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本当は、兄に妹の事を「お前」とか言わせたくないんですが、名前がないとどうしてもそう呼ぶしかない時があるんですよね…。気まぐれで書いた短編が元とはいえ、名前がないと色々大変です;
さて、ついに70話まできました! 70という数字を見るとミュ〇ツーを思い出します(うわぁ…懐かしい…)。この70話からは『心滅の邪眼・レグロス編』が始まります。表現力こそ稚拙なままですが、ギャグやバトルに関しては気合いを入れて書いていこうと思っておりますので、どうぞこれからもよろしくお願いします☆


英雄兄妹
作:HEERO



第70話 ワナデス村 


 ボナンザ大陸には二人の大悪魔が存在している。そしてその大悪魔の内の一人は、兄妹達の現在地と極めて近い位置で『塔』を構えているらしい。
 『先にムカデ王国を救うべきでは』という意見もでた。しかし、了見は定かではないが、カマドーマにやってきた悪魔達の行動基準は『人間を苦しめる事』にある。ならば後回しになど出来るはずがない。最終的にその結論で満場一致した彼らは、大悪魔レグロスの元へと歩を進め始めた。


 半日ほど歩き続けた兄妹達は、小さな村にたどり着いた。
 「おお! 村だ!! みんな見てみろ!! 村だぞ〜!!」
 「はっはっは! 元気いっぱいだな〜、妹よ!」
 「ちょっ、何で私なのお兄ちゃん!? 今『村だぞ〜』って叫んだのはチョルトさんだよ!?」
 ついに兄が読者様を騙そうとしだした。
 「静かな村ですね。やはりレグロスという悪魔から支配を受けているのでしょうか…」
 訝ったような顔でそう言いながら、フェレスはリリムの方へと視線を転じた。
 「…でしょうね。たぶんみんな掠われたんじゃないかしら…」
 横目でフェレスと視線を合わせながらリリムが答える。
 「さ、掠われた!? 何のために…?」
 「やっぱほら、例によって奴隷かなんかじゃないの?」
 「そんな!!」
 本気で村の人達の安否を懸念するフェレス。とても以前人間を虐げていた悪魔とは思えない。もうこの際、彼が主人公でもいいのではないだろうか?
 「そんな! 俺にそんな大役は務まりませんよ!」
 あっ、聞こえちゃった。
 「むっ…! 救世主様、どうやら我々は囲まれているようです」
 兄に向かってそう言うと、鼻血男が辺りを見回し始めた。
 「何で分かるんだ? あっ! 気配か!? 気配で分かったんだな!? さすが騎士!! 修行を積んでいるだけのことはある!」
 鼻血男を称賛する兄。
 「いえ、『囲んだぞ、逃がすなよ』という声が聞こえたからです!」
 「耳がいいだけかい!!」
 まあ、それはそれで立派な長所である。
 「ダーリン、鼻血男の言う通り、私達囲まれてるわよ。でもこの感じは……悪魔じゃないわね……」
 「え…? 悪魔じゃないって事は、まさか……!」
 兄の想像通り、兄妹達を囲むようにして立ち並ぶ木造の家宅の陰から、同時に十数人の『人間』が飛び出してきた。
 「あっれぇ!? 何だ、人間かよ!? 俺、てっきり『幽霊』かと!!」
 先程の『兄の想像通り』という言葉、そっと撤回させていただきます。
 飛び出してきた人間達は、兄妹達を瞬く間に包囲してしまった。
 「あの……この村の人達ですよね……?」
 カインが恐る恐る尋ねる。すると、その問い掛けに引き寄せられるかのように一人の老人が兄妹達の前に歩み出てきた。
 「おめでとうございます! あなたがたは『ワナデス村』に訪れた一万人目の旅人様でございます!」
 「はっ…?」
 老人の発した意外な言葉に唖然とする兄妹達。
 「妹よ、このじいさんはボケているのか?」
 兄は老人を凝視したまま、妹に耳打ちをした。妹は呆れた顔をしながら兄に言葉を返した。
 「駄目だよお兄ちゃん、そんな事言っちゃ…。初対面のおじいさんを勝手に『アルツハイマー』と決め付けるなんて失礼だよ…」
 「あ、いや、俺が言ってる『ボケ』ってのは、『ボケをかます』って意味の『ボケ』で…」
 意外とこの兄妹は心が通じ合っていない。
 「ささ、旅人様方、宿の方へご案内いたしましょう! 絶景の見える露天風呂、美味しい食事、全てタダでお迎えしますよ」
 「タ、タタタタタ、タダ〜〜〜!!!?」
 リリムがタダという言葉に過剰な反応を見せた。
 「みんな行きましょ! こんなラッキー滅多にないわ!」
 「うん、まあそうだな。今日は歩き通しだったし、休んでくか! レグロスと戦うために体力を温存しとかなきゃな!」
 一瞬、村人達の顔色が変わった。
 「どうかしたのですか?」
 当惑した顔で鼻血男が尋ねる。
 「いえ、何でもありません…。宿へご案内します」
 言いながら老人は兄妹達に背を向けた。
 (あらら……な〜んかあるわね、こりゃ)
 リリムの顔が引き締まる。それに気付いたカインは首を傾げた。
 「どうしたんですかリリムさん? 急に真剣な顔して……はっ! すみません、無神経でしたね……」
 「は? あんた何言ってんの?」
 「いや、だからあの……便秘なんですよね、リリムさ…うぐぅ!!!」
 リリムはカインの腹にボディーブローをお見舞いした。


