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タイトルがもう意味不明ですね……^^;
英雄兄妹
作:HEERO



第30話 混沌のハナアブラ


 「あれ…? リリムさん、俺、気絶してた……?」
 リリムのチャーム・アイが解け、兄は意識を取り戻した。
 「気絶してたっていうか………うん、まあそうね。気絶してたの」
 「何で気絶なんか……」
 首を傾げている兄の肩に、カインが飛び乗った。
 「あっ、君は……カイン君だったよね。あれ? そういえばあの子(妹)は…?」
 兄は部屋中に首を巡らす。
 「リリムさんです! リリムさんがお兄さんを操って、妹さんを叩かせたんです! それで妹さん、ショックを受けて部屋を飛び出して行っちゃったんですよ!!」
 「え!? いや、操るってどういうことなんだ? リリムさんが俺に催眠術でもかけたっていうのかい?」
 「ええ、そうです! リリムさんは悪魔だからそれくらい朝飯前なんですよ! それよりお兄さん! 早く妹さんを追いかけてください!」
 「え……俺が…?」
 「もちろんです! 操られていたとはいえ、お兄さんが妹さんを傷つけたんですから! (でも本当は僕が妹さんを追いかけて、慰めて、妹さんが僕にムフフみたいな感じになって、それからあんなことやこんなことをしてハッピーハッピーな状況に持ち込みたかったんだけど、今回は自重してお兄さんに譲りますよ……)」
 何考えてんだこいつは。
 「分かったよ。すぐ追いかける」
 やや混乱しつつも、兄は妹を追って宿を飛び出した。
 「まったく、あんたはほんとクソ真面目ね…。そんなんじゃ人生損ばっかよ?」
 リリムが苦笑する。
 「ええ、損ばっかしてますよ……いや、そんなことより、今回のリリムさんはちょっとやり過ぎですよ! 邪眼は反則です! そもそもそんなものに頼ったって……」
 「分かってるわ…」
 リリムがやんわりとカインの言葉を遮った。
 「ちゃんと分かってる。この眼に頼るから何も手に入らないのよね……。だけどあたしはずっとこの眼に頼って生きてきたの。この眼がなきゃ……」
 「大丈夫です!! あなたなら眼を使わなくたってやれます!! あなたが外見だけの女性じゃないってこと、僕は分かってますから! そうだ、僕が恋愛を教授しましょうか!?」
 「えっ!? あ、じゃあ……また今度お願いするわね……」
 カインのどこに、人に恋愛を語れる余裕があるのだろうか?


 その頃妹は、港で海を眺めながら啜り泣いていた。
 「う……うう………こんなことになるなら……この世界に……来なきゃよかった……」
 「あの〜すみません…」
 後ろから話し掛けられた妹は、涙を拭い、ゆっくりと振り返った。
 「キャッ!」
 声をあげる妹。無理もない、後ろに立っていたのは人間ではなかったのだから。
 「驚かせてすみません……。自分、『ガーゴイル』です。悪魔です」
 ガーゴイルと名乗る悪魔にはクチバシと羽が生えていた。鳥人間である。
 「フェレスさんに頼まれて、あなたをさらいに来たんですよ」
 「フェレス…!!?」
 「あの……さらってもいいですよね?」
 「いいですよねって………さらうんでしょ……? もちろん嫌だよ……」
 「え〜! じゃあ……無理矢理さらってもいいですか…?」
 「尚更嫌だよ! ていうか普通確認しないでしょ!」
 「そんな……じゃあ自分はどうしたら……」
 ガーゴイルは今にも泣き出しそうである。
 (どうしよう……凄く困ってる……。さらわれてあげた方がいいのかな……)
 違う違う、それは違うぞ妹よ。
 「でもその……フェレスさんもあなたに危害は加えないみたいなんで、お願いしますよ……ほんと……」
 「だけど、私を利用して何か悪いことをしようとしてるんでしょ……?」
 「そこまでは分かりません…。変態男に報復するとか言ってましたけど……」
 「変態男……お兄ちゃん!?」
 妹の頭の中で、いとも簡単に変態男と兄は結び付いた。
 「あ〜! 駄目だ! もう時間がない! 本当にすみません、やはり自分はあなたをさらうしかないみたいです」
 そう言うと、ガーゴイルは強引に妹の体を抱き抱えた。
 「ま、待ってよ!」
 「いや、本当にすみません!」
 ガーゴイルは妹を抱えたまま飛び立った。


 「ハア……ハア……! いない………どこにもいない……!」
 妹を探して走り続ける兄。彼の体力は限界に達していた。
 「ハア……ハア……ハア………やっぱり………闇雲に探して………都合よく……人がみつかるわけ……ゴホッ、ゴホッ!! グフォア!!」
 相当限界に達していた。
 「だ、大丈夫か…?」
 兄の背後から誰かが優しい声をかけてくれた。
 「あ、はい、大丈夫で……」
 振り向いた兄は、思わず息を飲んだ。
 全身をマントで覆い隠し、恐ろしく小柄な、見るからに怪しい奴が立っていたのだ。ついでに声も高い。
 「おお! あの時の人間じゃないか!!」
 「え…?」
 怪しいマントの奴は、兄のことを知っているようである。
 「オイラだよオイラ! チョルトだよ! 人間にばれないようにこんなカッコしてるんだ!」
 怪しいマントの奴の正体はチョルトだった。
 「チョルト……?」
 「あっ、ちょっと待ってくれ! やらなきゃいけないことがあるんだ!」
 コトダマ君を取り出すチョルト。
 「これを空に向かって……」
 チョルトは青い空に向かって力いっぱいコトダマ君を投げ飛ばした。












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