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平凡な私と平凡じゃない交友関係 作者:メイリ
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12/17

SOS

ピンポーン、ピンポーン、ピンポーン

珍しいピンポンの鳴り方だ。
私の知り合いでこんなにピンポンを連打する人はいないはずなんだけどな〜。
カメラを確認してみたが誰もいない。
どなたですか? と聞いてみようと思ったが、マイクの調子悪かったんだ。
どうしたものかと考えているうちに、またピンポンの連打が始まった。

ピンポーン、ピンポーン、ピンポーン

とりあえず、出てみようか。
チェーンをつけたままドアを開ければいいよね?
そう考えた私は恐る恐る玄関のドアを開けてみた。
するとそこには……

「瑞樹お姉ちゃん! 」

「え? アリサちゃん? 」

ドアを開けたら顔を赤くし、涙目のアリサちゃんがいた。
どうやら背が小さかったため、上手くカメラに映らなかったようだ。
私は慌ててドアのチェーンを外して、アリサちゃんを迎え入れた。
アリサちゃんは勢いよく私のお腹に飛び込んできた。

「瑞樹お姉ちゃん! あのね、あのね! 」

っく、アリサちゃんのお腹への突撃が思いの外効いている。

「ア、アリサちゃん。とにかくこっちにおいで。」

玄関先で大声を出すのはマズイと思い、私はお腹に張り付いて離れないアリサちゃんを引きずりながら居間へと向かった。


「それで、どうしたの? クランベールさん……えっと、パパは一緒じゃないの? 」

私の質問に、少し落ち着きを取り戻しつつあったアリサちゃんがまた興奮状態に突入した。

「パパが、パパが大変なの! 誰にも言えなくて……それで瑞樹お姉ちゃんしかいないの! 」

「えっと、とにかくどう大変なのか教えてくれる? ゆっくりで大丈夫だよ。」

私はアリサちゃんを落ち着かせるように、抱っこをしながらアリサちゃんの話を聞くことにした。
アリサちゃんも私にピッタリくっ付いている。

「うん……。あのね、最近パパ元気なかったの。私が『具合が悪いの?』って聞いても、私の頭を撫でながら『大丈夫だよ』ってしか言わないの。でもね、お家でもため息ついたりしてて……それでね、私ね、パパの会社に行ってみたの。」

「え? 一人で行ったの? 」

出会いが出会いだけに、アリサちゃんが一人歩きするのは非常に心配だ。
そういえば今日もどうやってここまで来たんだろう?
アリサちゃんの家からここまでそんなに遠くはないけど、アリサちゃんの足では軽く四、五十分かかる。

「ううん。運転手さんに頼んだの。今も下で待ってるよ。それでね、会社に行ったらパパね、困ってたの。なんかキラキラした人がパパを困らせてたの。」

ふむふむ、クランベールさんが今何か問題を抱えてて、その原因がキラキラした人ってこと?
ちょっと情報が少ないな。

「それっていつのことかな? 」

「さっき。」

…………なるほど、会社に行ったらパパが困っていて、それに困ったアリサちゃんがうちに駆け込み寺のようにやって来たと。
しかし、こんな可愛い子のお願い、しかも私の拾いモノ仲間、助けないという選択肢はないな。
まあ、行動あるのみだね。
事情がわかったら各方面に助けを求めましょう。

「じゃあ、とりあえずクランベールさんの会社に一緒に行ってみようか? 」

「いいの? わーい! ありがとう瑞樹お姉ちゃん。」

私とアリサちゃんは揃って下に行き、待ってくれていた車に乗り込んだ。


「すみません、ご迷惑おかけしてしまって。」

私は車に乗り込むと、ひとまず運転手の大久保さんに謝っておいた。
何回かアリサちゃんの家から私の家まで乗せてもらったことがあるから顔見知りなのである。

「いえ、大丈夫ですよ。こちらこそいつもお嬢様のお相手をしていただいてありがとうございます。今日も旦那様のことで心配をかけてしまって申し訳ないです。」

逆に謝らせてしまった。
一通り挨拶が済むと、そのままクランベールさんの会社に向かうことになった。
道中、もうちょっとアリサちゃんから詳しい話を聞き出そうとしたが、それはかなわず。
他に何も情報がないままクランベールさんの会社に乗り込むことになった。
車が会社に到着すると、アリサちゃんが私の手を取り走り出そうとしている。

