プロローグ第三部
周りには大勢の人がいる。
でも、私を見つけてくれる人はいない。
私には記憶がなかった。生きていた記憶がなかった。記憶がない私は何をすれば成仏できるの?
はやく成仏したい。早くこの人ごみの中から抜け出したい。
早く早く・・・・。
誰もが私を見ない。誰もが私を触れれない。
私には、それがわかりきっていた。
私に感情というものがなかったらこんなにも傷つかずにすんだのだろう。
なんで?皆は私に話しかけてくれないの?
なんで?皆は私を無視するの?
いくつもの想いが私の中を張り巡らして私の心を傷つける。
何年も同じ姿で、何年も服を着たことが無くて、何年も冷たさがわからなくて。
私の存在を証明できる人なんていない。
でも私はいくつモノ街を見てきた。街の中に希望があると思ったからだ。いくつもの出来事を見てきた。
傍観者にでもなった気分だった。
嫌だった。何もできない自分が。
だから・・・・・私は・・・・
この手で、人に触れようとしても
この足で、地面をけろうとしても
この体で、人の温もりを知ろうとしても
何もかもが遅すぎたんだ。
紅葉が散り、枯葉へと変わったいく季節の中、私は出会ってしまったんだ。
猫が私に話し、私は彼を追いかけ、彼は猫に餌をやる。
今まで気づけなかったことに気づいてしまった。
遅すぎた理解は、遅すぎた未来へと。
いくつもの奇跡が起きたとき
私は
「会いましょう」
と呟くのだった。
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