英雄兄妹(62/86)縦書き表示RDF


悪魔の本拠地の話です。敵はいつの間にか、お城建ててたんですね。ところで材料はどっから持ってきたのでしょうか…?
英雄兄妹
作:HEERO



第62話 魔城


 とある山岳地帯の中心部、『彼等』の城はそこに位置していた。
 まるでどす黒い泥を圧し固めたかのような、嫌でも暗黒世界特有の趣を感じさせられる不気味な外観。至る箇所から生えている刺からは、各個紫色をした光の粒子が噴出され、それらが空気中で結合し、暗く淡い輝きを放つバリアとなって城全体を覆っている。
 一人の女性が上空から舞い降りてきた。城のバリアを事なく通り抜け、黒と白の翼を静かに上下させながら、城門前の地へとその身を降下させる。
 着地した女性は降下する際に乱れてしまった髪を整え、露になってしまっていた顔右半分をそっと覆い隠した。
 「お帰りなさいませ、『アシュタルト』様。今門を開けますので…」
 門の隅に、一つ目で筋肉質な灰色の悪魔が立っていた。門番なのだろう。彼は速やかに門の前に立つと、門を開くための呪文を唱えた。
 「『開け』」
 その恐ろしく短い呪文に反応し、ゆっくりと門が開き始める。
 「門番さん。今のは私が言っては駄目なのですか?」
 開く門をじっと見つめる女性、アシュタルトの言葉に、門番の悪魔は困惑した顔を見せる。
 「まあ……誰が言っても開くんですけど、この役目だけは自分に任せてください。門番と言ってもどうせバリアで味方(悪魔)以外入っちゃこれませんからね…。これくらいしかまともな仕事がないんですよ、自分には…」
 「そうでしたか。すみません、貴方にとっては大切な仕事だったのですね」
 「そ、そんな! いいんです! 大した仕事でないのは事実ですし!」
 「いえ、どんな仕事であっても、それを与えられるというのは幸せな事です。必要とされているという事なのですから。私はそんな貴方の幸せを愚弄するかのような発言をしてしまいました」
 「ほ、本当にもういいですから…。あ、門が開きましたよ。『ディメルア』様に状況を報告しに行くんですよね?」
 気まずかったのだろう、門番は話を反らした。
 「はい、それでは…」
 アシュタルトは最後にもう一度、門番に小さく頭を下げると、翼を使いながら跳ねるようにして門の奥へと消えていった。
 「おっかない女だと思ってたけど……何だ、いい奴じゃないか。はっ! まさか俺に気があるんじゃ!?」
 門番は一人妄想を膨らませ、その厳つい顔をポッと赤らめた。


 城の内部は湾曲した通路が複雑に入り組んでおり、人間の作り出すような幾何学的な建造物とは掛け離れたものだった。アシュタルトはそんな迷宮じみた城内を迷う事なく、翼を使ってすいすいと進んでいく。
 不意に、アシュタルトの向かう方向に人影が現れた。左手を腰に当て、右手を軽く上げている。
 アシュタルトは飛ぶのをやめて翼を収めると、前方の人物に歩みよった。
 「おう、戻ったかアシュタルト! お前も頑張るぜ、こんな弱っちい奴しかいねぇ、つっまんねぇ世界でよぉ! それなりにマシな奴らがいたムカデとかいう王国もディメルアの奴が封印しちまうし…」
 快活な声でアシュタルトに話し掛けてきたのは、真っ赤な髪をした男だった。髪の色だけでなく、胸当てやブーツなど、身につけているものまでもが赤く、背中には揺らめく炎を摸した大剣を背負っている。熱苦しい事この上ない身なりである。
 「『フラウロス』、貴方は戦う事しか頭にないのですか?」
 「おう!」
 赤い髪の男、フラウロスはアシュタルトの問いにはっきりと答えた。
 「…そうですか。しかしどちらにせよ、あのお方を全快させ、巨大な力を得るまでは嫌でもこの世界に留まらなくてはなりません。私がカマドーマ中に散開した者達に発破を掛けて回っているのは、少しでも早く目的を達成させ、次なる天地へ向かうためだということを理解してもらいたいですね」
 「わーかってるって! お前の頑張りにゃ感謝してるよ!」
 「出来れば行動で示してほしいのですが……貴方に言っても無駄ですね」
 アシュタルトは瞳を閉じ、通路の更に奥へと向かい、再び歩を運び始めた。しかし、
 「そういえば…」
 何か思い出したのか、アシュタルトはすぐに足を止めた。軽く振り返り、フラウロスを横目で見遣る。
 「カマドーマの海神、レヴィヤタンを倒した者達がいます。海神の方は寄生悪魔に乗っとられていたため、その能力の半分も出せていなかったようですが、それでも上の下級悪魔に匹敵するくらいの力は持っていたはずです」
 「おい、マジかそりゃ!?」
 「それほど大きな不安要素ではありませんが、傷口は対処が遅れると化膿する恐れがあります。フラウロス、頼めますか?」
 「暇潰しにゃなりそうだな! よっしゃ、俺がぶっ殺してきてやるぜ!!」
 「敵は人間の男女二人と裏切り者の悪魔一人です。人間はともかく、悪魔の方は確実に殺してください」
 「まっかせろぉ!!」
 悦に入ったのか、フラウロスは通路の壁や天井を蹴り進みながら飛んでいった。
 「あの男、気に入りませんね」
 アシュタルトは凍り付くような冷たい瞳で、飛んでゆくフラウロスを見つめ続けていた…。


【オマケやねん】


HEEROヒイロって何なんだろうな」


「何だろう? まさか本名じゃないよね?」

HEERO
「HEEROっていうのは、俺の好きな声優さんの演じてたキャラクターの一人で…。実はその声優さん、某バスケアニメの『どあほぅ』さんとか、某鼻毛アニメの『うんこ』さんの役も演じてたんだよ」


「むっ! 貴様がHEEROか!? よくも俺をこんな変態キャラにしてくれたな!!」

HEERO
「ゴフッ! ガハッ! ギャアア!!」


「やめて!! もうやめてお兄ちゃん!! 死んじゃう!! この人死んじゃうよ!!!」

HEERO
「ふ……ふふふ………お前にこんな可愛い妹を与えてやったのも俺なのだぞ……。それを忘れてもらっては困るな……。それに俺を殺せばお前達の存在も……」


「くっ…! 俺達は貴様の玩具じゃないんだぞ!!」

HEERO
「まあ落ち着けよ…。今度お前と妹のベッドシーンを用意しておくから……(小声)」


「ひ…HEERO様ぁぁぁぁぁ!! 先ほどのご無礼をお許しくださぁぁぁぁい!!!」


「お兄ちゃん、何吹き込まれたの!?」











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