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Deltaプロファイル
作:極



第40話 常識、認識


結局俺はミシェルを諦めてしまった、機体を走らせていく内に後悔が募る。
だから俺は早くあの少年と爬虫類を見つけなければならない、それにしても一体あいつ等何処にいるんだ。
今荒野を走って森に向かっているが、あれからかなり日がたっている為もういないかもしれない・・・。
その時、レーダーに無数の反応が映る。熱源反応5、それと・・・生体反応?にしては移動速度が早過ぎないか?
たしかERRORはまだこの世界から消えてはいない、とすればERRORの生き残りを追っているのか。
気になるな、もしかして・・・もしかしたらな、いや、そんな事ないとは思ってるけどさ、いちお行ってみるか、いちお。
機体を走らせ熱源反応のする場所に向かってみるとSVの機体が低空で飛ぶ龍を狙っていた。
龍・・・これは偶然なのか?それとも運が良かっただけか?それならこの運を生かすに他は無い!

龍の2枚の翼には幾つもの穴が開いており、血を流している、それでも龍は翼を止めず羽ばたき続けていた。
だがそれも長くは続かなかった、龍の飛んでいる下にいる機体がワイヤーを龍の体目掛け飛ばしている。
何本ものワイヤーが龍の体を巻きつき羽ばたく事が出来なくなった龍はその場に落ちるとぐったりと横たわる。
その龍を囲むようにSVの機体が並んでいた。
『隊長、レーダーに反応有り。アンノウン1機がこちらに向かってきています』
『アンノウン?まさか報告にあった例の・・・』
『どうします、アンノウン機は止まらずこちらに進んできています!』
SVの機体が俺の機体目掛けマシンガンを手に取るが時既に遅し。
身を低くし弾丸を交わした後すかさず剣を振り上げる、敵機体の両腕が宙を舞う。
そして振り上げた剣を振り下ろし、横にいる敵機の両腕を切り落す。
後は両腕を失った機体の足に蹴を入れると簡単に倒れてしまい、相手は身動きが取れなくなる。
「おいお前等、生かしてやるから大人しく引きな。じゃなきゃ死ぬぜ」
こんな圧倒的な力量を見せ付けらたらどうする事も出来ないだろう、
残りの3機は武器を下ろすと負傷した機体を起こしに取り掛かった。
『っく、一時撤退だ!基地に戻るぞ!』
敵機体は俺に背を向けると無様な姿で去っていく。弱者はそうやって強者にひれ伏していればいい。
さってっと、邪魔者はいなくなった。まさか今この龍・・・という名の巨大な爬虫類に会えるとはな。
しかし少年の姿が見当たらない。
龍の体にはまだワイヤーが巻き付いたままで身動きがとれない状態だ。
そのうえ出血が酷い、聞く事聞く前に死なれたら困るしなぁ、仕方ない、安全な場所に運んでやるか・・・。

森につくととりあえず龍を寝かす、それにしてもさすが龍だな、傷口が少しずつだが元の状態に直っていく。
それでも大きな傷は体の意たる所あるし、翼だってボロボロ。当分休まなければならないだろう。
・・・伝説上の生き物、正直いろんな世界を見てきたがこうも絵に描いたような龍は見たことがなかった。
あー腹減った、もし龍が死んだら肉でも食べてみるか、どんな味がするんだろうなぁ、もしかしてヘビの味?
そんな事を思いながら龍の体を触っていると、突然龍が起き上がり始めた。
「お、気がついたか。まだ怪我は直ってないから安静に・・・」
俺の声を掻き消す咆哮、龍は傷ついた翼を大きく広げるとその場で羽ばたき始めた。
「っておい!安静にしろって言ってんだろ!?」
龍が翼を羽ばたかせる為強烈な風が俺を襲う、立っていられるのもやっとだ。
とりあえず暴れるのを止めないと大変な事になる、一度機体に戻った方が良さそうだな。
そう思いすぐ近くに止めてある自分の機体まで向かおうとした途端に龍は急に大人しくなる。
「何がしたいんだこの龍・・・とりあえず言葉通じてるのか・・・?」
そう言うと龍は小さく頭を下げる、どうやら言葉は理解できるらしい。
「よしよし、それなら良い。まず俺はお前の敵じゃない命を助けた恩人さ。だからもう焼かないでくれよ?」
龍はまた小さく頭を下げる、どうやら俺が敵ではない事はわかってくれたみたいだ。
さてと、何から聞こうか・・・って。龍喋れないからイエスかノーみたいな感じで判断してもらうしかないな。
「おーい、少し質問いいか?お前と一緒にいた少年は生きてるのか?」
こくんと頭を下げてくる、どうやら無事のようだ。
「じゃあ今少年は安全な所にいるのか?」
そう言うと頭を大きく横に振る、となると捕まえられている可能性が高い。
となるとこの龍は何をしていたのかが理解できた、こいつはその少年を助けに向かっていたんだな。
あんなにも体に傷がつきながらもあの少年の元に向かっていたその意気は良い。
でも力も無いのにただ行ったってそれはただの馬鹿だ。