 兄妹達は老人の後に続いて歩きだした。
 「兄貴、何か変だよな…。この村怪しいぞ…」
 ふと、肩に乗っているチョルトが小声で兄にそう話しかけた(チョルトは村に入る直前に丸虫へと姿を変えている)。
 「確かに…。微妙にだが、『線香』の匂いが漂っている」
 「いや、そういう事じゃなくてさ……あっ、でもほんとに線香臭いな」
 二人の会話にリリムも入り込んできた。
 「『この村の違和感』と『線香の匂い』、あながち関係無いとは言い切れないわよ。この村ってどういうわけか、やけに年齢層が高いじゃない」
 リリムの言いたいことはつまり、『年寄り=線香臭い』という事だろう。全くもって失礼な固定観念である。
 「そういえば、さっき見た限りじゃ全員、初老(四十歳以上)は過ぎてたよな…。何で若い奴が一人もいなかったんだろう…。過疎化?」
 「う〜ん、ただの過疎ならいいんだけど…」
 リリムは両目を軽く閉じた。
 「悪魔の気配…は、さすがに感じないわ…。けど、どうもきな臭いわね…。一応警戒は怠らないようにしましょ」
 「そうだな…」
 結局村の名前には誰もつっこまなかった。


今回は大量のオマケを用意しました(本編より長い)☆
こういう小ネタみたいなのが好きなんですよね〜^^
お恥ずかしながら、私は4コマ漫画作家になるのが夢だったりするのですが、そういうのが影響しているのかもしれません。

【エッチな服】

「妹ほどチュニックの似合う女の子はいないな」

カイン
「チュニックって何ですか?」


(そうか、この世界の人間は知らないんだよな。フフフ…ここは一つ、カインをからかってみるか)


「カインよ、チュニックっていうのはな、むっちゃくちゃエッチな服のことを言うんだ」

カイン
「エ、エエエエエ……エッチ!!?」


「そう、エッチだ」


「何の話してるの?」

カイン
「妹さん!?」


「え? どうしたの?」

カイン
「あ…いや、その……妹さんはチュニック……という服を知っていますか……? って、僕は何を聞いてるんだぁぁ!!」


「うん、よく着るよ」

カイン
「よく着る!!? そんなのいつ着るんですか!!?」


「え? 出かける時とか…」

カイン
「出かけるぅぅ!!? ちょっ、変態じゃないですか!!?」


「変態って…」

カイン
「妹さんがそんなふしだらな女性だとは思いませんでしたーー!!」


「あっ! 待ってよカイン君!! ……お兄ちゃん、カイン君に何吹き込んだの?」


「げっ! バレた! こうなりゃ、エスケェェェプ!!」


「逃がさないよ!!」


「は、早…ギャアアアアアアア!!!」


私はこの前友人から「性欲が無いようにみえる」と言われました。
いえ、あります。だからこういう少し下ネタっぽいものも書くんです。…って、僕は何を言ってるんだぁぁ!!(カイン風)



