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第5話 混乱、崩壊
───「難しい本ばっかりだな」
今俺は図書館にいる。もちろん見張りつきだが、本ぐらいは読ませてくれるらしいので来てみた。
何百何千という本が本棚に並べてあり、色々と本を手に取ってページを捲ってみる。
さすが軍の図書館だけあって面白そうな本が全然無い。
色々な本を見てみるが、お目当ての本が全く見つからない。
仕方が無いので俺の見張りをしている兵士に聞いてみる事にした。
「あ、ちょっといいですか、探してる本が中々見つからないんだけど」
「ん?どんな本を探しているんすか?」
「絵本」
俺の一言に兵士は固まった。まるで笑いを堪えるかのように。
「え、絵本?ここにはそんな本が置いてあるわけ無いだろ」
そうだよな、軍の図書館に絵本何かあるわけねえよな。
「そうか、んじゃ眠ってくれ」
「うぐっ!?」
何か見張りの兵士の様子を見ていると無性に腹が立ってきたので腹を殴って気絶させてみた。
どうやら一撃で効いたらしい、図書館の隅でぐったりと倒れてしまう。
だらしない兵士だ、腹に一発打ち込まれただけで倒れるとは。
さて、これからどうする、脱出、というより脱獄か。
ここは居心地が悪すぎる、この基地に心残りは無い、と言えば嘘にはなる、姉さんの事だ。
心のどこかで引っかかっていた。もう一度姉さんに会いたい。
……何を考えているんだ俺は、姉さんはもう死んだだろ。そんなのわかっている。
でも、まぁ少し様子を見に行くぐらいならいいか。
俺は誰にも見つからないようこっそりと図書館を抜け出し姉のいる医務室へと向かった。
兵士に見つからないように慎重に移動していき、やっとの思いで医務室へと辿り着く。
医務室の扉を少しだけ開けて中の様子を窺ってみる。
どうやら誰もいないようだ、俺は物音をたてず静かに医務室の中に入った。
部屋の真ん中には白いテーブルが置かれており、その席に腰を下ろす。
見渡してみてもやっぱりいない。 いないのなら仕方が無い、さっさとここから出て行くか。
もう一度少し回りを見渡して俺が立ち上がろうとした時、奥の部屋からカルテを手に持った姉さんが部屋に戻ってきた。
「あ、貴方は……」
姉さんは驚いた表情で見つめてくる。同様に俺も姉さんを見つめていた。
やはり夢じゃなかった、姉さんは今。俺の目の前で動いている。生きている。
「姉さん、会いたかった」
「私も……貴方から来てくれるなんて」
姉さんも俺に会いたがっていたのか?
「ねぇ、少し目を瞑っててくれないかしら」
姉さんは両手の指を合わながら、俺に笑顔を見せてくれる。
「え、うん。いいけど」
俺は言われるまま目蓋を閉じた。
何だろう、何か俺にプレゼントでもくれるのかな?
ああ、本当は姉さんの側にずっといてあげたい。いや、ずっと側にいたいんだ。
何か物音が聞こえてくると、ふと硬い物が俺の額に当てられた。
「さようなら」
小さく呟いた悲しい一言に、俺はつい閉じていた目蓋を開けてしまった。

───それと同時にある計画が実行された。
『作成開始です、先輩は出撃してください』
「了解した、『我雲がうん』出撃するぞ」
作戦決行の時間が来た、既に準備が整っていた為すぐに動ける体制であった。
羅威が我雲の電源を入れると。画面上に様々な情報が現れ、作戦命令もそこに書かれていた。
モニター上に現れる女性の姿、無線機の声の主である。
『先輩、無事を祈ります』
怒ったような口調だが、何処か不安な表情を見せる。
『あ、言っておきますけど。別に心配してません、先輩なら大丈夫だって、信じてますから』
その女性に微笑みをかける羅威。
モニターのむこうにいる女性は顔を赤らめてそっぽを向いてしまう。
「生きて戻ってくるさ」
モニターに違う女性の姿が映し出され、通信が入ってくる。
『羅威、準備は良い?』
「大丈夫だ。それよりエリル、この作戦は新型のテストもある。気合入れてけよ」
『そんなの言われなくてもわかってるって、さぁ行くわよ!』

