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六条葵の幸せの在処

作者:きょん
思いついたので書いてみました。
「カナデにやってきたこと全て、ここで謝ってもらうからな」

「…」

大勢の聴衆がいる中断罪される彼女は何も語らない。

「カナデの制服を切り刻むのは楽しかった?靴に生ゴミを詰めたときは?カナデの大切なブローチを盗んだときは?あれはカナデのお母さんが最後に残した宝物なのに」

彼女の罪が言い渡されていく度に周りからは嫌悪の視線や罵倒が飛び交っていく。

「カナデの親友のくせに貶めようとするやり方は醜いね、姉さん」

肉親にも蔑まされて。

「これが婚約者だったなんて虫唾が走る。婚約は無かったことにしてもらうからな」

将来寄り添うはずだった男にも切り捨てられて。



「私、信じていたのに…どうしてなの。私が憎かったならそう言ってくれれば良かったのに。こんなのあんまりだよ…」

ほろりほろりと涙を流す美しい少女の切なげな表情に、彼らは、彼女らは。
そして六条葵は何を思ったのか。




【六条葵の幸せの在処】




僕が彼女を知ったのは初夏の風が吹く頃だった。動くだけでうっすらと汗がにじみ始めてシャツを腕まくりしながら廊下を歩いているときだったと思う。目の前を完璧な少女が歩いて行ったのを見た。僕の中の完璧とは制服かっちり・一切染めていない黒髪を一つ結びで横に流すような品行方正っぽい人のこと。簡単にいえば学校の模範生と言われるような完璧少女だった。

暑い暑いと胸襟を広げて涼しさと男の視線を求める肉食系女子とは違った清廉な女の子に見えた。一切暑さを感じさせないように廊下で立ち話している生徒の邪魔にならないようにスタスタ歩いていく。

「あの子だれ?」

僕の声に隣を歩いていた友人は驚いた声を出した。え、お前知らねえの?副会長の六条葵だよ。ほら、生徒会長の婚約者っていう。それからなんか言っていたけど下らない情報だったからスルーした。六条葵さんね。
顔はあんまり見えなかったけど所作の一つ一つ綺麗な子だったな。
それが僕から見た彼女の第一印象。



次に見かけたのはそれからすぐにあった体育祭の開会式でだった。マイクの前に立ち司会進行する彼女の顔を真正面から見ることができて、プラス声も聞くことができた。あー、会長の名前を呼ぶ女子の声が邪魔で内容がイマイチわからない。先生方は呆れてみているが、彼女は淡々と司会進行をしていた。
背が高い友人にくっついて後ろの方にいたからしっかりとは顔は見えなかったけれど眼鏡はしていない。残念、僕眼鏡フェチなのに。目はどうだろうか、鼻は高いだろうか。だるいなーと背中に体重をかける友達を追いやりながら考えた。まあ、競技中にでも見てみればいっか。

「頑張れよーカナデ!」

学年ごとの100M競争でなんだか男たちの声援がいっぱい聞こえると思って見たら彼女が立っていた。その横には男ウケしそうな小動物系女子。みんなー応援してね、なんてにこにこ笑顔で手を振っている女子を気にもせずストレッチをする彼女。目鼻立ちは整っていて、まっすぐゴールだけを見つめる姿は凛として綺麗だった。
合図の後走り出す女子たちの中で一番美しいフォームで走っていく彼女に目を奪われた。その時間は短いものだったけど僕には十分なもの。結局1着は小動物系女子だったけど、悔しそうな素振りも見せず生徒会用テントに戻っていく姿がかっこ良かった。

「かっこいいなーあの子」

え、お前カナデちゃんのファンなの。余計な情報を話す友人はほっといて彼女の方を見ていたかった。まだ無表情なところしか見ていないけどどんな表情をするんだろう。そんなことを考えてた。




次の授業化学室だってさー。だるそうに話す友人に適当に返しながら教科書を探す。うわ、忘れた。ばっかだねーと言われながら隣のクラスを覗く。あー、知らない人ばっかりで誰にいえばいいんだか。

「どうしました?」

綺麗な声が聞こえて驚いてしまった。振り向くと僕の後ろに六条葵さんが立っていた。僕が立っているから邪魔だったね、ごめん。

「化学の教科書忘れちゃってね」

とりあえず話す。なんか胸がドキドキしているけど、驚きすぎじゃなかろうか僕。道をあけるよう横にずれると彼女は教室の中に入っていった。横を通り過ぎるときに微かに香る花のにおい。石鹸かな、と頭の隅で思う。