「お前はあの少年を助けに行ってたんだよな?」
予想通り龍は頭を下げる、そういえばSVの兵士が基地があるとか言っていたな。
とすれば少年はその基地にいる・・・って事だ、やっぱ俺って運が良い!そうと決まれば早速その基地に行くとするか。
「よし、なら俺が変わりに助けに行ってやる。だからお前はそこで安静にしてろ」
そう言っても龍は傷ついた体を必死に起こそうとしている、健気な姿だ。
「安心してお前は寝とけ、俺一人で十分助けられるからな、だから今は体を休めとけ」
その言葉を聞いて安心したのか、龍は小さく頷くとゆっくりと目蓋を閉じた。
人殺しも嫌いじゃない、だが人助けも嫌いじゃあない。聞く事もあるしさっさと助けに行くか。
早速機体に乗り込みSVが逃げた方向に進路を取る、しかしどうやって助けようか、機体で行けば目立つしな・・・。

荒野と森の間にそのSVの施設が建てられていた。
施設の中、一人の少年が狭い部屋で椅子に縛られていた。
その狭い部屋に一人の兵士が入ってくると、少年は部屋に入ってきた兵士を睨んでいた。
「お前はこれからSVの本土に送られる、そこでたっぷりと話しを聞かせてもらう事になる」
「僕から何を聞くっていうんだ!聞きたい事があれば全て話してやる!だからマルスを・・・!」
「マルス・・・あの生き物の事か、たしか捕獲に失敗したとの事だ、所属不明の機体が助けたらしい」
兵士の言葉を聞いた途端に睨んでいた眼つきが緩む。
「そういえば少年、お前の名前を聞いていなかったな。名前は何と言うんだ?」
「僕の名前は・・・ロアと言います」

少年ロアが乗る戦艦にはある人物が乗る特別な戦艦だった。
リシュテルト家の少女、だがフィリオではなくその妹のアリスが乗っていたのだ。
「え〜っ!ドラゴン捕獲できなかったの?どうして?!」
アリスは戦艦にある休憩室で紅茶を飲んでいたが怒った様子でティーカップを受け皿に戻す。
彼女の横には一人の眼鏡を掛けた女性と一人の男性が立っていた。
その一人の女性は椅子に座っているアリスに向かって必死に何度も頭を下げている。
「申し訳ございません!本当に申し訳ございません!」
「謝ってるだけじゃ何もわからないでしょ!?ちゃんと報告して!」
椅子から降りると眼鏡を掛けた女性の前まで歩き腕組をして睨んでいる。
「あ、私はまた謝ってばかり・・・本当に申し訳ございません!申し訳ございません!」
すると女性はまた申し訳無さそうに頭を下げ始めた。
これではきりが無い、無限ループになりかねない。
「あああー!もううるさいわよ!シャイラはいつもこうなんだから・・・代わりにゼスト、貴方が報告して」
シャイラの横に立っている青年、ゼストはアリスを無言で見つめた後ゆっくりと目蓋を閉じた。
「知らん」
「何で知らないのよ!てか貴方誰に口聞いてるの!?」
「生意気な小娘」
「な、何ですってぇえええっ!!」
ゼストに殴りかかろうとするアリスを後ろから掴み必死に止めさせようとするシャイラ。
顔を真っ赤にして怒っているアリスに、シャイラは困ったような顔をして必死にアリスを宥めていた。
「放しなさいよシャイラぁあ!コイツの面ぶん殴らないと気がすまないのよぉっ!」
「お嬢様落ち着いてください!ゼストさんも駄目ですよ、お嬢様にそんな事を言っては!」
「・・・」
黙ったままゼストは振り向くと、そのままアリスに背を向けて部屋を出て行ってしまう。
「むきぃーっ!どうしてアイツは私の言う事聞かないのよ!私はリシュテルト家の者なのに!」
「私が後でよく言っておきますので、今は落ち着いてくださいお嬢様」
「シャイラに落ち着いて何て言われたくないわよ・・・」
「すいません、それと龍の件ですが、所属不明の機体が助けたとの事。
 この機体はラティスさんから報告を受けた例の機体だと思われます」
例の機体、アリスは笑みを浮かべると、嬉しそうにシャイラに顔を近づけた。
「そ、それってEDPの時にすごい力を発揮したって言うあの機体よね!」
「はい、そうでございます。如何なさいますか?」
「それはもちろん!・・・決まってるでしょ?」
アイコンタクトと言うのだろうか、シャイラはすぐに笑顔になると頷いた。
「・・・かしこまりました、それでは後で準備をしておきます」

SVの戦艦、その艦内には一人の男、つまりこの俺、高橋甲斐斗が現在乗っている。
実は前にもやった事があったのだが、機体は念じれば動かす事が出来る、つまり遠隔操作可能って事だ。
これ魔法じゃないのか?と思うかもしれないが、正直どうだろうか、遠隔操作と言っても機体を呼ぶ事しか出来ない。
少しだけでも魔力が戻ったのだと思っておこう、その方が気が楽だ。
さて、そんな訳でいつもどおり戦艦の格納庫についた訳だが・・・どうするかな。
さっきから戦艦が揺れだしたし、おそらく発進したのだろう。てか俺はいつもこうやって忍んでいないか?