───彼等BNの動きを察知したNFも、素早く反応をしてみせる。
『レーダーに反応有り、BNの機体を確認しました』
放送は東部軍事基地全域に響き渡り。NF軍のギフツが次々と格納庫から出撃していく。
「相手は一機、何かの罠かもしれない。各機気をつけよ」
一人の隊長らしき人物が各機に通信を交わす。真正面から東部軍事基地に接近してくる機体。
各機に指示が送られた『敵機体の周りを囲み、撃破か捕獲する事』
『我雲』BN軍主力の機体であり、全身を灰色にカラーコーティングされている。
たった1機の我雲はあっというまに6機のギフツに囲まれ、銃口を向けられる。
観念したのであろうか、我雲はブーストを止めてその場に止まってしまう。
我雲はまったく動きを見せない、NF機も警戒しながら少しずつ近づいていく。
「こいつ、観念して動かないのか?」
「っま、馬鹿だよな。一機で東部軍事基地を攻めにくるなんて、笑っちま・・・」
喋っていた一人の兵士からの通信が途絶える、兵士の乗るギフツの腹部に剣が突き刺さり、爆発を起こしたのだ。
その場にいた兵士達は何が起こったのかわからず、ただ爆発するギフツをモニターで見ていた。
「なっ、隊長!これは……」
そしてまた一機、隣にいるギフツが爆発を起こす。
目の前にいる我雲は動いていない、しかしNF軍の機体は次々に破壊されていく。
『こちらルフィス、一体どうしたのですか?!』
東部軍事基地のオペレート室からルフィスの通信が来た。
レーダーには青6と赤1の反応だったはずが、今では青3、赤1となっている。
ルフィスのモニターに兵士の姿が映し出される。
「わからない!突然味方の機体が───」
その瞬間、一本の剣がコクピットを貫き、モニターに映っている兵士が巨大な剣で殺される。
『各機撤退してください!レーダーで探知できない何かがそこに……』
「ぐうぁあああッ!」
聞こえてくる兵士の断末魔、そしてその死ぬ瞬間を目の当たりにするルフィス。
その光景を見て咄嗟に一瞬吐き気に襲われ口を押さえるように手をかざした。
我雲の周りを囲んでいたギフツの姿はもう無い、全機破壊され、爆発炎上をしている。
さっきまで動きを見せなかった我雲、また東部軍事基地に接近していく。
「一瞬で6機のギフツが……」
『ルフィス、出撃するからハッチを開けて』
オペレート室のモニターに武蔵の姿が映し出される。
『待ってください、上からの指示を待たなければ』
「指示を待ってる暇何て無いよ、あの機体を止めないと」
『し、しかし』
「ルフィス、頼む」
真剣な目つきでルフィスの目を見つめてくる。
その緊迫に押され、出撃を許可してしまう。
『わかりました』
ルフィスがスイッチを押して格納庫のハッチが開かれる。
武蔵の乗る機体が出撃し、我雲の下に向かう。

───その様子を何人もの兵士達が席に着いて司令室で見ている。
兵士達の後ろにある大きな座席では、何人もの立派な軍服に身を包んだ方が座っていた。
「こちらの機体が一機で現地に向かっています」
「何ぃ?何処の馬鹿だ、指示も出していないというのに」
「相手は一機だろうが!何故6機のギフツが撃墜された!」
『恐らくステルス機能だと思われます』
司令室のモニターに武蔵が映し出され、司令室にいた兵士達の視線が一斉に集まる。。
「出撃したのは貴様か!命令違反だぞ!」
『命令違反?俺は命令など何も聞いてませんが、いつ命令を出したんですか?』
「貴様、上官に向かってそんな口を聞いて、わかってるんだろうな」
「……はぁ」
司令室のモニターに映っていた武蔵の映像が消える。
武蔵と言い合っていた軍人は自分より位の高い人達に頭を下げ始める。
「見苦しい所をお見せして申し訳ありません……」
上官席に座っている軍人達が次々に口を開き始める。
「全くだ、東部は見苦しい。噂どおりの軍部だ」
「命令を平気で違反するような兵士しかいないのかね?ここは」
上官達の言葉に何も言えない軍人達。

───東部軍事基地に着実に近づいていく我雲、その先に武蔵の乗る機体が待機していた。
武蔵は機体の背中に付いているLRSを抜き取る。
ゆっくりとLRSを構え、真正面から近づいてくる我雲を待つ。
「NF主力機の登場だ、エリル。頼んだぞ」
我雲に乗る羅威が誰かと通信をしている。
『任せなさい、一撃で落としてやるわよ!』
羅威の乗る我雲が更に加速して行き、武蔵の乗る機体に向かって行った。

