第22話 VSチョルト
チョルトはさっそく、第一回戦の対戦相手であるカインに、悪魔流なぞなぞを繰り出した。
「『悪は悪でも眠いときに出る悪は?』。へっへっへっ! 分からないだろ?」
「『あくび』じゃないですか?」
カインは即答した。
「次は僕の番ですね。『五つの穴が空いた魚とはどんな魚でしょう?』。僕、これくらいしか知らないんですよね、なぞなぞ…」
このなぞなぞに、チョルトは悩みだした。
「……五つの穴が空いた魚………あれか! 解ったぞぅ!『ボレロルルス・ペントナム・ロム・ハザルモプシス』だな!! ハハハ! まさかお前が魔界の穴空き怪魚を知っていたとはなぁ!」
「いえ、『穴子』です」
カインの勝利。
「次はメスガキか! お前には負けないぜ!」
第二回戦には妹が挑むことになった。
「おい、チビ悪魔! 妹の鼻を殴ったりしたら承知せんぞ!!」
兄は心配で心配でたまらないといった様子である。自分の心配をしたほうがいいのではないだろうか。
「もちろん、オイラが先攻だ! いくぞ! 『闇は闇でも人を不快にさせる闇は?』」
(え? 私は暗いの苦手だから、『闇』でも答えになってる気がするけど……。あっ、でもこれは悪魔の出したなぞなぞだもんね。それも考慮して考えなきゃ)
「さあ〜〜、どうした? 分からないのか!?」
相変わらず腹立たしい声である。
「違うかもしれないけど……『嫌味』?」
「………正解だ……」
「正解!? やったぁ! じゃあ、次は私の番だね! 『空の上にあるのは何でしょう?』」
「空の上……?」
妹は数々のなぞなぞブックを読破しているだけあり、出題するなぞなぞも難易度が高い。
(上手いぞ妹よ! 答えは『宇宙』! 悪魔が宇宙など知っているはずがない!!)
兄は心の中で感嘆の声をあげた。
「う……『宇宙』?」
チョルトは宇宙を知っていた。
「うわぁぁぁぁ!! 答えられたぁぁぁぁ!!」
兄が悲鳴をあげる。
「違うよ。答えは『シ』だよ。『ドレミファソラシド』の『ソラ』の次は『シ』でしょ?」
妹は勝利を収めた。チョルトと兄は、何だかいたたまれない気持ちになった。
カインと妹は無事、チョルトを通過した。残るは兄とリリム、そして鼻血の男である。
「ダーリン、あたしなぞなぞ苦手なの」
「実は私も苦手なんだ」
リリムと鼻血男が情けないことを言い出した。
「だからあたし達、チョルトを倒しちゃおうって話してたわけ」
「な、何だって!? 俺は嫌だぞ!! 俺はあいつをなぞなぞでねじふせる!!」
「でも、あたし達の旅の目的って、悪魔達をやっつけて、カマドーマから追い払うってことでしょ? なぞなぞで遊んでる場合じゃないんじゃない?」
リリムにしては真面目な発言。
「……リリム……それもそうだな……」
「じゃあ、さっさとやっつけちゃいましょ!」
「え!? せめて一回くらいなぞなぞで勝負を……」
もうリリムに兄の声は届いていなかった。
リリムの体が光り輝き、悪魔の姿へと変貌する。
「げっ!! お前はリリム!!」
チョルトが驚愕する。
「弱虫チョルト! 悪いけどあんたのお遊びにはもう付き合ってられないわ!!」
リリムの瞳が鈍く光る。チャーム・アイだ。
「君も悪魔……うわ!」
チャーム・アイのターゲットは鼻血男だった。
「リリム! お前何を……!?」
「さあ、行くのよ我が下僕!!」
リリムの命に従い、鼻血男がチョルトへ向かって走りだす。
「ば〜〜かめ!!」
チョルトは突進してくる鼻血男の鼻に、ストレートを打ちつけた。見事なカウンターである。
「ぐあっ……!!」
鼻血男が鼻から血しぶきをあげながら仰向けに倒れた。
「うそ……! あんた、そんなに強かったっけ……!?」
唖然とするリリム。
「ヒャーーーヒャッヒャッヒャッ!! オイラがいつまでも弱っちい悪魔だと思ったら大間違いだ!!」
チョルトは倒れている鼻血男の頭を踏み付けた。チョルト自体小さいので、踏まれても大して痛くはないだろうが、非常に腹が立つことは間違いないだろう。
「リリム、あいつ弱いんじゃないのか!?」
「そのはずなんだけど……」
チョルトはニヤつきながら口を開いた。
「オイラは強い。お前らなんかすぐにでも皆殺しにできるんだぜ。お前らがここを無事に通るには、なぞなぞで俺に勝つしかないんだよ!」
悪魔チョルト。実は恐ろしい奴だった……。
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