「瑞樹お姉ちゃん、こっちだよ。」

勝手知ったるなんとやらでアリサちゃんがズンズン進んでいく。
受付もどうやら顔パスらしい。
正直、私は入っていいのか悩むところだけど、止められなかったから良いのかな?
アリサちゃんは迷うことなくある部屋の前で立ち止まり、ドアを開けて入っていった。
もちろん手をつながれた状態の私も入ることになりましたよ。


「ルアンさん、まだいる? 」

部屋の中には男性が一人いた。
アリサちゃんがルアンさんと呼んだその人は、見るからに秘書って感じの隙のなさそうな人だった。

「アリサさん、部屋に入る前にノックはしましょうね。……お連れの人が救世主ですか? 」

ルアンさんはそう言うと私の方へと視線を向けてきた。
救世主って……そんなにヒドい状況なんですか?

「きゅうせいしゅ? よく分からないけど瑞樹お姉ちゃんだよ。瑞樹お姉ちゃんがきっとパパを助けてくれるよ。だって瑞樹お姉ちゃんはスゴイんだから。」

アリサちゃんは興奮した様子で私のことを説明してくれている。
ただ、果たしてその説明でこのルアンさんには伝わるんでしょうか。
とにかく状況説明を求めます!

「突然申し訳ありません。私は橘瑞樹と申します。アリサちゃんとは……まあ、いろいろありまして仲良くさせてもらっています。」

「ああ、あなたがあの瑞樹さんでしたか。話は聞いております。私はアロンの秘書のルアンと申します。さて、正直この問題にあなたを巻き込むのは如何なものか……。」

あの瑞樹さん、という言葉に引っかかりを覚えますが今はそれどころではないか。

「お仕事のことで問題が起きているようでしたらこのまま引き下がりますが、もしもそれ以外の原因があってクランベールさんが困っているのでしたら内容だけでも教えていただけませんか? このままだとアリサちゃんが心配してしまうので。」

アリサちゃんは不安そうな顔をしながら私の手を握っている。
私は安心させるように頭を撫でてあげた。

「そう……ですね。では話だけでも聞いていただけますか? 実は今、ある会社と取引をすることで話が進んでいるんですが、最終段階になって厄介なことになっているんですよ。」

あれ? 仕事の話? 私聞いても良いの?
そんなことを考えている間にも話が進んでいく。

「単刀直入に言うと、変な女がしゃしゃり出て来て引っ掻き回しているんです。まあ、変な女と言いましたが、その会社の社長の親戚とかなんとか。いろいろ言い方は変えてきてますが、要はアロンと付き合いたいらしく、それがダメなら取引はしないと言ってきているんです。」

…………ふむ、アホ発生か。
本当、どこにでも発生するよねそういう人って。
まあ、私にまで話がまわってきたということは、きっと私の拾いモノ能力が役に立つのかな。

「それは大変ですね。でも、もしかしたら何か役に立てることがあるかもしれません。もし差し支えなければ、その取引先の会社の名前教えていただけませんか? 」

「そう言っていただけると助かります。名前は『神崎カンパニー』と言います。」

うん?最近どこかでその名前を聞いたことがあるような……。
うーん?どこでだっけ。
ここ最近会った人…………そうだ! 風花さんところだ。
この間風花さんの家に遊びに行った時にその名前を聞いたんだった。
あの時珍しく旦那様の雅文さんもいたんだよね。

「あの、たぶんその『神崎カンパニー』の社長さんと知り合いの人がいるので、そちらの方から話しをしてもらいましょうか? 何なら今からすぐに聞いてみてもらいますよ。」

ガチャ バタン


「もう、イヤだ。」

ドアが開いて入ってきたのはクランベールさんだった。
入ってきて第一声がその言葉って……。
そして、クランベールさんが私たちを見て固まった。

「え? 何でここに瑞樹さんとアリサが? 」

「あのね、パパが困っていたから瑞樹お姉ちゃんに来てもらったの! 瑞樹お姉ちゃんならきっと助けてくれるよ。あんなキラキラやっつけてくれるよ。」

え、やっつけるの?

