舞を失ってしまったユウ。そんなユウに愛子が急接近……!?
第89話 なぐさめてあげんねん?
「あーあ、かわいそーにな」
立ち尽くすユウに投げかけられた愛子の言葉。
「自分、せっかく舞のことかばったのに、舞の奴、あないなこと言うなんて……な」
愛子は束ねた後ろ髪を掻きあげた。
「……いーよ」
ユウもつられたように頭に手を回した。
「もとから僕、舞さんには嫌われてたし」
ユウはいつものように愛想笑いを浮かべてみせた。
「……さよか」
愛子は小さく呟いた。すでにその顔からは笑みが引いていた。
「じゃ、愛子さん。あんまり舞さんとケンカしないでね」
ユウは最後にもう一度ほほえんでみせると、愛子に背を向けようとした。
「……かんにんえ」
「え」
思いがけない愛子の言葉―――ユウは咄嗟に立ち止まった。
「ウチのせいで舞とあないなことになってしもて、ホンマにごめんなさい」
真剣な愛子の目真剣な目―――ユウはそれに見入られた。
「あ……愛子……さん?」
「そのかわりウチが速水くんのこと、なぐさめてあげんねん」
愛子は真顔で言った。
「え……」
「舞にはウチからあやまっとくさかい―――えやろ?」
物憂げな愛子の眼差しに、ユウの心臓が「ドキッ」と大きく鳴った。
「ウチ、もういじわるせーへんさかい……なあ」
「あ……愛子さん」
ユウの目が愛子に釘づけとなった、その時―――
「ちょっと待ちなさいよ、あんた」
二人の世界に割って入るあやの声。
「……あ?」
愛子は鋭い目を向けてあやを睨んだ。
「そうよ。あんたよ、あんた」
あやも負けずに愛子を睨み返した。
(あ、あや……)
ユウは妹の顔に視線を走らせた。
「あんたみたいな変態、うちのお兄ちゃんの趣味じゃないんだから! パンツはみでてるわよ、この痴女!」
あやは心底ムカついた様子で、乱暴な手つきで後ろ髪を掻きあげた。
「……いちいちうるさいんじゃ、このボディコン巨乳が!」
愛子は覚めた目を向けて、胸元の大きく開いたあやの上衣を視線でなぞった。
「ガキはガキらしうウチでポケモンでも見とれや、このブラコン女」
「なっ……」
あやの顔が屈辱に紅潮する。
「何よ、この露出狂女っ! 乳首勃ってるわよ、あんた!」
「エロいやろ、ウチの乳首? 欧米ではそーゆーのキュートなんやで?」
一向に気にかける様子のない愛子に、終始押され気味のあや。
「ま、ウチのパンツから毛ぇーとかがはみだしてるわけでもないし、あんたのデカチチのほうがよっぽどエロいわ、実際」
「うぐっ……なによ、このペチャパイ……」
あやの目に涙がらじむ。
「そやけど、ウチな」
愛子は妙に間延びした声で言った。
「速水くんがイヤやったら、やめてもいーねん、このカッコ」
愛子はコンクリの台に肘をつき、たそがれるように両手を組んでみせた。
「え……」
思わぬ愛子の申し出に、ユウは言葉を失って狼狽した。
「ウチ、どないしたらええの? 速水くん」
「え……それは、その……」
なにをどう答えていいのかわからず、苦し紛れにユウは答えた。
「その、そーゆーファッションも愛子さんの個性なわけだし、無理にやめなくても……ねぇ」
そう言い終えるか終えないか―――その時だった。
バコッ
大きなゲンコツがユウの脳天に炸裂した。
「お兄ちゃんのバカ! 変態! ロリコン!」
さらに「死んじゃえ!」という怒声が後に続いた。
「な……なんで?」
ユウは地面に突っ伏しながら、手を震わせた。
「……乳まるだしのエロいカッコしときながら、今さらなにゆってんねん、この女? アホちゃうか」
兄妹のどつき漫才を覚めた目で見つめる愛子だった。
第89話 終
私の高校時代のとなりのクラスの子がテレビで何かを語りました。
来週も語るらしいので、私も観なくっちゃ……。
そんなこんなのお知らせをブログに書きました☆
記事URL→ http://risako-novels.cocolog-nifty.com/blog/2009/01/post-3715.html
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