第41話 占い屋へ行こう!
兄妹達は町で必要な物を全て買い揃え、旅の準備を完璧に整えた。
「素敵な服ありがとう、ダーリン!」
「あ、ああ…」
「こんな服貰っちゃったら、もう元の姿になんか戻れないわ!」
ちなみにリリムの服装は、悪魔状態になると何故か黒ビキニになる。故に、仲間達はリリムが元の姿に戻る度、目のやり場に困ることになるのだ。
「なあ、兄貴達」
「ん? どうしたチョルト?」
「オイラ初めてこの町に来たときに『占い屋』とかいうのを見つけたんだ。準備も終わったみたいだし、面白そうだからみんなで行ってみないか?」
「おお、いいね〜! 異世界の占いとなりゃ、信憑性抜群なんじゃねえか!?」
「れ…恋愛とかも占ってもらえますかね……」
一行はノリノリ気分で占い屋へと向かった。
占い屋は町の外れにひっそりと佇んでいた。
「ボロボロだね…」
「ボロボロだな…」
唖然とする兄妹。
「風情があっていいじゃないですか。きっと由緒ある占い師の家系なんですよ」
フェレスがいいこと言った。
「よし、じゃあ誰から行く? こういうのって一人ずつ行くんだよな?」
「オイラから行くよ!」
まずチョルトが占ってもらうことになった。
三十秒後、チョルトが泣きながら占い屋から出てきた。
「丸虫は……占ってくれないって……うう……」
「ハハハ! 泣くな、泣くな! しょうがねえよ! じゃ、次は俺が言ってくるから!」
次は兄が占い屋へと入っていった。
「おじゃましま〜す!」
「おや、丸虫の次は変態かい?」
薄暗い部屋の奥に、黒いローブを身に纏った老婆が一人、椅子に腰掛けていた。彼女の目の前の机には、ベタにも水晶玉が置かれている。
「ば、婆さん……何で俺が変態だと…!?」
驚きのせいだろうか。兄はつい、自分のことを変態だと認める発言をしてしまった。
「そんなこと、分かるに決まってるだろ?」
「さ、さすが占い師だぜ…。人の内面くらい、簡単に見透かしちまうってわけか……」
「いやいや、だってあんたパンツ一丁じゃないか」
「あっ、そうか!!」
兄は、妹とリリムの二人に服を買ってあげる約束をした。ところが一人目の服を買った時点で不覚にも資金が尽きてしまい、しかたなく身につけている衣類を売却して、もう一人の服を買ったのだ。仲間達はこのことを知らないので、当然兄が何故パンツ一丁なのかも知らないはず。しかし誰一人、兄にその理由を尋ねる者はいなかった。それはつまり……
(俺の変態キャラが定着してしまったせいで、パンツ一丁じゃもう誰もつっこまなくなってんだな……)
悲しいぞ兄。君は悲しすぎる。
「んん!? あんた、いや、貴方様は!?」
老婆が急に態度を変えた。
「な、何だよ…?」
「神だ……貴方様の身から神の力を感じる……。貴方様は……一体……?」
「俺? 俺はこの世界を救うために異世界から来た……シスコンだ!」
言ってることが分らない。
「おお! やはり救世主様でしたか! なるほど、では神が貴方様に力を授けなさったというわけですな!」
「ああ、よく分からんが、確かにシスコンエロって神に力を貰ったぞ」
シスコエルである。
「それはそうと婆さん、早く占ってくれないか? 後ろが俺の仲間でつかえてんだよ」
「これは失礼しました。では……」
老婆が手をかざした途端、水晶が輝きだす。
「見えます。見えますぞ……」
「ただいまっす!」
兄が占い屋から出てきた。
「お兄ちゃん、何て言われたの?」
「このまま服着ないと風邪ひくって言われた」
「だろうね」
占い意味無し!
「じゃあ次は私が行くね!」
次は妹が占い屋へと入っていった。
部屋に入ってきた妹に、老婆が問いかける。
「嬢ちゃん、『救世主様の妹』かい?」
兄の活躍が目覚ましいせいか、いつの間にか妹は『救世主の妹』という立場に成り下がっていた。
「あ、はい。占い師さんって、一目でそんなことまで分かるんですか?」
「いやいや、顔が似てるから」
(お兄ちゃんと顔が似てる……!?)
妹は少し嫌そうな顔をした。
「さて、占いを始めるとしようかねぇ…」
老婆の前に置かれている水晶が輝く。
「なるほど……。嬢ちゃん、迷ってるね? 躊躇っている。このまま旅を続けることを」
「あっ……」
「旅を続けている限り、嫌でも仲間の傷つく姿を見なくてはならない。かといって、仲間達を引き止めることも出来ず、苦しんでいる……そんなところだね?」
「は、はい…」
兄の記憶が奪われた一件も、妹の心に大きな影響を与えたのかもしれない。
「どうせ止められないのなら、嬢ちゃんがもっと強くなってみんなを助けてやったらどうだい?」
「私が…?」
「近いうち、嬢ちゃんの身に女神が舞い降りる」
「女神? 一体どういう…」
「ふふ…。すぐに分かるさ。さあ、これを持ってお行き」
老婆は妹に指輪を渡した。ゴキブリングだ。
「大丈夫。嬢ちゃんならやれるよ」
「……は、はい!」
頑張れ妹よ。お前も救世主だ。
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