【傀儡師 妹】
リリム
「カインってダーリンの妹が好きなのよね?」

カイン
「は、はい、そうですけど…」

リリム
「あの娘はやめた方がいいわ」

カイン
「ど、どうしてです?」

リリム
「なんか腹黒いじゃない、あの娘」

カイン
「そうですか…? どうしてそう思うんです?」

リリム
「上手く言えないけど、同じ女には分かんのよ、そういうのって」

カイン
「妹さんに限ってそんな事は絶対にありません!!」

リリム
「男は単純ね〜。いい? あの娘は既にあんたの気持ちに気付いてんのよ」

カイン
「そうなんですか!?」

リリム
「うん、あんた分かりやすいから。でね、気付いていながら何も知らないふりしてあんたに愛想振り撒いてんのよあの娘は」

カイン
「な、何でそんな事を…」

リリム
「そりゃ、あんたを都合のいい存在として手元に置いておきたいからよ」

カイン
「そんな…!! 妹さんはそんな人じゃ…!!」


「カインく〜ん!」

カイン
「あっ、はい! 何ですか!?」


「この前の約束覚えてる?」

カイン
「覚えてますよ! 次の町へ着いたら一緒にアクセサリーショップへ行くんですよね!」


「でも私あんまりお金がないんだけど…」

カイン
「大丈夫です! お金なら僕がいくらでも出しますから!!」


「でも悪いよ……」

カイン
「いいんですよ! むしろ出させてください!」

リリム
「………カイン……あんた……」

カイン
「い…いや、これは違いますよ!? 僕の方から言い出した事ですからね!?」

リリム
「あんたはもう……操り人形よ……」


こんなふうに書いてると、妹がちょっと嫌な娘に見えますね(陰で人の事色々言うリリムもどうかと思いますけど…)。
しかし実際はカインの言う通り、妹はそんな裏表のある女の子じゃありません。ただ、外見が可愛い故に言動がいやらしく見えてしまう時もあるようで、学校でも一部の女子からはあまりよく思われていなかったとか。
それにしても自然体で男を狂わせてしまうとは、末恐ろしい小三である。



【好きな食べ物】

「よし、みんなで自分の一番好きな食べ物を言い合おう!」


「いきなりだね…」


「俺は『シーチキン』! こいつがありゃ、ご飯七杯はいける!!」

フェレス
「何ですか、シーチキンって?」


「これがシーチキンさ!」


「お兄ちゃん!! パンツの中にシーチキン入れてたの!!?」


「別にいいじゃないか。さあ、次は妹の番だぞ。好きな食べ物を言うんだ……って、お前はプリンだよな」


「何でお兄ちゃんが言っちゃうの〜!?」

リリム
「みんな知ってるんだからいいでしょ? じゃあ次はあたしの番ね! あたしはね〜」

カイン
「リリムさんの事だから、『男』とか言うんじゃないですか?」

リリム
「失礼ね! 『栗』よ!!」

カイン
「すみません……(ていうか大好物が栗というのも珍しい気が……)