「そっかぁ、アリサにも心配かけちゃってたんだね。ふう、カッコ悪いところ見せてしまいましたね瑞樹さん。本当だったらあんなのとっとと無視したいんだけど、社長の親戚とかでなかなか難しくってね。直接社長と話したいと言っても聞かなくて。もう、契約やめようか……」

「アロン、それは駄目だと言ったでしょう。もう最終段階だし、いろいろなところに話もつけているんですから。」

「はあ、わかっているよルアン。だから困っているんだからさ。」

クランベールさんは本当に困った顔をしている。
差し出がましいかもしれないけど、助けてあげたい。
アリサちゃんのためにもね。

「あの、クランベールさん。もし良かったら私に手伝わせていただけませんか? もちろん差し出がましいことは承知しているんですが、アリサちゃんのためにも力になりたいんです。そこで、一つ提案があるんですが、明日その困ったキラキラした人をここに呼んでいただけませんか? 」

「瑞樹さん……あの、とても嬉しいのですが、こんなことにあなたを巻き込んでしまうのは……」

「「お願いします! 」」

クランベールさんの言葉にかぶせるようにアリサちゃんとルアンさんからお願いされてしまった。

「アリサ、ルアン……はあ〜、今さらカッコつけてもしょうがないか。うん、わかりました。瑞樹さん、もし良い案があるようでしたら教えていただけますか? 」

「はい! では作戦を言いますね。実はこんな感じで…………」

私は三人に明日どうするかを伝え、ここで三人とは別れた。
そして私は明日のために雅文さんへ連絡をすることにしたのだ。


『もしもし、雅文さん? って、あれ? 何で風雅さんが出るの? …………いや、駄目でしょう。私の名前が表示されたからって勝手に人の携帯に出たら。それより雅文さんに代わってくれませんか?……… はいはい、今度ね。』

もう、勝手に人の携帯に出ちゃ駄目でしょう。
待っていると、ようやく雅文さんが出てくれた。

『あ、雅文さん。え? あ、はい、大丈夫ですよ。風雅さんへのお仕置きは程々にして下さい。それでお願いがあったんですが、ある人に連絡とってほしいんですよ。実は……』

私は雅文さんにお願いして『神崎カンパニー』の社長さんに直接会えるようにしてもらった。
ちなみに面白がった雅文さんと、ちょうど話を聞いていた風雅さんも一緒についてくることになった。
『神崎カンパニー』の社長さん、神崎さんは私の話を聞いて土下座する勢いだったのよ、ちょっと、いやかなり引いたね。
私に謝罪なんてしなくても良いので、親戚の方の野放し状態を改善していただきたい。
たぶん他の人……具体的に言うと会社内でも大なり小なりやらかしているはずだ。
神崎さんが私に対してかなり好意的なのは、もちろん雅文さんのおかげだ。
まず最初の紹介がおかしかったから。

『この子、橘瑞樹ちゃん。将来うちの子になる予定だから仲良くして下さいね。』

……いや、養子にはならんですよ?
それを信じたのかわからないけど、話がスゴくスムーズに進む。
ちなみに雅文さんの会社は神崎さんのところの超得意先らしい。
まあ、打ち合わせはバッチリ済んであとは明日を待つだけだ。


というわけで今日になりました。
いろいろなスタンバイは済み、あとはキラキラさんが来るのを待つだけだ。
今クランベールさんだけが隣の部屋にいる。
その部屋の音声はこちらでも聞こえるようにセッティングした……鴉さんがね。
たまたま昨日家に遊びに来た鴉さんに話したら俺も遊ぶって言い始めて。
まあ、味方は多いほうがイイよね?