考えたって仕方ない、さっさとあの少年を探して森に連れて帰らないとな。
兵士の姿があちらこちらに見える、格納庫見渡すと奥の方に一つの扉が見えた、回りには兵士の姿も無い。
とりあえず物陰に隠れながらその扉に近づいていく、扉の前に立つと自動で扉が開き道を開ける。
さて、どうやって探す。一つずつ部屋を探していくのは余りにも無謀な気がする。
普通はここに来る前に考えておく事だったな・・・と、俺が道の真ん中で考えていると二人の兵士が角を曲がって俺の前に現れた。
こういう時は人に聞くのが一番だな。二人の兵士が俺の存在に気づくと当然こう言った。
「き、貴様何者だ!そこを動くな!」
大抵の奴はそんな事しか言えない、懐の拳銃を手を伸ばしている間に俺は一人の兵士の腹に蹴りを入れる。
そしてその横にいる兵士の頤には鉄拳を食らわしてやった、引き金を引かれ銃声を出させる訳にはいかないからな。
頤を殴られた兵士がぐったりしている為どうやら気絶をしたようだ、死んではいないだろう。
その後ろでは腹を抱えて俯いている兵士が必死に悶えている。
気を失っている兵士の懐から拳銃を取り出すと、俺はその苦しんでいる兵士の頭に銃口を突き付けた。
「おい、命が欲しけりゃ答えろ。ここに龍と一緒にいた少年が運ばれたはずだ、今どこにいる」
「し、知らない・・・」
「じゃあ死ね」
「わ、わかった!少年は今2階の監禁室にいる・・・」
「監禁室って何処だ?答えろ」
「この道を右に行けば階段がある!そこに上ればすぐだ・・・!」
ふむ、親切丁寧に教えてくれてどうも。お礼にその銃で後頭部を殴りつけると兵士は気を失ってしまった。
気絶している二人の兵士を見られるのはまずいが、その前に少年を助ければいいだけだ。
俺は握り締めている銃を手に監禁室まで走った。階段を上ると案の定数人の兵士が見張りをしていた。
「き、貴様何者・・・ぐぁっ!?」
ここの兵士は同じ事しか言えないのか?見張りの兵士をぶっ飛ばすと剣を呼び寄せる。
頑丈そうな扉だが俺の剣を使えばいとも簡単に破壊出来た、だが今の音で周りの兵士に気がつかれたかもしれない。
部屋に入ると後ろ手に手錠をされている少年がそこにいた、突然の事に少年は驚いた表情をしていたが俺の顔を見て更に驚いていた。
「あ、貴方はたしかあの時の・・・!」
「話しは後だ、俺について来い、助けてやる」
手に持っている銃を少年に渡し、部屋の隅においてある机の上にある剣をその少年に手渡した。
「もしかして君がマルスを助けてくれたの?」
「ん、まあな。お前を探している時にSVの兵士に襲われていたからな」
俺が何気なく助けた龍は少年にとっては大事な親友なのだろう。
「ありがとう、本当にありがとう!この恩は絶対に忘れない・・・!
 っと、自己紹介がまだだったね、僕の名前はロア、君の名前は?」
「俺の名前は甲斐斗、まぁ詳しい話しは帰った後にするか、いまはさっさとここから逃げないとな」
さてと、既に機体は呼んである、もう艦の近くまで来ているはずだ。
後は外に出ればいいだけだが・・・めんどくさい、ここから出るとするか。
「えーっと、ここら辺かな」
手に握る剣を大きく振り下ろすと壁には簡単に穴が開いた、外は青空が広がり良い気色だ。
「よし、こっから飛び降りるぞ」
「え、ちょっと待って。ここから飛び降りるって?」
「ああそうだ、行くぞ」
ここから飛び降りろと言われてもそりゃ誰だって拒む。
仕方が無いので少年の手首をしっかりと掴む。
「ちょっと待って!ここから飛び降りたら・・・!」
大丈夫だって、多分。少年が飛ぶのを止めさせようと説得しようとしたがもう時間が無い、俺は少年と一緒に艦の外へ飛び出した。
「うわぁああああっ!」
そりゃ驚いて声も出すわ、内心俺も少しビビった。
予想以上に風圧が強い、俺達はあっと言う間に落ちていく。
だが俺達が地面に落ちる事は無かった、計画通りにそこには俺の機体がちゃんと来てくれていた。
機体の手の平の上で俺達は尻餅をついて倒れていた、ごめん正直に言うと助からないかと思ったからだ。
「た・・・助かった・・・」
手は胸部にまで俺を運ぶと俺はすかさずコクピットに乗り込む、後はここから逃げるだけだ。
「か、甲斐斗!艦から何か出てくるよ!」
何?えらく対応が早くないか・・・?たったあの数分でもう敵の機体が発進してくるとは。
それとも俺の機体がレーダーに映っていたのかもしれないのな、どっちにしろ早くここから逃げなければならない。
せめてこの少年だけでも安全な所まで運べればいいんだが・・・。