───甲斐斗は激痛に耐えながらもゆっくりと目蓋を開けた、視界が良く見えず、赤色に滲んでいた。
その赤い視界の中を目の前にいる自分に引き金を引いた姉の姿を見る。
あまりの激痛で言葉が出ない、あまりに突然な事で思考が働かない。
「姉さん、どうし、て?」
流血する左目、抑えていた左腕は流れる血で赤く染まる。
「喋らないで!貴方は、貴方はカイトじゃない!!」
又も引き金は引かれ、今度は右肩を撃ち抜いた。
甲斐斗は撃たれた反動で椅子から転げ落ちる、それでも甲斐斗はずっとセレナの方を見つめている。
「あ、貴方は!皆の心を踏みにじった!だからッ!」
その言葉を聞いて甲斐斗の緊張が走る、自分のついていた嘘がばれているからだ。
「皆の事をずっと騙して、カイトのふりをしてきたなんて、許せないッ!」
セレナの怒り満ち溢れた目からは涙を流していた。
銃口は甲斐斗に向けたまま、またいつ発砲してもおかしくない。
「どうしてそれを……」
「残念だったね、偽者さん」
セレナの後ろから男の声が聞こえてくると、声の男が甲斐斗の目の前に現れる。
「なっ」
甲斐斗は一瞬息を呑んだ、自分の目の前に現れた男が自分と良く似た男だったからだ。
それは正真正銘のカイト・アステルだった。
「お前、死んだはずじゃ!?」
「僕は死んでいない、BNに捕まっていただけだよ」
その言葉にてっきり死んだと思っていた甲斐斗に言い知れぬ感情が押し寄せてくる。
甲斐斗にとって喜ぶ事なのか、悲しむ事なのか、しかし喜びや悲しみより、怒りの感情しか甲斐斗の中には無かった。
「僕は何とかBNの目をごまかして脱走、ここに戻って来たって訳さ。まさか僕のスパイがここにいるとは思ってなかったけどね」
アステルは上着の内ポケットから拳銃を取り出すとその銃口を甲斐斗の頭に向ける。
「姉さんの気持ち、皆の気持ちを踏みにじったお前を、僕は許さない!」
「ま、待て。俺は……」
今更本当の事を話した所でどうにかなる状況ではなくなっていた。
「安心して、次の一発で楽にしてやる」
アステルが銃を構える。銃口の先は頭部、甲斐斗の頭を一発撃ち抜く気だろう。
「待てって、俺はお前の敵じゃ……」
「言ったはずだ、許さないと」
その指は躊躇ためらい無く引き金を引く。だが撃たれた弾丸は俺の頭部には当たらず、頬を掠めるだけだった。
「姉さん?」
横にいたセレナがアステルの体を突き飛ばしたのだ。
「止めて、止めて。カイトを殺さないで、二人は確かに違うけど、やっぱり目の前でカイトが死ぬのは嫌……」
セレナの心中もわかる、例え中身は違ったとしても外見は同じ。
セレナから見れば自分の弟が殺される所など見たくも無い。
先程より冷静になったセレナは自分のしてしまった事を悔いている。
「わかったよ、姉さん。姉さんの見えない所で始末する」
アステルは甲斐斗の足を掴むと、もう一つ隣の部屋に引きずっていく。
医務室の隣の部屋、薬品棚が並んでいる部屋。引きずられた後は甲斐斗の血で汚れていった。
セレナは膝をつき、両手で顔を隠しながら泣いている。そのすすり泣く声が二人の耳にもかすかに聞こえてくる。
「最後に一言言いたいなら、聞いてあげるよ」
その言葉を聞いて甲斐斗は座ったまま壁にもたれ掛かり、へらへらと力無く笑った。
「良かったよ、お前が生きてて」
「えっ?」
「お前死んだら、姉さん悲しむだろ」
「何を言っている、お前の姉じゃない、僕の姉さんだ!」
頭に銃口を向けて狙いを定めるアステル。その手はかすかに震えていた。
「じゃあ感謝するんだな、その姉さんに」
「何?」
アステルが動揺した素振りを見せた時。
甲斐斗は下を向いたまま素早くその場からたち上がった。
「もしお前が姉さんの弟じゃなけりゃ、俺に殺されてたよ」
甲斐斗の右目が赤く光り、不敵な笑みを見せる。
その表情にアステルの体が固まってしまう。そして彼の握っていた銃が真っ二つに斬り落とされる。
「な……っ!?」
甲斐斗の右手には巨大な黒光りする剣が握られていた。
そして、その刃先がアステルの首に突きつけられる。
「本当は殺したいが、姉さんの悲しむ姿は見たくない。
 生きろ、絶対に生きて姉さんを泣かすな。泣かしたら俺が殺す」
甲斐斗の右目はアステルの両目を見ていた。
その眼で睨まれたアステルは身動き一つとれない。
だがそれは甲斐斗も同じだった、左目の激痛が更に痛みが増してきており、意識が朦朧としていた。
「教えてやるよ、俺の名前。高橋甲斐斗、他の世界から来た人間だ」
アステルの首に突きつけていた剣を放し、部屋の壁を手に持っている剣で斬り飛ばす。
壁は騒音と共に大きく穴を明け、その穴を伝って隣の部屋に移動していった。
「一体あいつは……」
しばし放心状態のアステル、何も無い空間から剣が現れた事も信じられないが、彼自身何者なのかがわからなかった。
だがセレナの事が気になり隣の部屋に戻ると、セレナは一人座り込んで泣いていた。
「大丈夫、僕は死なないよ。姉さんを一人にはさせない」
セレナの体をそっと抱きしめるアステル。
それと同じようにセレナもアステルを抱きしめ返した。