お、どうやら主役のお出ましらしい。

『こんにちは、アロンさん。ふふ、今日呼んでいただけたということは、良いお返事がいただけるという事ですよね?』

おお〜〜、来た早々のこの発言、でもこれだけだと神崎社長に訴えられないね。

『神崎さん、私はあなたの会社と契約はしたいですが、あなた個人とは親しく出来ません。それから、私のことはクランベールとお呼び下さい。』

おっと、クランベールさんが反撃に出た。
さてどう返してくるかな。

『っく、契約は私に決定権があるのですよ? 少しぐらいお付き合いしてくれても良いと思いますけど? それともこの契約は破棄いたしますか? 』

アウト!
これ以上クランベールさんに負担をかけるのはしのびない。
私は神崎社長に合図を送った。
社長は合点承知とばかりに、続き部屋になっている隣の部屋のドアを勢いよく開けて飛び込んで行った。

「彩芽! 」

社長の声に通称キラキラさんがビックリしている。
………… キラキラっていうか、あれはギラギラだよ。
綺麗な人なんだろうけどやたらブランド物を身につけ、アクセサリーもジャラジャラだ。
仕事する気ゼロだよ。

「っへ? しゃ、社長! 」

「今の話と今までの振る舞い、言動について全て聞いた。お前はうちの会社を潰す気か!? 」

「つ、潰すだなんて……。私はただ、より親しくなって業務を円滑に進めようと……」

「お前は! 今までは弟の顔を立てて大目に見てきたが私が間違っていた。会社内でも問題が上がってきている。お前とつるんでいた連中も全て調べているところだ。昨日の今日ですでにかなりの証言が集まってきている。身内びいきと罵られてもしょうがない話だ。お前たち、彩芽を連れて行け。」

神崎社長がそう言うと、お供で来ていた二人がギラギラさんを両側から挟み強制的に連行して行った。


「今回の件、弁解の余地もありません。こんなに迷惑をかけておいて今さら何だとお思いでしょうが、このまま契約させていただいてもよろしいですか? 」

神崎社長の言葉にクランベールさんは笑顔で了承していた。

「いや、風祭さんと橘さんにも迷惑をかけて申し訳ない。改めてお詫びさせていただきます。今日はこの辺で失礼します。」

そう言うと神崎社長は急いで部屋を後にした。
この後に仕事がたんまりあるからだね。

「瑞樹さんって、毎回こういうことしているの? さすがだね。俺も見習わないとな〜。っていうか、瑞樹さんの交友関係ってどこまで広がっているの。」

風雅さんが妙に感心しながらそう言ってくる。
その横でクランベールさんと雅文さんが名刺交換しながら、仕事の話をしだしている。
まあ、とにかく無事解決したし、これでアリサちゃんも安心するね。


ーー 数日後

クランベールさんからお礼と称して、自宅に招待された。
本当は雅文さんも来るはずだったが都合が合わず、代わりに風雅さんが来た。

「瑞樹お姉ちゃん! やっぱり瑞樹お姉ちゃんはスゴイね! 」

アリサちゃんが嬉しそうに抱きついてくる。
はあ〜、やっぱりカワイイね〜。
私はその柔らかい髪を撫でながら、抱っこした状態で部屋へと入った。
その姿を見たクランベールさんは嬉しそうに

「そうやっていると本当の親子みたいですね。」

うん? そうかな?
アリサちゃんは小学生ながらすでに将来確実に美女になること間違いない容姿で、かたや私は平凡極まりない容姿だけど。
まあ、いいか。

「どう見ても似てないと思うけど……、あ、なるほどそういうことか。クランベールさんも瑞樹さん狙い……ふがっ」

風雅さんが何か言いかけたところでクランベールさんが風雅さんの口を塞いだ。

「風祭さん、ちょっとお話しましょうか? さあ、あちらへどうぞ。」

そう言うとクランベールさんは風雅さんを連れて向こうに行ってしまった。
アレだね、男同士の話だね。
たまにうちでも、私の家なのに男性陣が一つの部屋で話し合っている時がある。
決まって私は入れてくれない、私の家なのに理不尽だ。

何はともあれ解決して良かったよ。
ただ、その後神崎社長から
『風祭さんの家に入る時は必ずお祝い贈りますからね! 』
と言われ、養子にはなる予定ないですと言ったら変な顔された。
そんなにおかしいこと言ったかな?
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