その時ハッキリと聞こえてきた獣の咆哮、後ろを見てみるとそこには傷ついていたあの龍が必死に翼を羽ばたかせここまで来ていた。
そんな怪我なのによく来たな・・・飼い主に忠実なのは褒めてやってもいい。
「俺が時間を稼ぐからお前は先に逃げてろ!」
龍が俺の横に並んだ時、手の上で座っている少年をそっと龍の背中に乗せる。
少年はまだ驚いた顔をして俺の機体を見つめていた、龍は少年が背中に乗ると俺の機体からどんどん離れていく。
後は時間を稼ぐだけだ、矢だろうが鉄砲だろうが何だってかかって来い。
戦艦は止まらず走り続けていると、艦のハッチが開き中から2機の機体が飛び出てくる。
今までに見た事のない機体だ、1機はピンク色の悪趣味な機体。もう1機は・・・何だありゃ、でかくてゴツイな・・・。
でかい機体は見る限り全身武装をしていやがる、重そうだな。
丁度この機体の力を試しておきたかった所、この2機の相手になってもいいだろう。
『その機体に乗ってるパイロット!私の話しをよく聞いてなさいよ!』
突然モニターに女性が映ると、いきなり呼びかけられた、誰だコイツは。
『私はリシュテルト家の王女!アリス・リシュテルト!貴方の名前を教えてもらおうかしら!』
王女?貴族が何で戦場に出てきてるんだ。
それに自己紹介を勝手に始めてやがる、しかしこれは上手くいけば戦闘を回避できるかもしれない。
「俺の名前は高橋甲斐斗だ」
『へぇー、そんな機体に子供が乗ってる何て少し以外ね。
 まぁいいわ、貴方には選択肢が二つあるから、どちらか好きな方を選びなさい』
てめえだって子供だろが・・・大体俺はガキじゃねえ。人を見かけで判断してんじゃねえええ!
と、説教してやりたいが今は許してやる。さぁ早く選択肢とやらを言ってもらおうか。
『一つ目は今すぐ武装解除してその機体から降りてきなさい!そうすれば貴方に一生遊んで暮らせる程の富を与えてあげる!
二つ目はこの気高きリシュテルト家の忠実な下部になる事!
貴方無所属なんでしょ?下部になるのなら私が全て面倒見てあげるわよ』
その言葉を聞いて俺は肩を震わしながら俯いてしまった。
「っぷ・・・く・・・」
だ、だめだ・・・笑いが堪えきれない。
「ぶははははは!何その貴族丸出しの発言、ウケ狙いにも程があるっつーの!!」
『な、何よあんた!こんなもったいない話しを棒に振る気なの!?馬鹿丸出し発言ね!」
「俺はガキに面倒見てもらうほど落ちちゃいねえんだよ、来るなら来い、相手してやるよ」
出来れば戦闘を回避したかったが、ガキに舐められてるようじゃ気がすまねえ。
この戦場に出てきた事、そして俺を馬鹿にした事を後悔させてやる、あんなピンク色の悪趣味な機体に負ける気がしない。
『んもぉおおお!男って本当馬鹿ばかりね!シャイラ!あいつをこらしめて!』
ピンク色の機体が重武装した機体の後ろに移動すると、ピンクは俺の機体に指を指す。
『畏まりましたお嬢様、しかしあの機体を捕獲する場合少し機体が破損する恐れがあります。
 それに中に乗っている方も無事ではすまないと思いますが、それでもいいのですか?』
あの重武装している機体に乗っているのはあの少女の護衛係りみたいなものか。
それにしても良いのかねえ、SVのお嬢様がこんな所に出てきても。
『いいわよ!私が欲しいのはあの機体とデータ何だから!多少壊れてもいい!やっちゃって!』
本当強気だな、自分は戦いもしないで人に戦って来いとか言ってやがる。
「おいおい、人に頼ってないで自分でかかってこいよ。俺と戦うのが怖いのか?」
『何また馬鹿な事言ってるの?ここは私の出る幕じゃないの、貴方じゃ私の相手になりもしないんだから』
「・・・へぇ、相手にならないねぇ・・・この俺が」
久しぶりだな、ここまで腹が立ったのは。この俺を雑魚だと?この俺を弱者だと?この俺が相手にならないだと?
最強のこの俺にそんな事を平気で抜かす糞ガキには・・・しっかり躾をしてやらねえとなぁ。
頭に血が上っていた俺は一気に機体を加速させていく、狙いはただ一人。
「生きて帰れると思うなよ糞ガキがぁああああっ!!」
『お嬢様を愚弄する者は誰であろうと許しません』
そんな声など耳に入ること無く俺は突き進む。
俺の視界に映っているピンクの前に、あの武装をした機体が現れるまでは・・・。
『フルマルチロックオン、全兵装攻撃を開始します』
声とともに引かれる引き金、その機体の両肩のレーザー砲からは眩い光が放たれた。
それだけではない、両腰に付けられている長い砲身からは砲弾が放たれる。
そして後部からは何十発ものミサイルが・・・ってこれは避けないとシャレにならん!
