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ガチャ40 報酬を受け取り次に向かう場所は……

2/3ブックマーク4000到達記念投稿!

ブックマークをつけて下さった読者の皆様に最大限の感謝の気持ちを込めてかき上げました!!ギリギリ2/3に間に合って良かった……

 依頼掲示板と受付を通り抜けた先にある待機スペース。

 そこには簡易的なラウンドテーブルとイスが幾つか並べられていた。

 リュウは空いている所を見つけ、無造作にイスへと座る。


(討伐報酬が出たら、聖天幕の中で過ごす時のために、買いものに行こう。モンスターの中にも食える奴がいるだろうし、切り分け用のナイフ、皿、スプーンにフォークは絶対必要だ。どんなモンスターが食用かわかるような本も欲しいな……。ユグドラシルに本ってあるか?)


 リュウは飛龍の巣へ行った際、戦闘と探索を除いて、残りの時間を聖天幕の中で過ごすことになる。聖天幕の中では睡眠、休憩、食事をするが、睡眠と休憩に関しては至極のマジックアイテムをレアガチャで手に入れており、既に用意できている。

 しかし、残りの食事に関しては、今まで遠出をしたことがなかったため、特に準備をしていなかった。

 異世界ユグドラシルに来て初めての旅に出るリュウは、心が躍っていることを自覚しつつ、購入すべきものの検討を重ねていく。


(本は、ユグドラシルの文化水準で考えると結構高いものという感じがするな。金貨を出して買えないってほど高価なはずもないだろうが、実際に見てみないとわからんな。

 他には、何かあるか? ……コップだな! 水を革袋でとか、耐えられんぞ。あとは……)


 リュウが考えていると、ラウンドテーブル越しに豊満な胸を揺らしながら黒髪の美女が歩いてくる。


「リュウ、オーガの解体が終わったわよ」


「……ダリアか。オーガは大きいモンスターだし、10体もいればもっとかかると思ったが、意外と早く終わるもんだな」


 想定より早く解体が終わり、リュウは気分が良くなり口角を上げる。


「ここはリーデンブルグ王国の冒険者ギルド王都本部よ? 解体専門の職員も、選び抜かれた者ばかり。このくらいは当然よ」


 ダリアが誇らしげに胸を張った。はち切れそうなブラウスが大きく揺れる。引き寄せられた目を瞬時に離したリュウにダリアは気がついており『もっと見てもいいのよ』と目を細めて訴えていた。


「……他のところではこうはいかないということだな」


「うふふ。ここより整っている冒険者ギルドなんてそうそうないの。だから、ずっと贔屓ひいきにして欲しいわ。もちろん、受付は必ず私の所にきてね?」


 ダリアは頬を上気させながら、イスに座っているリュウにだけ、ブラウスの奥が見えるようにかがむ。白い布の向こうには、肌色の深い谷間が覗いて見えており、怪しい色香を放っていた。


(クラクラするような色気だ……。ってダメだろ! このままだと流されるぞ!)


 リュウは妖艶なダリアの猛烈なアピールにこれ以上付き合うことに危険を感じ、報酬の話をすることにした。


「ダリア以外の受付嬢には声もかけないさ。それより、そろそろ、報酬が貰いたいんだが……」


「うふふ。嬉しいわ!

 じゃあ、私は受付に戻って報酬の準備をするわね。時間はそんなにかからないから、すぐ来てね?」


「ああ」


 返事を聞いたダリアは身体を起こし、何食わぬ顔で受付へ戻り報酬の準備を整えた。リュウはダリアとのアイコンタクトで準備が終わったことを理解し、受付へ行きダリアへと声をかける。


「用意ができたようだな。オーガ討伐の報酬を貰おうか」


「オーガ1体討伐につき金貨1枚。今回は10体の討伐が認定されたわ。討伐報酬は金貨10枚よ」


 ダリアは話しながらカウンターに布袋を置いた。

 

(ん? 解体した時に買い取れるような素材はなかったのか?)


「なぁ、オーガの解体もしたんだろ? 素材はどうなった?」


「オーガはね、ゴブリンと一緒で使える素材がないのよ。討伐証明部位の角だけ確認した後は処分してしまったわ。強い割には得るものがないモンスターで、冒険者からはとても嫌われているのよ? だから、リュウが倒してくれてほっとしたわ」


 胸を撫でおろすダリア。

 リュウは素材売却で得られる分、受け取れる金が増えると思っていた分、期待が外れてがっかりしていた。


(当てにしていただけに残念だが……。まあいい。飛龍の巣でたっぷり稼ぐことにしよう)


「そうか、仕方ないな。この金貨10枚が入った袋は貰っていくよ」


「どうぞ」


 リュウがカウンターに置いてあった報酬入りの布袋を取ろうと手を伸ばす。

 それと同時に、冒険者ギルドの入り口のドアが開き、武骨な男が入ってきた。

 男はリュウより背が高く、鍛え上げられた肉体には古傷が幾つもついていた。その逞しい身体に特注の蒼に染色した劣竜革と魔法銀を使ったブリガンダインを身に纏っており、背中に大剣をかけている。その大剣は名のある業物だと一目でわかるほどの一品であった。

 

「……おいおい! 麒麟児じゃないか?」


「剛剣か、こんな所に何の用だ?」


「王都隊副隊長のマルコ様よ! 生で見れるなんて感激だわ」


「あの逞しさ。素敵よね!!」


 冒険者ギルドが騒然となる。


 マルコはリィオスが取った初めての弟子であり、その類まれな戦闘センスを存分に発揮して、25歳という若さで王都守護隊副隊長の座まで駆け上がっている。その活躍ぶりから王国では『麒麟児』や『剛剣』として有名だ。

 そんなマルコが来たのだから、騒ぎとなるのも当然であった。


 様々な声を浴びせられつつも、マルコは全く動じずにリュウのいる受付までまっすぐ歩いてくる。

 

「……王都にいるなら冒険者ギルドくらいしかないだろうと思って来てみたが、大当たりだったな」


「マルコ。久しぶりだな。何かあったのか?」


「国王様たっての願いでな。ゴブリンキング亜種率いる群れとオーガの集団を討伐した若き戦士に王国として礼をしたいということで、急遽お前を探し出して王城に招待するようにと言われたんだよ」


 マルコは仕方がないから来たんだと言わんばかりの顔をしている。


「それは、拒否権があるのか?」


「バカ。俺が無理矢理でも連れていくに決まっているだろ? 国王様のお願いは命令と一緒だよ」


 左の口角だけを上げ笑うマルコは練った闘気をリュウにだけわかるように開放して見せる。


「…………仕方ないな」


(チッ。こいつも化物クラスか……)


 圧倒的な力量差を感じたリュウは、買い物を諦めて城に向かうことにしたのだった。

お読み頂きありがとうございます。


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