───基地内の通路にはNFの軍服を着ている何人もの人が血塗れで倒れていた。
その中を一人、白銀の髪の青年が歩いている。
すると青年の右腕についている機械が突然音を鳴らし、女の声が聞こえてきた。
『若様、羅威とエリルは無事に作戦を遂行しているもようです』
青年は何も答えずにただ歩く。
両手に血塗られた2本の細い剣を持ち、一番大きな奥の部屋へと向かっていた。
その時、横の通路から数人のNFの軍人が姿を見せた。
が、兵士が気づいた時、青年の握られている剣が兵士の喉を貫く。
隣にいた兵士がその事に気づく間にもう一本の剣で兵士の胸を貫いた。
青年は足を止めず、何事も無いように歩いていく。
さっきまで生きていた兵士は既に即死、苦しむ暇も無く死んでいった。その時、剣を持つ青年の後ろに人影が現れる。
「全く、ここの兵士は弱すぎるなぁ、紳さんもそう思いますよね」
後ろからきた青年は剣を持つ青年に話しかけるが無視されてしまう。
穿真せんま、貴様のような若造が若様の名を容易く言うなッ!』
穿真の腕に着いている装置にさっきの女の声で無線が入る。
「げ、聞いてたのかよ」
『当たり前だッ!もし今度無礼な事を言ってみろ!その時は私がこの手で貴様を───』
「セーシュ、静かにしろ」
さっきまで何も言わなかった青年が口を開いた。
そして奥の部屋の扉へと辿り着く。
「邪魔するぜーっ!」
穿真が司令室の中に入り、その後に風霧が司令室に入る。
声と共に、司令室にいた軍人達が一斉に声の方を顔を向ける。
「な、何だ貴様はッ!」
風霧は顔色一つ変えない、司令室にいた兵士達が一斉に銃を構える。
「風霧紳……と、言えばわかるだろ」
その名前に司令室にいた兵士達が全員反応を示した。
一人のNFの幹部らしき人間が声を上げる。
「BNの創始者がこんな所に何をしに来た!見張りは一体何をしているんだ!?」
その言葉にいち早く反応を見せる穿真。
「いや、俺もいるんだけど。まぁいいや、話しがあってここに来たんだ」
穿真が懐から数枚の折りたたんだ書類を抜き取る。
その書類をNF東軍の幹部に渡した。
「ERRORについての書類か?」
「その通り、そこにも書かれている通りに。奴等は繁殖して桁違いな数に増えてきている」
「それで、我々NFの力を必要としているのかね?」
「簡単に言えばそう言うこと。でも違うねぇ」
場は静まり返っていたが、ふつふつとNF幹部の笑い声が聞こえてくる。
「何を突然と思ってみたら、そんな馬鹿げた事か!」
渡された書類を破り捨てる幹部。
破られた紙は宙を舞いながら紳の足元に落ちる。
「ERROR掃討作戦は既に進められているのだよ、貴様等の手を借りずともな」
「我々は誇り高きNFの軍人、目的は全世界の平和」
「武器を持たない理想の世界を作り上げる組織なんだぞ?」
「だが、それを邪魔するのが貴様等BNだ」
座席に座っていたNFの幹部達が立ち上がり、紳の前に出て行く。
「邪魔なんてしてねえだろ!昔から俺達に伝えられた事を今実現しなきゃいけねんじゃねえのかッ!?」
穿真が怒りの剣幕でNFの幹部達を威嚇するが……。
「数百年たった今、『神』とやらの兵器は姿を見せていないが?」
「そ、それはなぁ!」
NFの幹部達の言葉攻めにタジタジの穿真。
「穿真、もういい。お前達、今我々と協力を誓わなければ未来は無い」
両手の剣を構える紳、それと合わせて二人を囲んでいる兵士達が銃口を紳に向ける。
NFの幹部はニヤニヤと笑みを見せながら勝ち誇った顔をしている。
「安心しろ、お前の死でBNとNFの決着は終わる、奴等を撃てッ!」
その命令に、その場にいたNFの兵士達は何の反応も示さない、誰一人として引き金を引こうとしない。
その場が固まってしまったかのようである。
NFの幹部達は何が起こったのかわっていない。
「ど、どうした?奴等を撃つのだ、命令だぞ!」
慌てふためいているNF幹部をよそに、紳は冷静に右腕についている装置で無線を使う。
ゆい、今の会話を全て聞いたな。これで理解したか?」
『えと、それは……」
「返事が無いぞ」
『は、はい……』
少女の小さな返事と共に、無線の電源を切る。
司令室にいるオペレーター達が一斉に立ち上がり、中央にいるNF幹部達に銃口を向ける。
そして紳達を囲んでいた兵士達も一斉に幹部達に銃口を向ける。
「な、何故我々に銃を向ける!?」
穿真がその光景をケラケラと笑いながら見つめている。
「うっわ、まだ気づいてないのか?このおっさん達鈍いねぇ」
「ま、まさか……」
「そのまさか、ここにいる兵士達全員BNだけど?」
一瞬にして顔色が青ざめるNFの幹部。
紳が幹部に背を向け、司令室から出て行こうとする。
それに続いて穿真もニヤニヤと笑みを見せ、後ろからついていく。
司令室の扉が開いた時、紳が言葉を漏らす。
「殺せ」
司令室を出て扉が閉まった瞬間、司令室の中で一斉に銃声が鳴り響く。
「言ったはずだ、協力しなければ、未来は無いと……」
そう呟きながら紳は顔色一つ変えず、次の部屋へと向かっていった。