加速させていた機体をそのまま浮上させていく、レーザー砲や砲弾を交わす事は出来たがまだ何十発ものミサイルが俺を追ってくる。
『逃がしはしません』
重武装の機体は両手に機関銃を握ると浮上している俺に容赦なく引き金を引いてくる。
剣で何とか防ごうとするが二丁の機関銃を受けるのはさすがに辛い。
しかも足元からはミサイルが追ってきやがる、それにこのまま浮上していく訳にもいかない。
機体を回転させると一気に急降下を始めるしかない、これでミサイルも振り切ったと思っていたが・・・甘かった。
右手に握られていた剣が宙を舞う、一瞬何が起こったのかわからなかったが、相手の機体の様子を見てそれがわかった。
重武装機一発の砲弾が機体の腕を目掛けピンポイント射撃をされた事に。あの距離から、この位置に当てやがるとは・・・。
もはや身を守る物は無い、2丁機関銃の餌食になりがら機体は急降下、そのまま地面へと叩きつけられるように落ちる。
そして上空に上っていた無数のミサイルが俺の機体目掛けて降り注いだ。
「ぐっ、うぐぁあああっ!」
機体が爆発するのではないかと思うぐらいの揺れが俺を襲う。
や、やばい。想像以上に機体にダメージが大きい、早くあの機体を止めねえと!
勝機は必ずある、ミサイルの攻撃も終わり辺りには砂塵と爆煙が立ち込めている為俺の機体の位置もバレてはいない。
運よく手元から落ちた剣は近くの地面に突き刺さっていた為拾うのは簡単だ、この煙に紛れて剣まで走る。
この剣さえあれば俺は百人力、不覚にもさっきは手放してしまったがもう2度と手放すものか。
俺は地面に突き刺さった剣を右手で握り締めた、その時、青く細い閃光が煙を掻き消しながら機体の左腕を貫いた。
「は・・・?」
俺とした事が、こんな罠にはまるとは・・・自分の馬鹿さに呆れてしまう。
俺の剣が落ちていた場所は既に相手は知っていたんだ、そしてそれを俺が広いに行く事も。
何をやっているんだ俺は、たかが一機俺の敵じゃない、落ち着いていけば・・・、いや、ここは熱くなるべきか?
まぁいい、腕を一本失おうが知った事か、用するには勝てば良いんだよ勝てば、最後に勝てばそれでいいッ!
警報音と供にレーダーに反応有り、どうやらまたミサイルが来たらしい。
・・・いつもの俺になればいい、こんな所で死んでたまるかっつーの。
『信じられません、あれ程の攻撃を受けても機体に目立った外傷がないとは・・・しかもまだ立っていられるなんて・・・』
重武装した機体に乗っている女がどうやら驚いているようだ、そりゃそうだ、あんな攻撃を受けても機体が大破していないのだから。
『でも相手の右腕は壊せたんだし、シャイラなら余裕よ!』
『ありがとうございます、お嬢様が応援してくれるお陰で私も頑張れま・・・ッ!?」
周りに立ち込めている煙を全て吹き飛ばし、一直線に重武装した機体へと俺は突き進む。
前方から飛んでくるミサイルを剣で防ぎ、更に加速させていく。

『まだあれ程動けるなんて・・・でもこれで終わりです』
両肩のレーザー砲、両腰のキャノン砲を迫ってくる機体に向けて砲身を向ける。
それを狙っていたかのように甲斐斗の乗る機体は急上昇をし始める、空には雲は無く青空が広がっていた。
シャイラは砲身を上に向けると上昇していく機体目掛け引き金を引く、更に後部から無数のミサイルが放たれた。
ミサイルを避けながらも更に上昇していく、しかし機体にも限界があった。
浮上する機体に数発のミサイルが直撃、機体は出力停止、何をする事もなく地面へと落ちていくが、地面ではしっかりと両足をついて踏みとどまった。
だが機体は動こうとしない、両手には何も持っておらず、完全に無防備な状態だ。
『チャンスよ!あの機体に集中攻撃!』
『畏まりました、お嬢様』
両肩と両腰に砲身を甲斐斗の乗る機体に向けると、容赦なく引き金は引かれた。
レーザー砲が機体を霞め、砲弾が胸部に直撃する。爆発が起こり胸部は大きく窪みが出来てしまう。
だが機体は動こうとしない、その砲撃をも我が身で受け両足で踏みとどまった。
その光景にシャイラが驚きを隠せない、避けようと思えば十分避けれる距離のはず、それなのになぜ避けない。
『シャイラ!相手はアレだけの攻撃を受けていたんだからきっと機体の故障よ!その隙にあの機体の両足を破壊しなさい!』
言われるがままに両肩のレーザー砲の照準を機体の両足に向ける、それでも相手の機体は直立不動を保っていた。