「じゃあ次はカイン」

カイン
「僕ですか? 僕は…イモです」


「び、びっくりした〜! 今一瞬、『妹さん』って言うかと思った!」

リリム
「あたしも!」

カイン
「そ、そんな事言うわけないじゃないですか! そりゃあ、妹さんの事は食べてしまいたいくらい好きですけど……」


「え? カイン君、今なんて言ったの?」

カイン
「な、なな、何でもありませぬ!!」


「『せぬ』!!?」


「じゃあ次はチョルト! お前の好物を聞かせてくれ!」

チョルト
「オイラは人間の鼻血」


「そ…そういやそうだった……。お前から唯一悪魔的な恐怖を感じるのはその鼻血を啜る生態なんだよな……」

鼻血
「では、次は私が。私の好きな食べ物は『肉』です」


「肉とは男らしいな!」


「何の肉なの? やっぱり牛?」

鼻血
「『ゲベロブチャパ』の肉です」


「ゲベロ……え? お、美味しいの……それ?」

鼻血
「最高です! 内臓もいけますよ!」


「『ゲベロブチャパの内臓』………うえっ!!」


「ぬお! 大丈夫か妹よぉぉ!!!」

リリム
「さて、フェレス、あんたで最後よ……って、どうしたの? 元気無いみたいだけど」

フェレス
「みんなが……とても楽しそうで………うらやましくて……」

リリム
「何言ってんのよ! 誰もあんたを仲間外れにはしてないでしょ!? さあ、あんたの好物は?」

フェレス
「い…言えません……」

リリム
「何でよ!?」

フェレス
「何も『思い出せない』んです!! 自分自身の事が!! 何も!!」

全員
「………………………」


フェレスかわいそうですね。そろそろ記憶を戻してあげないと…。



【何の話?】
リリム
「カイン、さっきあの娘(妹)とあたしの事を話してたでしょ?」

カイン
「あ、聞こえてました?」

リリム
「ど〜っせ、あたしの悪口でも言ってたんでしょ? あの娘あたしの事嫌ってるっぽいし」

カイン
「いえ……悪口なんて……。妹さんは『リリムさんみたいなスタイルのいい大人になりたい』って言ってたんですよ」

リリム
「え、あ……マジ?」

カイン
「は、はい…」

リリム
「も、も〜〜! 何よ張り合い無いわね〜! うふふ、結構いい子じゃない! さすがダーリンの妹ね! よく出来てるわ!」

カイン
(ふう…。本当は『リリムさんみたいな人がお兄ちゃんと結婚して私の義姉になったら嫌だなあ』って言ってたんですけどね……)


ひでえ……。



【イイ女】

「二人は、恋人が浮気をしたらどうする?」


「絶対やだ! 許さない!」


「だよな〜。リリムは?」

リリム
「男に浮気をされるって事は、自分が浮気をされてしまう程度の女だったって事よ。もっと自分を磨いて、男を振り向かせるわ」


(え? あれ? なんかイイ女だなリリム…)


あくまでも兄の主観ですけどね…。



【イイ女2】

「あのさ、リリムは何で俺なんか好きになったんだ…?」

リリム
「え? どうしてそんな…」


「だって…俺…ほら、なんかキモいし(自分で言っちゃった)、アホだし……」

リリム
「ダーリン!」


「な、何だよ、恐い顔して……」

リリム
「それ以上『あたしの好きな人』を悪く言わないで…」


(リリム…なんかイイ女だな……お前……)


二人ともキモいわ。



【兄語】

「みんな、聞いてくれ! 新しい言葉を思い付いた!」

鼻血男
「おお! みんな静まるのだ! 救世主様が新たな言葉を開発したそうだぞ!」

リリム
「あんたが静まりなさいよ、鼻血…。さあ、聞かせてダーリン!」


「フッフッフッ……『ツンゲレ』!」


「ツン……ゲレ……? ツンデレなら聞いたことあるけど…」


「ツンゲレはツンデレの『ゲイ・バージョン』だ!」

リリム
「うわぁ……きっつ〜。想像したくないわ……」


「そのきつ〜いキャラが、この先出てくるような気がするんだよな…」


「えっ!? 嫌だよそんな人出てきたら!!」

カイン
「お兄さん、今の発言を取り消してください!! 今ならまだ間に合います!!」


「分かった、取り消すよ。ツンゲレの話は無かったことにしよう」


「ほっ……これでもう出ないよね?」


出ます。



【純朴少年カイン】
カイン
「お兄さん、フェレスさんの記憶を戻しましょう!! このままじゃかわいそうです、『僕』が!!」


「そうだな……そろそろあいつの記憶を………って、何でカインがかわいそうなんだよ?」

カイン
「何でってお兄さん…。そんなの決まってるじゃないですか!! 今のフェレスさんと僕のキャラが被ってるんですよ!!」


「あ〜! まあ言われてみりゃ、結構似たとこあるよな。カインの方がエロいけど」

カイン
「そんな! 僕はエロくなんかないですよ!! 極めて純朴な少年です!! エロいのはフェレスさんですってば! あの人は下半身さらけ出して妹さんの上にのしかかってたんですよ!? あ〜!! 思い出す度に羨ましくなる!! 僕も妹さんを……ああして……こうして………ああ……想像するだけで鼻血が………」


「いや、お前……全然純朴ちゃうやん…。とんだド変態やんけ……」



【一人答えてない】
リリム
「そういえば!!」

カイン
「ど、どうしたんですかリリムさん!?」

リリム
「あたしがにらめっこしてる時にオナラぶっこいたのは誰なのよ!?」

チョルト
「そういえばそんな事もあったな」

リリム
「そんな事もあったじゃないわよ! あたしの中じゃあの事件は終わってないの!!」


「俺はしてないぞ」


「私も」

フェレス
「俺もしてません」

チョルト
「オイラは尻が無い」

鼻血
「私もしていない」


「なあ、もういいじゃないか。犯人捜しなんてやめようぜ」

リリム
「そうね、ダーリンの言う通りだわ。もう犯人捜しはやめにする(ていうか犯人もう分かったし…)」


さて、誰でしょうw











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