ドイツ帰りの天才ピアニスト・愛子は舞の妹だった!? その愛子とピアノの弾き比べをすることになって……
第82話 ブスってゆったらえーよ?
「それじゃあ、ボクは愛子さん迎えにオベラ・シティ、行ってくるだよ」
メガネはユウに背を向けながら言った。
「あっ、ハイっ、が、がんばってね、メガネくん」
「ユウくんも、さぼらないでしっかりやるだよ」
念を押すようにそう言うと、メガネは足早にその場を離れていった。
「は、はは……どんもぉー……」
右手で頭を掻きながら、ユウはメガネの後ろ姿を見送った。
その場に取り残された形の二人―――ユウと舞。
(てーか、どーしよー……二人きりだとちょっと気まずい雰囲気に……)
ユウはそのまま頭を掻きながら凍りついていた。
「あ、あの……速水……くん?」
見かねたように舞が声をかける。
「えっ……! は……ハイっ、なんでしょぉぉかっっ!?」
ユウはドキッとして舞を振り向いた。
「その……」
舞は顔を赤く染めながら小さく呟いた。
「さっきはありがとう」
「え……」
「うれしかった」
舞ははにかんだような笑みを浮かべながた。
「速水くん、ウチのことかばってくれて」
舞さん……
やさしい風が吹き抜けてゆくようだった。
全てが白く透き通ってゆく気持ち……
ユウは言葉を失ったたまま立ち尽くした。
「もし、それであの子の気がすむんやったら、速水くん、ウチのことブスってゆったらえーよ?」
舞は悲壮な表情とともにユウに告げた。
「そ、そんなこと、僕は……!」
「でも、速水くん、パンフレット見たやろ? あの子、ピアノ、下手やないねん」
舞は気遣うような目をユウに向けた。
「大丈夫だよ」
ユウの声が明るく響いた。
「え」
舞はきょとんとしてユウの顔を見つめた。
「たぶん、技量は同じくらいだと思う。勝負できないということはないと思うよ」
「速水くん……」
あっけにとられる舞をよそに、いつものように頭を掻きながらユウは言った。
「でも、なに弾いたら……妹さんとかぶったら悪いし」
「それならあれが……」
舞は唇に指を当てながら呟いた。
「あ、あれ……って……?」
ユウが曲名を訊ねようとしたその時だった。
「おにーちゃんっ!!」
けたたましく響くあやの声―――
今度はいったい何!?
第82話 終
ブログに私のピアノ練習曲第1番のPVをアップしてみました☆
なぜか続いて小池真理子やら三島由紀夫やら澁澤龍彦やらを語ってるので、よければどうぞ<(_ _)>
記事URL→ http://risako-novels.cocolog-nifty.com/blog/2009/01/post-f94b.html
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