すると、その機体は残された右腕を前に突き出すと指をき、ゆっくりと一本ずつ指を下ろしていく。
まるで何かをカウントするかのように、しかしそれが何のカウントなのかはわからなかった。
そして最後の1本の指が降りた時、一本の黒き刃が重武装している機体の右肩へと落ちる。
『い、一体何が起きて・・・きゃっ!』
その隙を甲斐斗は逃がしはしない。
右肩と右足をそぎ落とされ、地面に倒れようとする機体に向かって機体を急発進させる。
肩と足を落としたまま刃先は地面に突き刺さっている、それを甲斐斗の機体が掴むと今度は左肩と左足を切り落とす。
シャイラの機体で小さな爆発と供にコクピットには警報音が鳴り響く。
さらに機体を破壊された衝撃で頭を装置に強くぶつけてしまい、大量の血が傷口から溢れ出していた。
『気づくのが・・・遅すぎました・・・』
この時シャイラは気づいていた、一体あの機体が何をしていたのかを。
甲斐斗の機体が上空に上がりミサイルを受けた時、手に持っていた剣を空高く放り投げていたのだ。
爆煙でそれを見せないのも計算の内、後は注意をそらす為無防備な体勢をとり注意をひきつける。
あの攻撃を避けなかったのも下手に避けて相手が動いてしまうのを防ぐ為。
空高く上がった剣は重力により急降下、その真下にいた機体に落ちる計算になっていたのだ。
そんな事を考えている内にシャイラの乗る両腕両足を切り落とされ、もはや何もする事の出来ない状態になっていた。
「俺の勝ちだ・・・」
甲斐斗の機体は残された右腕でシャイラの機体を掴むと、ゆっくりと持ち上げていく。
『シャイラ!今すぐ機体を破棄して脱出しなさい!早く!』
その間にも必死に呼びかけるアリス、だが既に時遅し、シャイラがふとモニターを見るとそのおぞましい機体の顔がハッキリと映し出されていた。
「おいガキ、よく見ておけよ?お前を守ってくれていた人の苦しむ姿、死に様をな」
そう言って掴んでいる機体を勢いよく地面に叩きつけ始めた。
何度も何度も機体を叩き続けていくたびに、機体に電流が走り負傷した箇所から火花が散る。
「俺と戦ったのか運の尽きだったなぁ、最強のこの俺に勝てる訳ねえんだよ」
『きゃぁああっ!っ・・・!ああッ!』
機体が地面に叩きつけられていくたびに、コクピットに乗っているシャイラは何度も頭や体をぶつけていく。
『や、やめなさい!今すぐその手を放して!』
「誰に口聞いてやがる、俺に命令できる立場か?ちゃんとお願いしろよ、そしたら止めてやってもいいけど」
甲斐斗の言葉に怒りと悔しさが込み上げて来る、アリスのさっきまでの余裕の表情が一変していた。
『やめて下さい・・・その手を放してください!!』
「戦場でそんな言葉が通じるわけねえだろバーカ」
アリスの頼みは簡単に断られ、貶された。アリスの言葉に甲斐斗は耳を傾けようとはしない。
「戦争は勝つか負けるかだが、戦場は生きるか死ぬかなんだよ。よく憶えとけ」
甲斐斗が会話している間はシャイラの機体は地面に叩きつけられなかった。
その隙にシャイラはアリスにある事を告げる。
『お嬢・・・様・・・今から『LIMD』を使います・・・私の機体から・・・離れてください・・・』
『な、何を言ってるのシャイラ!?駄目よそんなの!絶対に!!』
『私の機体は・・・既に限界が来ています・・・お嬢様を助けるには・・・もうこれしか・・・』
シャイラの小さな声を掻き消すかのように甲斐斗の声が聞こえてくる。
「そうだ、おいガキ、この死に底ないの兵士を助けてほしいなら、ここで死ね。そうすればこの兵士を助けてやる。
 それが嫌なら逃げてもいい、ただしこの兵士は殺す、どうする?」
『えっ・・・』
戸惑いの表情を浮かべながらモニターを見つめるアリス、その瞳は揺らぎ今にも泣き出しそうな顔だった。
「どうするかって聞いてんだよ。死ぬか、逃げるか、どっちだ」
『それは・・・』
モニターに映っているのは二人の姿。
一人は頭から血を流し、苦痛に顔を歪めているシャイラ。
もう一人は勝ち誇った笑みを浮かべ悪魔のような赤い眼で睨み続けている甲斐斗。
『お嬢様はこの世の為にも生きなければなりません・・・ここは私に任せて早く逃げて下さい!!』
「さあどうする!死ぬかぁっ!?逃げるかぁっ!?早く選べ!!」

・・・今の俺は奴から見えれば何に見える。鬼か?悪魔か?はたまた化物か?
