運命 オレトオマエノモノガタリ縦書き表示RDF


初めての短編です。
運命 オレトオマエノモノガタリ
作:チビヨッシー


「はあああ・・・・」
俺はそう言い、公園のブランコに座った。
楽しい時に乗るともっと楽しくなるのに、悲しい時はどうしてこんなに悲しくなるんだろう。
夕焼けを見ながらそう思い今日の事を思い出した。
「達也!!お前また80点じゃない! 次100点じゃなかったら家から放り出すよ! 」
俺は頭に響く声に心の声で答えた。別にいいじゃん。俺も頑張ってるんだし。
「達也、またゲーム壊したな。修理代払えよ! 」
兄ちゃんがいつもバンバン叩くからだろ。俺がやった時にたまたま壊れただけだ。
「たっちゃんのバカ〜〜〜! お人形さんになんてことするの〜〜〜! 」
由美が「お人形さんにお化粧して」っていうから、油性ペンでお化粧してやったんだよ!!
俺は悔しかった。
全部俺のせいじゃないのに。全部皆のせいなのに。(テストも教え方が悪いからだ)
どうして俺のせいになるんだ?
俺の目から涙がポタポタ落ちた。
もう、こんな所ゴメンだ。出て行ってやる!
とブランコから立ち上がった時、すぐ下に置いてあったダンボールを見つけた。
ダンボール?
そっとのぞくと黒い子猫が1匹いた。
「お前も俺と一緒か? 」
というと子猫はニャーと鳴いた。
「よし、うちでは飼えないけどゴハン持って来てやるよ。」
と言い俺は家に向かって走り出した。
よほど公園から家は遠くないが俺は思いっきり道を走った。
上手くいけばあいつと暮らせるかもしれない。
こんな嬉しい気持ちで家に帰ったの、初めてだ!
そんな事を考えているとあっという間に家に着いた。
家には誰もいないようだ。どうやら母さんと由美は買い物、兄ちゃんは友達の家に行ったんだろう。父さんは仕事でいつも遅い。
俺は家のカギを開け、(誰かいるわけじゃないのに)忍び足でキッチンに忍び込んだ。
そして、(誰かいるわけじゃないのに)確認した。
ツナ缶を4個取って靴を履き、家の鍵を閉めてまた道を走った。
俺の気持ちがもっと嬉しくなったのか分からないけど、今度はさっきよりも早く着いた。
「ほら、ゴハンだぞ! 」
子猫はやっぱりその場所にいた。
俺は子猫に向かってにっと笑うとツナ缶を開けた。
子猫はニャーと鳴くとツナ缶の方へ寄ってきてツナを食べ始めた。
ふと、次の瞬間に声が聞こえた。
『アリガトヨ、達也。』
「えっ? 」
俺はびっくりして振り向いた。が誰もいない。カラスがアーアーと鳴いているだけだ。
『コッチダ、達也、オレダ。』
宇宙人みたいな声だが、俺の頭の中で少年の声がはっきり聞こえる。
な、なんなんだ!? これは一体・・・!?
改めて声のする方へ振り向くと、子猫がいた。もうツナを食べるのはやめている。
『オレダ、ネコダ。オレノ声、聞コエナイノカ? 』
見ると子猫は口をパクパクさせて喋っているようだ。
猫だ。猫が喋ってる!
「な、なんで?」
俺はあんまり驚かなかった。いつもならすごく驚くのに。
『オマエハオレヲ助ケタカラ、オレノ声ガ聞コエルノサ。』
「ふ〜ん。」
俺はうなずいた。子猫が言っている事も少し分かるような・・・・・。
『オレノ名前ハ、黒丸。猫ノ世界ノ王子ダ。オマエに大切ナ物ヲ教エニ来タ。』
「大切な物? 何さ? 」
『オマエノ、家族ダ。』
「俺の?何で!?」
俺は驚いた。あんな家族が大切だって? 何を言っているんだこいつ。
『オマエガ家族ヲ大切ニシテイレバ、家族ハオマエヲ理解シテクレルハズサ。』
「なんでそんな事を知っているんだ?」
『運命ヲ、知ッテイルカラサ。』
「運命? 」
『ジャアオマエヲ試シテミヨウ。オマエ、今ノママデ家族ノ1人ガ消エタラドウ思ウ?』
「いやだっ! 」
その時、俺は俺に驚いた。何でこんな事を言ったんだ? あんな家族なのに。
『オマエニ家族トノ思イ出ガアルカラダ。』
思い出・・・・!?
遊園地に行った事。俺は7年前を思い出した。


















「うえーん! おにいちゃーん! ゆみー! おかあさーん! おとうさーん! 」
赤い風船を持って、泣きながら遊園地の中を歩いている俺がいた。
どこに行っても全く知らない風景だらけ。誰も振り返ってくれない。
気がつくと、俺は座り込んでいた。もっともっと大きな声を出して泣く。

もう、ここでひとりでいなきゃだめなの? おうちにかえりたいよ!

その時、聞き覚えのある声が聞こえた。
「達也ー! 」
「達也〜! 」
「達也のバカー! 」
「おにいちゃ〜ん! 」
そう、家族が全速力で俺に走ってきた。
俺の目に涙がブワッとたまった。
「おとうさん、おかあさん、おにいちゃん、ゆみ! 」
俺も皆めがけて走り出した。
「もう、いなくならないでよっ!!」
母さんは俺を強く抱きしめてくれたのを思い出した。























「・・・・・ありがとう、黒丸。運命がよく分かったよ。」
ただ、当たり前の事を教えてもらったのに。こんなに感動したのは俺が知らなかったからだと思う。
『イツカ大事ナ人ハオマエノ前カラ消エル。ソレヲ教エタダケダ。』
黒丸はにっとした。
「・・・・・ありがとう・・・・。」
ふと気づくと俺は寝ていた。もう夜だ。目の前には父さんがいる。
「父さん? 」
俺は目をこすった。
「何、ブランコで寝てるんだ。家に帰るぞ。」
「うん! 」
俺は父さんの手を握り、家に向かった。
(ありがとう、黒丸。)
俺の心にはその気持ちがあった。



















帰ったら、皆にあやまろう!              −END−














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