英雄兄妹(2/86)縦書き表示RDF


なんだか無理矢理な展開になってきました(^^;)
英雄兄妹
作:HEERO



第2話 異世界


 「僕の名前は『カイン』。もしかしたらもう察しているかもしれませんが、僕は違う世界から来たんです」
 『違う世界』という言葉に、妹は女の子らしい反応をした。
 「す…すっごーい! どんな世界なの!? やっぱり夢と魔法のファンタジー!?」
 「ええ、魔法は存在しますよ。そして夢にも満ち溢れています。ただし、『悪夢』ですが……」
 カインの顔が緊迫した表情へと変わる。
 「今から約一ヶ月ほど前、僕達の世界は悪魔の軍団に支配されてしまったんです…。逆らう者はみんな容赦無く殺され、運が良くても僕のように非力な妖精の姿へと変えられてしまったんです」
 その時、部屋のドアが勢いよく開いた。
 「ここからは俺が説明しよう!」
 「お兄ちゃんが!?」
 なんと無謀にも、兄がカインの話の続きを語ると言い出した。
 「このままではこの世界は永遠に闇に閉ざされてしまう! そこでカインは長老にこう頼みました。『長老、こうなったら異世界の人に助けを求めましょう! 異世界にはきっと僕達よりも強い種族がたくさんいますよ!』。しかし長老はそれに反対しました。『それは危険じゃ。ワシの空間転移魔法はどこに繋がるか分からんからな。下手すれば、今ワシらを苦しめておる悪魔達より恐ろしい者達がおる世界へと繋がってしまうかもしれん』。でもカインは退きません。『そんな事を恐れていたら、僕達の世界は完全に滅びてしまいますよ! 長老はそんな未来を素直に受け入れるというんですか!!』。長老はその言葉に衝撃を受けました。『確かにお前の言うとおりじゃ…。よし分かった! お前を異世界に送る! 必ずや強力な助っ人を連れてくるのじゃぞ!』。こうしてカインはこの世界にやってきたのでした。ちなみに、何故怪我をして倒れていたのかというと、道端で休んでる時に野犬に襲われたからなんだなこれが! しかもチワワ!」
 兄はこれだけの台詞を一息で言いきった。
 「もう! 勝手に話を作って! お兄ちゃんは黙っててよ! さあ、カイン君」
 兄の明らかに適当くさい説明を無視し、妹はカインに話の続きを求めた。
 「いえ、全てお兄さんのおっしゃるとおりです」
 兄は意味の無い奇跡を起こした。
 「うそ…! 何で知ってたのお兄ちゃん?」
 兄はフッと笑った。
 「それは俺が選ばれし者だからさ!」
 言ったことがたまたま当たっただけなのに兄は調子に乗り出した。
 「で…では、貴方が僕の捜し求めていた勇者様!? 救いの戦士!?」
 カインは甚だしい勘違いをしだした。
 「そのとおりだ! だから俺と妹を早くお前の世界へ連れていけ! 日本の法律とは無縁の世界へ、俺は妹と行きたいんだ!」
 兄は何か良からぬことを考えているらしい。
 「分かりました! 僕達の世界の命運を貴方達にたくします!」
 勝手に話が凄い方向へ進んでいくので、妹は焦りだした。
 「ちょっと待ってよお兄ちゃん! 私達には無理だよそんなこと!! 何でそんな自信満々なの!? 根拠はあるの!?」
 妹は普通の事を言っているだけなのに、とても賢く感じる。
 「お前はカインを助けたくないのか?」
 急に兄が凛々しい顔つきになった。
 「そ…それは……」
 「俺達とカインはもう他人じゃない。他人じゃないということは『友達』だということだ。世界を救えるかどうか、それは正直分からない。でも困っている友達を見捨てるわけにはいかないだろ?」
 兄がまともな事を言った。兄はただのアホではなかったのだ。妹は初めて兄に尊敬の眼差しを向けた。
 「お兄ちゃん……うん、お兄ちゃんの言うとおりだよ! そうだよ、友達が困ってたら助けなきゃね!」
 妹と兄が立ち上がった。
 「さあ行こうか、カイン君!」
 カインは疲れているせいか、眠ってしまっていた。
 「寝てんじゃねえ!」
 「お…お兄ちゃん! 友達を踏んじゃ駄目だよ!!」
 結局、カインが目を覚ますまで、出発はお預けとなった。


オマケっぽいもの


「これは踏んでるのではない! 体重をかけて足を乗せているのだ!」


「踏んでるんだよそれは!!」











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