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カンナのカンナ 異端召喚者はシナリオブレイカー 作者:ナカノムラアヤスケ

第九の部 狂う人形

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第百三十二話 変身タイムはチャージタイム(変身しないが)

連続投稿十日メェェェェェェ!

『カンナのカンナ 異端召喚者はシナリオブレイカー』も発売中だメェェェェェェ!
 あーすっきりした。躯はともかく、精神こころに『糸』が絡みついている感覚は、できるなら二度と体験したくないな。俺は縛るのは好きだが縛られるのはあまり好きではなかった。

「さぁ、覚悟しやがれ!」

 一時的に躯の支配権を奪われた影響か、躯の疲弊は限界に近い。だが、それを大きく上回る心の昂ぶりが全身を駆け巡っている。

 俺は力強く一歩を踏みしめた。

 ラケシスは、俺の足音に我に返る。

「……認識を改めましょう」

 これまで見せた、嘲りや怒りは無い。  

「──貴方は危険だ。野放しにすれば、間違いなく我々の障害となる」

 敵対者を前にした者の、真剣な顔がそこにあった。

「故に──『大いなる祝福アークブレス』の一柱として、全力で貴方を排除します!」

 ラケシスは両手の指から糸を伸ばすと、その全てを地面に打ち込んだ。俺はキックブレードを具現化して咄嗟に距離を離す。だが、糸の刺突のかわりに地面が大きく揺れた。バランスを崩した俺は咄嗟に地に手を着く。

「これは──っ?」

 手の平を伝わり、地面の奥から膨大な魔力が渦巻いているのを感じ取った。ラケシスを見ると、彼は糸を通し地面に向けて大量の魔力を注ぎ込んでいた。

「本来であるのならば、超危険種の魔獣を捕獲するときの切り札ですが、万全を喫するために使わせて貰いましょう!」

 地面に巨大な魔術式が展開した。以前に遭遇した氷の守護者アイスゴーレムが現れた時に魔術式と酷似している。

「おいでなさい──『大地の巨神兵グランド・タイタン』!!」

 地面が、中心地にいるラケシスごと大きくせり上がった。

 ──数秒もしない内に、そこには体長十メートルにも匹敵する巨大な土塊の人型ゴーレムが姿を現していた。

「言い忘れていましたが、僕の適正魔術は地属性。この術式は力押し一辺倒で僕の主義に反しますが、その威力は折り紙付きです」

 ラケシスは巨大な人型ゴーレムの肩に乗っていた。

「さぁ行きなさい! あの者を叩き潰して──」

 ──ゴギィィィンッ!

 奴の言葉を遮るように、甲高い衝突音が鳴り響いた。

 俺の撃ち込んだ氷砲弾が、巨大人型ゴーレムのちょうど中心部に命中した音だ。だが、氷砲弾は目標を貫通することなく、半ばまでめり込むだけに止まっていた。

「本当に人の話を最後まで聞かない人ですね。ですが無駄です。この『大地の巨神兵グランド・タイタン』は、僕の手札の中で最大規模の術式です。並大抵の攻撃では揺るぎません!」

 叫ぶラケシスに対して、俺は言ってやった。

「──本命は氷砲弾そいつじゃないさ」

 魔力や術式の規模で、ラケシスやつが切り札を使うことは察することができていた。ならばそれを悠長に待っている俺ではない。

 ラケシスが札を切るというのならば。


 俺も最後の切り札を使うまでだ。


 巨大人型ゴーレムに突き刺さった氷砲弾だが、実はその先端には氷爆弾が埋め込まれている。

 ただの氷爆弾ではない。

 ありったけの精神力を込め、極限まで温度を下げた大玉の氷爆弾だ。

 ──鋼竜騎士団に牢屋に閉じこめられた際、俺は氷爆弾の使い方をいろいろと試していた。

 その時に、限界にまで氷爆弾の温度を下げた結果、氷結晶の内部に液体が発生したのを覚えているだろうか。

 その液体の正体は──窒素。

 俺は意図せずに『液体窒素』を作り上げていたのだ。

 ここで簡単な物理の問題。

 空気は熱を加えれば膨張する。

 逆に冷やされれば収縮する。

 ならば『液体窒素』を生み出すほどの超低温によって圧縮された空気が、常温空間に一気に解放されたら──果たして結果はどうなるのか。


「吹き飛べ」

 淡々と、俺は唱えた。


 極限の冷気を宿した氷爆弾──『窒素爆弾』の内部に込められた極寒の空気が炸裂する。超圧縮されていた極寒の大気が常温にさらされ、その体積を瞬時に数百倍にまで膨張させた。


 結果、膨張の衝撃に巻き込まれ、超冷気をまき散らしながら『大地の巨神兵グランド・タイタン』は半ばから吹き飛んだ。


『窒素爆弾』爆心地付近は粉々になり、上半身は胸下の辺りまで、下半身は膝上の付近まで形を失う。となれば当然、巨大人型ゴーレムは上下に両断される形となり、支えを失った上半身は重力に引かれて落下を始める。当然、その肩に乗っていたラケシスもだ。

 どうにか人型ゴーレムの肩にしがみついていたラケシスだったが、上半身が地面に墜落した衝撃で投げ出された。

「あぁ、クソッ! もう嫌になるね畜生!」

 俺は悪態を付きながら足に力を込める。

 ラケシスの糸から強引に脱出し、その直後には『窒素爆弾』まで具現化したのだ。心身ともに限界に達しており、もはや精霊術をまともに行使できる精神力は残っていなかった。はっきり言って、気を失う半歩手前だ。

 だとしても、こんなところで気絶している場合ではない。

 もつれそうになる足を根性で動かし、とぎれそうな意識を気合いで繋ぎ止めて、俺は駆ける。

 地面に叩きつけられて痛みに呻くラケシスは、俺の駆け寄る音に慌てたように顔を上げた。


 ──その無駄に整ったショタ顔に、一発ぶち込まなきゃ気が済まない!


「だらっしゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっっ!!」

 俺は躯に残った体力と気力の全てを絞り出し。

 ラケシスの顔面に渾身の跳び蹴りドロップキックを叩き込む。

 今度こそ、足裏に骨が折れる感触が伝わり、ラケシスは鼻血を吹き出しながら吹き飛んでいった。
最近色々と気になりすぎて全く手がつかないナカノムラです。

敵の切り札は出落ち撃破に限りますね(笑

多分『変身』とは違うんでしょうが、これが一番語呂が良かったので細かいツッコミは無しでお願いします。

けど、感想文やレビューは大歓迎ですのでどしどし下さい。
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