───その異変にいち早く気づいたのがルフィスだった。
いくら無線で呼びかけても司令室からは全く応答が来ない。
司令室で何か起こったのか、だとすれば警報が鳴るはず。
だがその時だった、けたたましい警報音が東部軍事基地に鳴り響く。

───警報が鳴り響いている、厄介ごとに巻き込まれる前にこの基地から脱獄したかったが、何だよ、これ。
俺が通る通路に何人もの兵士達が殺されていた。
近くの部屋に入ってみると、その部屋の中にも死体が転がっている。
殺されすぎだろ、軍の人間は何をやってやがる。
まぁ死体に構ってる暇何て無い、それにこれは俺にとっては好機だ。
またややこしい事が起きる前に、さっさと逃げるしかない。
俺は包帯で左目を覆っているが、既に包帯は赤い血に染まっていた、右肩からも血が流れ意識が飛びそうだ。
勿論脱出する前に、俺は少女が閉じ込められている牢獄へと急いだ。
見張りをしていた兵士すらその場から消えていたのは幸いだった。
それにしても、こんな簡単に侵入されるんじゃあNFもたいした事なさそうだな。
俺が牢獄に入ると牢屋の片隅で寝ている少女を発見、自慢の愛剣で檻をぶった切る。
「おーい、起きろー。おーい」
「ん、ぅ……」
眠そうに俺の声に反応を示している。
ああ、眠ってくれてたほうが上手く逃げれそうな気もしてきた。
NFとBNの関係がまだ詳しくわからない、ここまで争うとなるとやはり理由があるはずだ。
そんな事を考えながら俺は少女を背負うと全力で格納庫へ走っていった。
正式名MFE-我雲(Back Numbers製)
全長-17m 機体色-灰 動力-光学電子磁鉱石
機体の性能はほぼギフツと同じであるが、外見は多少違う。
BNの兵士達は主にこの機体に搭乗する。
特徴:腰の左右に付いてあるハンドグレネード


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