ガチャ9 冒険者ギルドの受付嬢と
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瞼に差す光を感じながらもベッドで踞っていたリュウだが、朝課の鐘が鳴ると朝食を食べるために重く感じる体を起こした。
(……眠いな。だが、今日はやっておきたいことが沢山あるんだ。ひとまず、朝食を食べたら支度をして冒険者ギルドに行くとするか)
1階の食堂で出たサンドイッチを食べた後、自室へ戻って魔弾の拳銃を手に取り、弾倉を振り出す。MPを込めて弾丸を生成するためだ。
しかし、肝心のMPが回復しているかを確認していなかったリュウはステータスを確認することにした。
「ステータスオープン」
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名前 リュウ
種族 人間
レベル 3
HP70/70
MP125/125
筋力 45
魔力 24
耐久 46
敏捷 44
器用 27
幸運 EX
スキル
【レアガチャlv1】
【MP増加lv1】
【身体能力強化lv1】
【千里眼lv1】
【鑑定lv3】
【 異世界言語翻訳・通訳】
魔法
【雷魔法lv1】
【サバイバル魔法lv10】
加護
【ガチャ神の加護】
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(一晩で全回復したな。これで魔弾の作成に取りかかれる)
既に昨日生成した魔弾が1発弾倉に残っていたため、5つの穴にMPを込めていく。淡く白い光が弾倉を覆って15分。回転式弾倉の6つの穴全てに魔弾が装填された。
(流石にMPを100も消費すると疲れるな……。だが、これで大抵の状況に対応できる)
弾倉を銃身に戻し、魔弾の拳銃をホルスターに差し込む。自室から出てカウンターへ行きカギを女将に返すと、リュウは足早に冒険者ギルドへと向かっていった。
(エリーの話だと城の方に向かっていけば見えてくるってことだったけど、あれがそうなのか?)
王城の近くだけあって武器や防具、衣服や宝飾を扱う大型の店が並ぶ中、一際大きな建物が目に入る。剣をくわえた獅子が描かれた看板を入口に掲げており、剣や弓を持った者達が多く出入りしていた。
(間違いないな、冒険者ギルドだろ)
冒険者ギルドの中は大勢の冒険者で溢れていた。朝一番は依頼が更新されて掲示板に貼り出されることが多いため、今日こそはなんとか割りの良い依頼を見つけて受注しようと低ランク冒険者が集まって来ていたのだった。
リュウは混雑している掲示板を横切り、受付らしきカウンターへ行くと職員らしき女が声をかけてきた。
「初めまして。冒険者ギルドへようこそ。受付嬢のダリアです。本日のご用件は?」
癖のない黒のロングヘアー。愛くるしい瞳。スレンダーだか、存在感を主張する双丘がブラウスを押し出している。妖艶な雰囲気を醸し出す20代前半の受付嬢に笑顔で挨拶をされたリュウ。
前世を含めてこれほどの美しい女性と会話した経験がないため、内心動揺しながらもポーカーフェイスで切り返す。
「……冒険者登録をお願いしたい」
「かしこまりました。まずはこちらの用紙へ記入して下さい。不備がなければ別室で登録作業を済ませてギルドカードを発行します.。また、ギルドカード発行には銀貨5枚必要になりますが、よろしいでしょうか?」
「問題ないな」
「では、こちらの用紙に必要事項を記入して下さい」
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誓約書 兼 ギルドカード発行申請書
私は依頼中に起きたトラブルで被害を受けたとしても冒険者ギルドへ責任を追及せず、自身で解決することを誓います。
・名前を書いて下さい。
『リュウ』
・年齢を書いて下さい。
『18才』
・扱える武器を書いて下さい。
『剣』
・得意な魔法を書いて下さい。
『 』
・所持しているスキルを書いて下さい。
『千里眼』
※スキル、魔法は冒険者の生命線ですから無闇に記入をしなくても問題ありません。公開しても構わないものだけでも結構です。
※誓約を破った場合は除名処分となります。
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リュウは当たり障りのないものだけを記入してダリアに用紙と銀貨5枚を渡す。素早く目を通し、問題なく記入されていることを確認したダリアはカウンターの奥にある個室へとリュウを案内した。
「字がお上手なんですね。どこかの貴族様だったり?」
個室に入ると砕けた口調でダリアが話しかける。
「俺は貴族じゃない……と思う。記憶喪失でな、思い出せるのは名前くらいだ」
「そう。大変ね。早く記憶が戻るといいわね」
「ああ」
話ながらリュウは部屋を見回すがギルドカードらしき焦げ茶色のカードがテーブルの上にあるだけで他には何もなかった。
「で、何をすればいいんだ?」
「このギルドカードに魔力を流して欲しいの。そうすると個人の持つ固有の魔力紋が登録されて、ステータスや功績、賞罰なんかが表示できるようになるわ」
「戦闘に関するスキルや魔法は他人に知られたくないんだが…」
「名前、年齢、レベル、冒険者ランク、賞罰は必ず表示されるけれど、他の項目は伏せておけるようになっているわ」
「そうか、安心したよ。魔力紋の登録を頼む」
ダリアがカードをリュウへ手渡す。柔らかい手の感触に戸惑いつつも、カードを受け取りMPを流し込む。
一瞬青くカードが光った。
ダリアの表情を見ると満足そうに微笑んでいる。どうやら成功のようだ。
登録を終えたリュウはダリアに連れられカウンターへ戻っていく。
「リュウ。あなたでしょう? ゴブリンハート持ってきたのって」
「あの兵士が言ってた受付嬢ってダリアのことか」
「そうよ。若いけど見込みがありそうな奴が来たって嬉しそうに言いながら換金していったわ。
冒険者に成ってもいない人がゴブリンハートを取ってくるなんて私もビックリ! 今後の活躍を期待しているわ。何かあったら、私のいるカウンターに声をかけてね」
「そうさせてもらうよ」
見惚れてしまいそうなウィンクをされて若干顔を赤らめながら、動揺を悟られないように短く返答した。
美女との会話は緊張するなとリュウは思いながら嫉妬の視線が背中に突き刺さっていることに気がつかずカウンターを離れ掲示板へ向かう。
ダリアは男性冒険者の人気ナンバーワン。リュウが緊張するのも無理はなかった。
ダリアは普段カウンターにいるときは丁寧な口調で話す。だが、リュウという容姿端麗な年下の才気あるルーキーでということで口調が砕けていた。
恋人とまではいかなくても、好意があるのは周囲から見て明らか。
そんなダリアとリュウのやり取りを見て怒り狂った男は、リュウが掲示板で依頼を選ぼうと探しているところを見計らい、声を張り上げた。
「おい、ルーキー。お前みたいなモヤシ野郎には冒険者はつとまらねぇぇ! ケガする前に家に帰りなっ!!」
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