八重子は俺の幼馴染み。
金髪のスパイラルパーマに肉感的な体つき。
ウエストはくびれてるけど、腰をくねらせるとむちっと肉付のいい腰回りがそそる。
無駄な肉はない。必要な肉があるのだ。
胸もデカい。
死語だとは分かっている。
でも、言わせてくれ。
ボインだ。
俺の友達の直樹は痩せた女が好きで、胸もあまりないほうが好きだという。
でも、俺は断然グラマラス派なのだ。
プレ○メイト並みの爆乳の方がムラッとくる。
眼つきも悪くてちょっと生意気で、眠そうな流し目で見下すような感じがいい。
丸っこい可愛い上目遣いよりも、挑発的な上から目線の方がいい。
唇は厚ぼったくて生っぽい感じ。
赤く塗るのもいいけど。
指を咥えさせたいとか瞬時に思わせるような唇が好きだ。
そう思わせる
町田八重子。
俺を欲情させる
幼馴染み。
七月十九日。
終業式。すなわち夏休み前日。
午前中で終わり、通知表など気にしない俺は友達と夏休みの間に何をして遊ぼうか算段していた。
「ジョージ、“核爆弾”がくるぜ」
直樹が廊下側の窓辺から俺を呼んだ。
“ジョージ”とは俺、賀川 穣司。
“核爆弾”とは町田 八重子のことだ。
セクシー“ダイナマイト”じゃ足りないので“核爆弾”。
アイツが通ると九割の(教師も含む)男が振り返る。
そして今、俺の周りの馬鹿野郎達が感嘆を上げている。
噂によるとGカップ。俺は知らないけど。
体育の時間なんて皆が見る。
歩いても揺れるくらいだから、走ったらちぎれるんじゃないかと心配するのだ(大嘘)。
冬でも生殺し。
夏なんか特に生殺し。
意識し始めた小六から、年がら年中悩殺されてばかり。
自慢じゃないが、(むしろできないが)ネタに困ったことはない。
大抵の野郎共は俺を羨むが、俺なんて十一歳の頃から五年間、悶々とし続けているだけだ。
中二の時に最初に彼女が出来たが八重子のせいですぐダメになった。
どうしても、比べてしまうのだ。(当時すでにEカップ)
他の女じゃ満足できない。
八重子を想像しているほうが、よっぽど欲情する。
がしかし、やはりいつまでも妄想と右手、(たまに左手と浮気するが)だけじゃ物足りないので、来るもの拒まず付き合っていたら、“百人斬りのジョージ”というあだ名がついた。
さすがに百人と付き合ってない。
まだまだ二桁だ。
俺はアイツの一番身近な男だから、アイツのことを(たぶん)一番知っている。だから、手を出せない。
中一の時に見知らぬ男に悪戯されそうになった事や、教師に手を出されそうになった事がある。
ぜんぶ未遂で終わったのは、もちろん、この俺のおかげ。
しかしそういった事件が多発したせいで、八重子は男性恐怖症になっている(らしい)。
俺以外の男は大抵、無視。
もはや冷酷なほど扱いが厳しい。
“核爆弾”の他に“女王様”というあだ名があるくらいだ。
順調に俺のストライクゾーンに成長していく八重子が憎い。
でも、俺とだけ、無防備に接する八重子は可愛い。
俺だけの特権。
生意気なのは俺に甘えているからだろう。
――ゴキっ!
鈍い音を立てたのは俺の首。
「穣司?なにボサッとしてんのよ?帰るわよ」
一つ結びの後ろ髪を呼び鈴のように使う。
思いきり後ろに引っ張るのでたまに、もっていかれそうになる。
俺を半身不随にする計画でも立てているのと思うくらい、ふいに思いきりやる。
「お前なぁ……」
「なによ?」
「なによじゃねーよ……」
俺は八重子に向き直った。
この学校の夏服はセーラー服。
八重子は胸のサイズに合わせると野暮ったいという理由からジャストサイズにしている。
エラそうに腕組みをして俺を睨み上げる(With谷間)。背は俺の方が断然、高い。
チラッと見える俺の好きなボインが強調されて、むちっとゆさっと……
「アンタ、聞いてんの?」
やっべ、スタンダップ・マイサン!!
「すまん!八重子、俺トイレ!」
情けない……。
見慣れたはずの幼馴染み。
普通だったら異性として認めちゃっても、ちょっと客観的に見たりして、あるじゃない。
うっせーバーカ!とか言って、なによアイツ!プンプン!みたいな?
淡い恋心、素直になれないいじらしさとか?
俺の場合、百パーセント下心。
俺は、
俺は、
俺は!!!