「午後の授業で使うのでそれまでに返してください」

そういって僕の手に教科書を持たせると自分の席まで戻っていった。手には彼女の教科書。僕のとは違う折れ目が殆どない綺麗なもの。悪いなっと思いながら窓側の席に座る彼女を見た。こちらには興味がありませんよっとカバーをかけた本を手にして自分の世界に入ってしまっている。あとで返すときにお礼を言おう。そう思って化学室に向かうけど、手のものが特別な気がして何度も視線が下を向く。途中女子とぶつかったけど正直教科書の無事を確かめてしまった。あ、ごめん。

「ちょっと隣のクラスの人に教科書返してくる」

授業が終わって昼休み。さっそく弁当にがっつく友人をおいて隣の教室を覗く。あれ、彼女がいない。聞くと生徒会室に行ったみたいと。はて、生徒会室ってどこだっけ。3階の南階段のすぐ横にあるよ。サンキュー。
ちょっと遠出をしながら教科書を眺める。やっぱり中も綺麗だったな。落書き一つなかったし。教科書の裏には綺麗な文字で彼女の名前。女子の癖のある字とは違って読みやすい。あれはあれで可愛いよなっと女子にモテたい友人の言葉を思い出す。

「カナデ、早く屋上に行こうよー」

「今日は天気いいから昼寝し放題だな」

「そう言って会長はカナデの膝枕目当てでしょう。そうはさせないんだからな」

「えーそうなの。ちょっと恥ずかしいから今度ね」

きゃあきゃあ、わあわあ言ってる集団を避けて生徒会室と思われる方へ。こっち側初めてきたなー。美術室とかあるけど僕音楽とってるしなー。そんなことを思っていたら目の前に生徒会室の文字。あ、ここだ。
コンコンとノックしてみると小さな声で返事が聞こえた。失礼しまーすとガラッと扉を開ければ資料を見ながらお茶をしている彼女の姿。足を組んでいるけど優雅だね。

「教科書、ありがとう」

「机に置いててくれればよかったのに」

教科書を見せるとちょっと焦るように立ち上がった彼女の姿。お、表情変わった。立つのを制して生徒会室に入った僕は近くの机の上に紙の束が乗せられているのに気づく。なんか立派な机と椅子があるから生徒会長の椅子かな。

「生徒会の仕事って大変?」

僕の声に別にと答える彼女。ふーん。

「生徒会の忙しさはよくわからないけど、昼ぐらい休んだら?」

「…夕方早く帰りたいから今やってるの」

言いにくそうにぼそっと話す彼女。放課後は騒がしくなるから集中しきれなくて。私静かな環境じゃないと物事考えられない質で。慣れればいいんだけど、ちょっとね。
ふーん。そういえば敬語なくなった。ちょっと弱ってるのかな。お腹減ってるのかな。

「頑張ってる六条さんにこれあげる」

手に持っていたコンビニ袋から苺クリームパン。甘そうな組み合わせだけど実は希少糖やらを使ってる。最近の僕のお気に入り。えっと呆然とする彼女の手から資料を抜き取りパンを渡す。

「教科書また忘れたら貸してね」

資料を彼女の前のテーブルに置いてから邪魔にならないように退散。とりあえずお礼も言えた。

「ありがとう」

彼女のか細い声が返ってきたのは扉が閉まりそうなほんの一瞬。姿は見えなかったけど彼女らしくない。いや、彼女のことは何も知らないけれど。
あれ、おかえり。お前どこ行ってたん。窓から陽光を浴びながらウトウトしている友人の前に座る。別になんでもないよ。ふーん。
周りの女子は放課後何しようか、彼氏はどうしたと話に華を咲かせている。だけど、彼女がいた生徒会室はしーんとしていたな。
お前、何考えてんの。別に。ふーん、飯食わねえの。さっき授業前に食べた。早弁かよ。

「…また話したいな」

え、誰と。秘密。ふーん。



「そういえばカナデちゃんいじめにあってるらしいよ」

「へえー、どんな?」

「この前は物が無くなったらしくて隣のクラスだけ持ち物検査あったんだって」

「結局見つかったの?」

「見つからなくって泣いてたって。お母さんの形見のものだったらしいよ」

「うわー厳しいーそれ」

他人ごとのように話をしている女子の会話が耳に入ってしまった。男を侍らせてるから仕方ないんじゃない。でもそれで大事なものとられるとか怖い世の中だね。関わりたくないわー。なにー、なんの話してんの。友人が話にのっかる。俺の背中に全体重をかけながら。
カナデちゃんとやらに男子生徒は夢中らしい。そのメンバーに会長含め生徒会の人も入ってるみたいで。そういえばこの前一緒にいたかもしんない。なんかうるさい集団の中に会長っぽい人いたかも。