俺を酷いと思うか、俺を醜いと思うのか、甘ったれるな、ここは戦場だ。
中途半端な覚悟をした人間が戦場に来ても死ぬだけだ、そんなの常識だろ。
さて、お前はどっちを選ぶ。仲間を捨てて逃げるか、自分の命を捨てて助けるか。
その時だった、ピンクは後ろに振り返ると、そっと俺達に背を向けた。
『ありがとうございます、お嬢様・・・』
俯いたままのアリスにシャイラは笑顔で感謝の言葉を伝える。
その俯いているアリスの目元からは微かに涙が零れ落ちていた。
『・・・ないじゃない』
「ん?」
『逃げるわけ・・・ないじゃないッ!!』
涙で濡れた顔、だがアリスの眼は死んではいない。
ピンクは振り返ると背部についているLRSを引き抜くと俺目掛け特攻してくる。
どうやら俺が思っていた以上に器はしっかりしているみたいだ、だが・・・お前の行動は無意義だ。
斬りかかって来るピンクの腕を黒剣で一振りで簡単に吹き飛ばすと、相手機体は体勢が崩れ俺の横で倒れた。
『くっ・・・』
アリスは機体を起こそうとしたが、その背後に俺は容赦なく剣先を突き立てる。
同情の余地は無い、戦場で雑魚は死ぬだけだ。
「そうか、お前は死を選んだか。それじゃ、あばよ」
『あ、ああ・・・いや・・・っ!』
感じたことがあるか?これが死の恐怖だ、ガキはどんどん恐怖で顔が引きつっていく。
剣を高々と振り上げた俺は、狙いを外さないようにしっかりと剣を握り締め、振り下ろした。
『助けて・・・ゼスト!!』
レーダーに反応あり?何かがこっちまで飛んできやがる。
赤いビーム砲のようなものが一直線上に俺の機体まで飛んできているのを見てすかさず剣を盾にするがその威力に機体が吹き飛ばされる。
半端無い力だ、この機体を吹き飛ばすとはな、そして俺の前には1機の機体が立ちはだかる。
全身黒でコーティングされたボディは悪くない、感じる、あの機体から強者の念が溢れ出てやがる。
『無事か』
『ゼスト!遅いじゃない!今まで何してたのよ!!』
『・・・話は後にしてやる。今はこの場からシャイラを連れて離脱しろ』
ピンクが負傷した機体を両手で持ち上げると、艦が走っていった方向へ飛んでいく。
相手の黒い機体は立ったままで攻撃してくる様子は無い、ここは俺も逃げたほうがいいのではないか?
機体も全体的にダメージが大きい、それに左腕も無い、明らかにこちらが不利だ。
『高橋甲斐斗、アリスが世話になった』
なっ、通信だと?コイツ何を考えてやがる。
『これでアリスも知ったはずだ、戦場がどういう場なのかを』
そう言うと敵の黒い機体が俺に背を向けた。
どういう事だ・・・今なら俺を倒せるかもしれないというのに、何故奴は俺に止めを刺さなかった。
敵の機体は無言のまま走り出すと、荒野の砂を巻き上げながら俺の前から姿を消した。
助かったのは素直にうれしい、でもこじゃあまるで俺が助けられたようなもんじゃないか。
・・・いや、やる事はしたんだ、何も考えるな、今はあの少年の所に戻ろう。
俺は撃ち落された機体の左腕を拾うと、自分が先ほどまでいた森へと急いだ。

森にはあの少年、そして傷がほとんど治っている龍が樹木の下で寝そべっていた。
少年は笑顔で龍の頭を撫で、龍もどことなくうれしそうな表情を浮かべているように見えた。
俺は機体から降りると早速少年の元に駆け寄っていく。
「よう、どうやら無事に森に来れたみたいだな」
「甲斐斗のおかげさ、君も無事に逃げてこれたみたいだね」
「俺は逃げてねえよ!相手が勝手に引いたんだ!」
少し強い口調になってしまった、少年も少し驚いた顔をしている。
「急に怒鳴ってすまん、とりあえず俺はお前と話しがしたかった、お前は他の世界の人間だろ?」
「うん、僕の名前はロア。この龍はマルスって言って。アランディッシュって言う世界から来たんだ」
アランディッシュ・・・聞いた事がない世界だ。大抵の世界は知っているつもりだったが、やはり俺が知らない世界も多々あるようだ。
「そうか、それならお前達はどうしてこの世界に来たのか教えてくれないか?」
俺の言葉に少年の顔の表情が暗くなる、やはり何かあったみたいだな。
「生きる為に来たんだ、この世界に」
生きる為にこの世界に来た、とすれば元いた世界で戦争でも起こったのだろう。
その戦いに巻き込まれたくないから他の世界に逃げてきた、という事か。
「甲斐斗は知ってる?あの化け物の事」
「ああ、知っている。醜くて気持ち悪い奴だろ・・・まさかお前の世界にもERRORが現れたのか?」
「ERROR?この世界ではそう呼んでるのか。そう、僕の世界にもあの化け物が来た・・・最凶最悪の化け物が・・・」
ロアは俯くと、龍は首を伸ばしてロアの側に頭を近づける。
それに気づいたロアは龍の額をそっと撫でていた。
「長くなってもいい、お前のいた世界の事を全部俺に教えてくれないか?」
「いいよ、甲斐斗は命の恩人だからね・・・」
そう言ってロアは語りだした、自分が元いた世界の事、そしてERRORによって滅ばされた一つの世界の話しを。

アランディッシュ、それぞれ三つの城を中心とした3国が一つの世界を築いていた。
城下町は多くの店が並び、多くの人で賑わっていた。見た所平和な世界に見えるが、それは偽りの平和。