八重子の真っ裸にベビーオイルを塗ったくって、シャワーでいじめて、あの爆乳を弄り倒してみたい!!!
あのくびれた腰を鷲掴みにして後ろから………
「うがあああああああああッ!!」
「また、ジョージ走ってるよ」
「アイツ身体鍛えるの趣味らしいよ。脱いだらすげえよ」
「えー、普通にかっこいいのにー。筋肉ナル入ってんの?」
俺は性春の迷走をしているのにもかかわらず、好き勝手言いやがって。腹立つ〜。
抑え切れない衝動を発散するためにいろいろやってたらちょっと筋肉ついただけだよ!バーカ!
「ジョージ、今度蓮女高と合コンするけど、いく〜?お前がいると女集まるし」
「超行く!!!」
「ねーねー、ジョージ、それよりさ〜あたしと遊びいこ〜よ〜」
「ていうか多香子彼氏いるじゃん!ジョージ、あたしとカラオケいこ?」
ほら!俺、こんなんだけど、モテるんだよ!
女に困ったことはないんだよ!
俺が八重子から四十メートルくらい離れたところで、ハーレム状態になりながら、男の自信を取り戻している頃―――
「……八重子、黙認してていいの?」
八重子の類友、飯田 雅華が呆れた口調で八重子に言った。
「だって、アイツ、バカだもん」
八重子は鼻で笑っていた。
「……はッ?!」
蝉の合唱を一蹴した俺の声。
「だから、うちのママと穣司ママが今日からパリに行くって聞いてなかったの?」
「はぁ?!聞いてねえよ!」
「で、パパがサウジアラビアに出張だから、あたし一人なのよ。夏休みの間、あんたんちにいるから」
「はあぁ〜〜?ふざけんなよ!なんで……」
「穣司パパも単身赴任じゃん?ご飯どうするの?」
「…………」
俺と八重子の家は隣りで、親同士も仲がいい。こんなベタな関係も、俺にとっては拷問になる。
あの親共は何を考えているのだろうか。
思春期(もとい発情期)の息子と娘を置いて、海外で遊び惚けている場合か?
少なくとも俺のことを男と考えていないのだろう。
若い男女が一つ屋根の下で何日も過ごしていたら日数の数だけ間違いが起きると思わないのか?
……いや、もしかして、これって、公認ってこと?
この天然エロエロバディを好きにしていいってこと……?
妄想に浸っていると八重子の氷点下の視線が刺さってきた。
「どうせ、あんた家にいないつもりなんでしょ?」
「いや……、そんなことは……」
「べつにいいけど、今から買い物付き合って。昼ご飯買うわよ」
「ベビーオイルってコンビニ売ってっか?」
「さぁ?てか食材買うんだから、スーパーマーケット行くわよ。あんた荷物持ちね」
八重子はさっさと俺の前を歩いて行く。
マイクロミニのプリーツから、あらわな白い太股、パンツは見えそうにない。くびれた腰がうねる。
八重子が振り向いた。
「早く。行くわよ」
俺を一瞥し、再び歩きだす。
躍動感溢れるおっぱいから、ぶいんっ、と風を切る音がした(俺にだけ聞こえる)。
ぶいんっ、ぼん!ってなふうに。
そしてケツ。
尻もボリューム満点だ。
八重子は尻を左右にゆすって歩く。
骨盤を意識すると腹の赤筋が鍛えられて無駄な肉がつきにくくなると朝のオバサン向け情報番組で言っていた。
八重子にとって、それは無意識なのだろうが、ウエストもくびれているし、効果は期待できるだろう。
こいつは後ろから見ても充分エロエロい。
いいとこばっかりむっちむっちしやがって。
俺は腹の奥から込み上げてくる、怒りと焦りに似たものを抑えるのに精一杯。
夏休み、こいつと二人きり。
俺は我慢することができるだろうか。
胸を突き上げる衝動が喉まででかかった時、脳裏に過ぎる中学生の頃の八重子の泣き顔。
『あたし、なりたくてこんな体型になった訳じゃないのに、どうしてあんなことされなきゃなんないの?』
すまん、八重子。俺、思わず忘れてたよ。お前は俺が守るって誓ったことを。
だから、俺、あの泣き顔を見た時から、強くなるって決めたんだ。
俺は何もしねえよ。
俺まで裏切ったら、お前ひきこもるよな。
高校を一緒にしたのも、電車通学の途中に痴漢から守るため。
朝の満員電車では俺が防波堤になる(これも拷問)。
帰り道に痴漢に遭わないように一緒に帰っている。
だけどさ、八重子。
お前のセーラー服姿ってコスプレ(犯罪)だよな。
スカート膝上、二十センチ以上に金髪だろ?間違われても仕方ないと思うんだ。
でも、
お前のおかげで、俺、強くなったよ。
「穣司?何してんのよ?あんたって意外とトロくない?」
人の気も知らないで八重子は腕組みをしてきもち斜め上目線で(俺の方が背は高い)睨み上げている。
「うっせー!バーカ!俺は夏休みに何して遊ぶか考えてたんだよ!」
「あたし、海行きたーい」
「はぁ?!」
お前が水着になったらグラビアかAVの撮影に間違えられるだろうが!と言いたいのをこらえる。
「お前がいると女の子が寄ってこないだろ!!」
「あたしだって穣司といると、男、寄ってこないよ」
え?