「なんか、最初六条さんが疑われたみたいだよ」

ぼーっとしていた頭に入ってきたのは六条さんの話になったとき。六条さんは会長と婚約者で、生徒会の人みんなと幼馴染。昔から一緒にいるみたいだけど、最近カナデちゃんにべったりだから嫉妬したんじゃないかって。特に会長はカナデちゃんに乗り換え説が出てるから六条さん的には嫌だったんじゃないかな。

「六条さんはそんなことしないよ」

えっなんか言ったと不思議そうにする友人。グイーとさらに体重をかけてくる。重いって。ペイっと腕やらをどけてやる。どこ行くんだよ。トイレ。
なんか気分悪いなー。風邪ひいたかなー。
そんなこと思いながら教室を出る。目の前に六条さん。え、何してんの。

「靴に生ゴミ入ってただー?!」

「どうどう。ちょっと落ち着けよ、血の気多いんだから」

「…職員室でスリッパ貸して、もらっ、たの」

「あー、お前が大きな声出すからー」

「うわ、泣くなよ」

なんか隣の教室に男子の集団が溜まってる。入りづらいのかな、六条さん。隣にさりげなく立つ僕に気づかずに扉の前で立ち止まってる。

「泣くなよ、カナデ。俺がどうにかして犯人を見つけてやるから」

うわっ。いやー。と声が上がってそっちを見てみるとギュッと会長が女子生徒を抱きしめているみたい。それに驚く面々。僕も驚く。え、会長六条さんと婚約してるのに何しちゃってんの。あ、乗り換え説があるってさっき言ってたっけ。え、会長馬鹿なの。婚約解消してからの行動だよね。違ったら馬鹿だよ、マジで。
六条さんはそんな光景を見ないように教室から立ち去っていった。隣に立つ僕とは逆方向に。あれ、気配消しすぎたかな。絶対気づいていない。
声をかけたかったけれどなんか壁を作ってる感じがしてやめた。何の声って僕のクラスの面々が顔を出す。何かあったか。見てたんなら教えてよ。…なんかどっかの劇みたいだった。劇?
僕は立ち去る彼女がどんな顔をしていたのか知らないけれど、前は凛としていた彼女が最近不安定な感じ。足取りに力がないっていうか。好きな人…が違う人を想っているのを見たら仕方がないか。
…あー。なんだこれ。なんだか僕も思うところがある…ような。
おーい、戻ってこーい。そういう友人の声が遠く感じる。



そんな感情をなんと呼ぶのか。
僕はそれからしばらくしてから知った。


「六条!待て!!」

昼休み、ご飯を食べ終えて暇だから意味もなく歩いていた僕はなんだか人だかりが出来ているに気づいた。すると聞こえるのは六条さんの名前。何なにーっと僕についてきていた友人と一緒に近づいてみる。そこには会長に腕を掴まれている六条さん、なんでだか泣いている女子を抱きしめる男子たち。あ、あの子この前も泣いてた子だ。会長の浮気相手じゃん。え、何があったの。

「逃げても無駄だ。さっきカナデの制服に何してたんだよ。なんでハサミを持ってた!」

恫喝する会長の声に周りはなんだなんだと集まってくる。彼女は俯いたまま。だけど会長が声を荒げる度に握られた腕が痛いのか少し身を捩っている。

「ねえどうして…どうしてこんなこと、したの。私、葵ちゃんに何もしてないじゃない」

泣きながら訴える女子の声に周りは嫌悪の視線を彼女に向ける。

どうして。
どうしてよ、あおいちゃん。
何もしてない。
私は何もしてないじゃない。
__本当に?