3国は昔から争いを繰り返しており、日々戦争が続いていた。
この世界には他の世界と違う所が一つだけあった、伝説上の生き物の『ドラゴン』もとい龍が生息していた事だ。
それも多くの龍が存在しており、人々は龍と共同してこの世界を生きていた。
龍は特殊な力を持っており、その力は人を殺す力だけでなく人を癒す力も存在する。
龍の力は科学では説明のつかない神秘で、かつ絶大な力、ある意味科学の発達した世界よりも強大な世界だったとも言える。
そんな世界に、一匹の龍の形をした生き物が現れた。
それは突然の出来事、体は龍のように大きく、翼もる。
だが鱗も無く、長い首の先端には人間の首のようなものがぶら下がっていた。
奇声を発しながら城下町の上空を飛んでいたが姿を見て人々は気味悪がり、その後その龍の形をした生き物は捕らえられ、処刑された。
まるでそれが引き金だったかのようにその龍の形をした化け物が次々と世界に各地に現れるようになる。
龍の形をして人間の形をした生き物、何故このような生き物が現れたのかは不明、ただ一つわかったのは、この生き物が人類の敵だという事だけだった。
少しずつ増えていく化物、少しずつ減っていく村、町、人。
もはや人間同士が戦っている場合ではない事に気づいた頃には、時既に遅かった。
化物は姿形を変え、より凶悪で、凶暴なものになっていく。人間の形、獣の形、龍の形・・・。
そしてとうとう始まった、人類と龍は協力しあいその化物との全面戦争が行なわれたのだ。
結果、その世界にいた全ての人が死に、唯一生き残ったのはロアとマルスだけだった。
ロアはマルスの力を使他の世界へと飛んだ、だがその世界にも奴等は存在していた・・・。

・・・大体話しはわかった。やはりERRORがいるのはこの世界だけではなかったらしい。
「それならまた龍の力を使って他の世界に行かないのか?」
「それが、マルスがこの世界から離れようとしないんだ。訳も話そうとしないし、僕にはどうする事もできない」
まぁ別に離れる理由も無いか?もうこの世界にいるERRORの数は激減してることだし。
「EDPっていう作戦でな、ERRORの数は激減したんだ。もう絶滅寸前まで来ているらしい」
俺の言葉にロアは強く反応した、俺の眼を見てくると寂しそうな表情で口を開いた。
「甲斐斗、あの化物をそう簡単に消せると思わない方がいいよ・・・あの化物は常に成長し、進化し続ける」
「わかってる。ERRORを消さないとこの世界もお前のいた世界のようになっちまう。それだけはさせねえよ」
世界を滅ぼす化物か、たしかに世界は沢山あるからな、そんな生き物が現れてもおかしくない。
「甲斐斗も他の世界の人間何だよね?」
そういえばそんな事も言ったな、ごめん違うんだよ。
「あー、残念だが俺はこの世界の人間だ、しかも100年前のな」
「100年前!?それって一体どういう事なの・・・?」
「気絶したら100年後で起きた、それだけだ」
随分と簡略してしまったが間違った事は言ってない、大筋そういう事だ。
「甲斐斗は龍と似た力を持っているね、何も無い所からあの黒くて大きな剣を取り出したりしてたし」
青年は魔力のような力を持っていないみたいだ、どうやらこの龍が魔力と似た力を持っているみたいだな。
「言っておくが俺は世界最強の魔法使いだったんだぞ?今は何か力が出せないけどな・・・」
「へ、へぇ。そうなんだ・・・所で甲斐斗はこれからどうするの?」
「それはこっちはの台詞だ、お前はこれからどうするんだ?」
「僕は・・・マルスと一緒にあの化物と人のいない所を探してみようと思う、安全で平和な場所を」
「それがいい、俺は機体が直ったらミシェルを迎えに行く事にする。お前も気をつけろよ」
「甲斐斗も気をつけてね、それじゃ」
話してみれば案外しっかりした青年じゃないか。
ロアは軽く手を振った後龍の首根元に跨る、龍は巨大な翼を羽ばたかせると俺の前から姿を消した。
大体わかった、他の世界にもERRORがいる、そしてこの世界にも来たって事だ。
という事はERRORとこの世界にいる『神』じたいは何の関わりも無さそうだな。
ERRORの目的は何なのだろうか・・・何故人間を殺すのか・・・聞いてみないとわからない。
だが黙って殺される程人類も馬鹿ではない、100年前とは違って面白い世界になったな。
平和な世界が面白くない、なんて言っている俺は本当の戦争を知らないのだろうか。
危険な世界にいてこそ、初めて平和な世界の有り難さがわかる。
ふと後ろを振り向けば自然溢れたこの森に、1機の機体が座っている、もちろん俺の機体だ。
装甲の傷は既に直り、外れていた左腕も気づけば元に戻っている。
さてと、機体も直った事だし・・・そろそろ迎えに行くか。


ロア
元の世界がERRORによって破滅した為に平和な世界を探し龍の力を借りてこの地に移転してきた青年。
魔法のような特殊な力を持っていないものの、変わりに龍が魔力と似た力を持っている。











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