今の言い方って、迷惑ってこと?
軽く胸に痛みを覚えてうろたえる。
……俺、実はいない方が良いのか?
てかなんで俺、ちょっと傷ついてんの?
八重子に欲情するたびに他の女抱いて、八重子を守るために必死になって……何やってんだ?俺。
これじゃまるで、俺は……
俺って……
俺ってば……
八重子の奴隷じゃないか!!!
……いや、違う。違うよ、俺。
「穣司?」
八重子が俺の方に歩いてくる。
むっちむっちゆっさゆっさGカップを揺らしながら。
とろんとした二重(たまに三重)、厚ぼったい唇は無意識で尖っているみたいだ。
まくれそうなマイクロミニのプリーツからむっちむっちの太股が見える。
「……どうしたの?」
すっと俺の頬に伸びた八重子の指先。
柔らかな感触。
「顔が赤いわよ?」
八重子が首を傾げて俺を覗きこんだ。
オリエンタル系の香水が薫って、俺の心臓が跳ね上がる。
思い出したかのように鼓動が激しくなった。
「……海、連れてってね。あたしを守れるのは、アンタだけなのよ?お願いね」
耳元にかかる掠れた声。
耳朶にかかる生暖かい声の余韻。
八重子お得意の“お願いメソッド”。
俺はこれでいつも断れない。
「……わかったよ。そのかわりビキニ着るなよ。無駄に目立つから」
「やだぁ〜、普通のやつって逆に太く見えるんだもん」
八重子は踵を返し、かったるそうに答える。
「やだぁ〜、じゃねえ!連れてってやらねえぞ!」
「じゃあ、なによ?スクール水着でも着て行けって言うの?」
俺は思わず八重子のスク水姿を思い浮かべる。
締め付けとハミ出しのナイスコラボレーション!!!
いや、体操服も捨てがたい!!!
「って、バカ!!」
「バカはあんた。ツッコミ考えるのに何分かかってんのよ」
「うるせーよ。男には自分の世界があるんだよ」
「どーでもいーし。ねえ、穣司、お昼ご飯なに食べたい?」
「……お前」
思わず、ベタに本音が、
ジャジャ丸!
ピッコロ☆
ポ〜ロリ〜。
「は?」
八重子が女王様よろしく睨みを利かす。
「―――が作れるもんなら何でもいいよ。ちゃんと人間が食えるもん作れよ」
「寝言は寝ていいなさい。あたし、料理はママより上手いのよ」
自信たっぷりの生意気な流し目。
知ってる。確かに俺のおふくろより美味い。
流し目、身体、料理上手。
マジで俺のストライクゾーンに魔球。
八重子の金髪が夏の太陽にきらきら輝く。
セーラー服が眩しいぜ。
俺が八重子の後ろ姿に見とれていると、風が吹いた。
え。サテンの紫に黒レース?!!
俺は思わず二度見したが、すでに隠れた後だった。
雨振れよ!
降っとこーよ!!コ・コ・は!!
んでスケスケになろうよ!!八重子だけ。
どーする?!俺!夏休み、始まって三十分。
俺のムスコはきかん坊。
……いやいや、
いざとなったら、中学生の頃の八重子の泣き顔が、俺を制御する。
俺の拷問・愛欲と痩せ我慢デイズが始まるのだ。
夏休みが終わったら、俺、また強くなれる気がするよ。
きっと、俺の名前が知れ渡るのは、この辺りの高校だけじゃなくなるよ。
この際、天下一武道会、目指しちゃおっかな☆
こうして俺は煩悩と理性の狭間で壊れていくのだ。
お先真っ暗だ。
ちがう。曇ってきたんだよ。
ほんとに俺、バカだよな〜……って!!
「あ。雨?」
八重子が舌打ちをした。
お望みどおり通り雨だよ。
どーすんの?俺。
ラ○フカードがあるなら、どんな選択肢があるのか見てみたい。
でも、俺は八重子の手を引っ張り、ビニル傘を求めて、走り出すのだった。
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