「…あのー、ちょっと聞きたいんだけど」

僕が手を挙げたことでみんなの視線が集まった。隣の友人が焦って俺の肩をひく。お前何してんの。え、だってさ。

「部外者が口挟むのはなんだけど。君、六条さんに何もしていないって本気で言ってんの?本気なら残念な頭してるね」

いきなり現れた男子に対応できないのか固まる面々。ほら、手離して。何してんの会長。女の子の扱いじゃないでしょ。つか六条さんに触らないでよ。

「…おい、今カナデのことを言ったのか」

「そこの泣いてる女子に言ったけど。…ああ大丈夫。会長も同レベルだと思ってるから」

さりげなく彼女を抱きしめてみた。ふわりと石鹸の香り。びっくりしながらも僕を見つめる綺麗な目。ちょっと赤くなってるね。瞼を優しくなぞってみたら少し身体が震えた。あ、ごめん。変態みたいだったかも。

「てめえ!邪魔してんじゃねえぞ!」

「その女を庇うってことはお前もグルなんだろ!」

わめきたてる声が聞こえてうんざり。あーうるさいなあ。ほら、六条さんが暴れだした。まあ逃がさないけど。


「なんでそんなこと言われなきゃだめなのよ!」

…すごい形相の女子がいる。え、泣いてた女子なのあれ。こわっ。

「君、六条さんのこと信じてたらしいけど婚約者をとっても邪魔しないって意味で信じてたわけ?」

「えっ」

「会長と抱き合ってたりしてよね?僕、見てたけどそのとき君は嫌そうな顔はしてなかったね。六条さんの婚約者なのにね、会長って」

僕の声に隣にいる生徒同士で話し始める人がちらほら。

「そういえばこの前会長に膝枕してなかった?」

「クラスのやつでキスしてたとこみたって言ってたな」

「そういえば…」

「あのとき…」


声が上がるたびに顔色を変えていく会長とカナデって子。ちなみに泣いているのを慰めようとしていた男子たちはハア?と驚いて二人の方を見ていた。

「カナデ、俺を選んでくれたんじゃなかったのか」

「この前俺ともキスしてくれた、よな」

「会長、婚約解消してからじゃないと手が出せないなんていってたじゃん」

うわーと修羅場になっているのを見てひく生徒たち…の中で友人も腕を組みながら何か考えている。え、何してんのお前。浮いてるよ。
もぞっと僕の腕の中で動いた彼女が僕の顔を見上げる。見上げたら首が痛いでしょう。そう思って首元を指でなぞるとビクッと震えた。なんだ、この生物可愛いな。

「うるさい、うるさい!それよりも私にいじめをした女をどうにかしなさいよ!」

カナデが切れた。六条さんに向かって指をさす。



「私、やってない!」


金切り声で喚く中、六条さんの声がそれを遮るようにはっきりと言った。自分の机の上に制服とハサミが置いてあって何かと思って手にとったんだと。逃げたのは泣きそうになったから。婚約者にも犯人扱いされて自分の存在を否定されたから。人を信じられなくなって逃げたと。
彼女の独白はしーんと静まり返っているから一言一句聞こえる。まあ、僕の腕の中にいる彼女の声を聞き漏らすわけないんだけれど。
全ての気持ちを話し出した彼女が僕の腕を掴んで泣き崩れそうになる。好きだったんだと。婚約者の会長が好きで、好きで堪らなかったのだと。親同士で決められた婚約話だったけれど、彼女にとっては幼い頃から好きだった彼と一緒になれることが待ち遠しかったのだと。

「私は、あなたのことが好きだったの。本気で」

「葵…俺は、」

「でもあなたは私ではなく彼女を選んだってことよね。私みたいな面白みのない女より可愛い彼女の方が魅力的だもの。みんな好きになるのわかるもの」

葵、と彼女の名前を呼ぶ彼らにイラっとしてしまう。俺の視線に気づいた友人がうわっと顔を覆うのが見えた。アア、これが嫉妬ってやつなんだろうか。彼女が誰かを想うのを見ているだけで腹が立つな。

「私、ここに居場所がないから転校しようと思うの」

涙を流す彼女の言葉に目を向く。彼らもそうだけど、僕も驚く。え、うそ。

「もうお父様には言ったから大丈夫。私から婚約解消しますって。一緒に添い遂げられませんって」

彼女は今まで見たことない___笑顔で笑った。
バイバイ、みんなって。

え、やだよ。



「僕、六条さんが好きだ。君が違う学校にいくなら僕も転校する」

「えっ」

「ちょちょちょっ!待ってよ!お前がいなくなるなら俺も行く!」

「「は?」」

友人が大きい声で宣言したところで先生たちが来た。お前ら何してんだー。え、六条が?え、お前らも転校?行かせるわけ無いだろう!六条家の娘さん/校長超絶ファンのピアノ奏者/全国上位のテニスプレイヤーだぞ!?え、ただ親が偉いだけ/ただのピアノ弾きだから/友達が大事ですって!?おおい!


