当然であろう。半身が竜人族であり、しかもそれらを統べる最強格の血筋であるなら、あのレアルの強さにも頷けた。

 え、ちょっと待ってくれよ。

 ってことは、俺はお姫様中のお姫様みたいな女に惚れたってわけか?

 ──もしかして、もの凄くハードルが上がったんじゃ無かろうか。

「つーか、この話って俺が聞いちゃ駄目な類いだと今更ながらに思ったんですがね」

 日本だったら、新聞の一面をでかでかと飾る大スキャンダルだ。

 隣国の皇族に属する者が、友好国の重鎮──王弟の娘と駆け落ちしたんだからな。

 素人からしても外交的にヤバい話だと分かる。レアルが護衛のために連れてきたとはいえ、一介の冒険者が聞いて言い話では無いのでは。

 ──これ、下手に漏らしたら首飛ぶんじゃね?

「白夜叉よ。心配には及ばぬ」

 俺が今更ながらの危機感に頭を抱えていると、エルダフォス王が再度口を開いた。

「そなたたちは不思議に思わなかったか? あれだけの人の前で竜剣──いや、レアルと呼ばせて貰おうか。彼女にあの場で面を外させたのかを」

 これまでの話で頭が一杯になっていたが、王の言葉でふと冷静さを取り戻すと、確かに不自然さを感じた。

「……私の存在を、多くの要人に知らしめるため、ですか?」
「さよう。私とてそなたの顔を見た瞬間、レイリーナが生きて返ってきたと錯覚するほどであった」

 これだけの念の推しよう。リーディアルの婆さんも口にしていたが、レイリーナとレアルは本当に似ているのだろうな──胸の大きさ以外。

「呼び出した者たちの中には、生前のレイリーナを知る者もいるであろう。そなたの顔を見てレイリーナの間にある繋がりを察するはずだ」
「ですが私は──」
「ただの竜人族であるなら、そなたの危惧するとおり話としては醜聞以外の何物でも無い」

 醜聞──という言葉にレアルが僅かに表情を歪める。分かっていたこととはいえ、実際に口にされるとまた違った感覚なのだろう。

 と、そこで話は意外な方向へと転がる。

「だが、レイリーナの伴侶が竜人族の皇族であるのならば、話は百八十度変わるのだよ」

 ──どういうことだ?

 王家の血を引くレアルの母親レイリーナ

 皇族の血を引くレアルの父親シャルマ

 そして、双方の血を受け継ぐ『レイリーナシャルマの娘』。

「──ああ」

 ぽんっと、俺は手を叩いた。

「これって事の経緯にさえ目を瞑れば、君主同士の血の繋がりが出来てね?」

 日本の戦国時代でも、武将の家が互いの息子娘を婚姻させ、同盟を強固にする話はよく聞く。現代社会であっても、大企業同士の縁談というそれに近い形は残っている。

〝駆け落ちした〟という事実さえ無ければ、両国の間には友好条約に加えて、国境と種族の差を超えた『レアル』という存在が、文字通り産まれたことになる。

 もっとも〝駆け落ち〟の部分が一番の問題であるのは相変わらずだがな。
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