「あの、私だけいなくなればいいだけなので…」

「いや」

「じゃあ俺も」

「お前関係ないよね」

「え、ひど。ってか居場所がないならここに作ればいいじゃん」

友人の提案を聞く。へー、お前物知りだね。伊達に女の子と仲良くしてないもん。お前顔はいいからね。




「そういえば、一ノ瀬奏。前に紛失届けが出ていたブローチ見つかったぞ。寮母さんがお前の部屋の前で拾ったらしいぞ。後で渡そうとしてそのまま管理室で保管していたみたいだな」

えっと固まる面々に顔色を悪くする女子1名。
それからわかったことは実は両親健在。ブローチは入学祝いで買ってもらったもの。いじめは他の女子やカナデを好きな男子が物を盗っていたらしいこと。

ちやほやされたくて。
みんなに愛されたくって。
平等にみんなが大好きだから選べなかったんだと。

実際に起こる逆ハーレムとやらは醜いことを知った。
嫉妬、悲しみ、切なさ、怒り、殺気、愛情、増悪___
六条さんはそれを聞いて目を閉じていた。男どもは灰のように風が吹けば消えちゃいそうになってたけれど。






「六条さん」

「ん、何かな」

「君は今幸せかな」

「幸せですよ、あなたがいるから」

「僕もだよ。六条さんのいろんな表情を見れることが嬉しい。君の一挙一動にいろんな感情を持つ僕を知ることもできた」

「私、あのときあなたに居場所を頂けずにいたらどうなっていたのでしょうか。一人で生きていけたでしょうか」

「君は強いから大丈夫だったんじゃないかな。でも僕はたぶん君を探し出したと思うよ」

「ふふふ、また笑われるよ」

「呆れられるかも」

「甘いなって言われるね」

「溺愛してますから」



「いや、お前ら結婚式だからって全開過ぎだろう」

「空気を呼んで、友人代表挨拶行ってきてよ」

「邪魔ですと!あーあ、生徒会長様の言いつけには逆らいませんよー。ボクはしがない会計でしたもの」

すごすごと台に登っていったと思ったら僕たちの話を涙しながら語る友人に呆れてしまう。おい、鼻水垂れてない?世界のテニスプレイヤーが涙って記事書かれない?




リコールして生徒会長の座についた僕は今まで関わらなかった部分に気づきいっぱい悩んだ。彼女はそんな僕を横でサポートしてくれて、ときには叱ってくれてその後は甘やかしてくれた。
僕の方を振り向いてくれと頑張るたびに可愛い反応が返ってきてプッツンと理性の糸が切れそうだったけれど、彼女の父は手ごわかった。友人の助言を何度も借りて生徒会長として実績を残し、尚且つピアノ奏者としてコンクールを制覇していった。結局最後には孫を期待されながら頷いてくれたけれど。
なにはともあれ、あれからいろんなことがあったなと二人でこれからも振り返っていくんだろう。



「愛しています、葵さん」


これからは僕の大切な奥さんです。




fin
設定

*主人公
高校二年生。音楽一家に生まれたためピアノ奏者として育てられたが、自分が何をしたいのかわからないため倦怠期に突入中だった。とりあえず流れに乗ってみようかなとのらりくらりするタイプ。あまり人には興味ない。友人とは高校から知り合って何故だか懐かれた。六条さんとくっつくまで時間はかかるものの、それまで激甘な雰囲気で周りがヤキモキして疲れるぐらいだったとか。

六条葵
悪役系ヒロイン。根は真面目で一途。そして健気に会長(元)を想う高校二年生。辛く当たられようが恋をしていれば盲目になっていたというか。いじめは他の生徒がやっていたが、嫉妬心は人に見つからないよう心の中で燻っていた。それから主人公と出会い癒される自分に戸惑いながらも徐々に自覚していったみたいです。本当は名家のお嬢様なので他の婚約話が出てきましたがその度に主人公+友人で潰していったみたいです。生涯愛した人に尽くしていくタイプ。

友人
高校2年生。テニスプレイヤー。伸び悩んでた時期に主人公と会って、自分らしさに磨きがかかったみたい。モテ男です。実は奏に目をつけられていましたが、断っていたみたい(タイプじゃないって)。生涯二人の友人役で子供のお世話もしてあげる、これもある意味尽くし系男子です。まあ、年上のお姉さんに拾われるタイプっていうのか(笑)

※8/20誤字修正、奏の名前をカタカナ・一部漢字表記に変更しています。
皆様ありがとうございます。

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