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露出少女の気になる一言に、ユウは……?
第81話 妹やねん
 しばしの沈黙の後、重い雰囲気に耐えかねて先に口を開いたのはユウのほうだった。
「あ、あの……それって、もしかして」
 ユウの言葉に少女の目が鋭く反応する。
 ユウは左手で頭を掻き、照れ笑いを浮かべながら少女に言った。
「お、おっぱいが小さいとかのことですか? ……なんつって、はは、そんなのねぇ、別にねえ」
 バコッ
 ユウの頭に少女の振り下ろした立て看板が突き刺さった。
「このエロ! ドスケベ! 変態!!」
 死んでまえ、ワレみたいなババクソ―――突っ伏したユウの頭上から浴びせられる少女の罵声。
「エ……エロは自分のほうじゃんか……」
 ユウは言い訳がましくうめき声を上げた。
(は、速水くんのバカ!!)
 な、なにがおっぱいやねん!!
 遠くで見ていた舞も思わずつっこむ……
「ま、えーわ」
 少女は両手を胸の前で交差させ、身を隠すようなしぐさをしてみせた。
「ウチのことは上祭実行委員の浜くんゆーのに聞いたらわかるさかい、いなさせてもらうわ。あー、けったくそ悪い」
「ええっ!? なんでメガネくんが!?」
 ユウはわけがわからずに声をあげた。
「ほな、またな」
 少女はもう一度「くすっ」と笑った。
「道、教えてくれはって、おおきにな」
「は、はあ……」
 でも、どうしてメガネくんが……
 少女の後ろ姿を見送りながら、同じ疑問の堂々巡りをくりかえす、ユウ。
「なにさぼってるだ、ユウくん?」
 そこにあらわれたメガネ本人に、ユウは思わず飛び上がった。
「のわーっ、浜……じゃなくて、メガネくん!?」
「い、いちいちあだ名で言い直さなくてもいいだよ、ユウくん!!」
 メガネは心底ウンザリした顔で言った。
「だいたい、人のことをモノの名前で呼ぶってこと自体、そもそもねェ……」
(き、気にしてたんだ、メガネくん)
 クドクドと続くメガネのお説教……
 それが一段落したところで、メガネはユウに訊いた。
「それよりも、ユウくん。このへんでお客さん、見なかっただか?」
「お客さん?」
 ユウは訊き返した。
「そ、それってどんな……」
「こんな人だだけど」
 メガネは一枚のチラシをユウに手渡した。
 伝説の美少女ピアニスト、夢の招待公演―――そんな文字がまず目にとまった。
 そして、次の瞬間、
「ってえっ、ええええええっ!?」
 ユウは思わず叫び出していた。
 チラシに使われているピアニストの写真、これって……
「だって、メガネくん、この人って、舞さ……藤沢さんじゃないのおおっ!?」
 イブニングドレスに身を包み、ピアノの前で優雅に微笑んでみせる舞の写真……
 まちがいない!!
「またまたぁ〜、ユウくん、ちょっと美人な人だとすぐ藤沢さんと結びつけるもんだで」
 冷やかすようなメガネの視線がユウの顔に突き刺さる。
「えっ、だってこれ、ええっ!? 確かに舞さんにしてはちょっと若いかも……」
「悪かったわね、若くなかって」
 すらっとした細い足首がユウの視界に割り込む。
「えっ……」
 ユウはあわててその先に視線を走らせた。
「んまっ、舞……藤沢さん…・・・!?」
 お、おはよーございます……
 あわてて最敬礼のユウ。
 や、やっばい、また怒られ……
「どうせウチ、じきハタチやもん……」
 明らかに不機嫌そうな舞さん。
 お、怒ってる……怒ってるよ……
「えっ、僕、そんな、舞さんのこと、オバサンだなんて思ってな……」
「それ、妹やねん」
 ユウの言い訳には答えずに、舞は言った。
「え……」
 ユウの顔からおちゃらけた笑みが消えた。
「ウチより三つ下で、愛子っていうねん」
「も、もしかしてその妹さんて……」
 ユウは今さらのように舞の顔を見た。
「そう、さっきのはずかしーかっこした子。あれが愛子やねん」
「さ、さっきの人が!?」
 ユウは言葉を失って立ち尽くした。
 さっきの人が舞さんの……
「ごめんなさい、速水くん。妹がおかしなこと言って」
「え……はは、そんな別に……ねぇ?」
 舞に謝られて嫌とは言えないユウ……
 胸の前で手を合わせ、いつものポーズで愛想笑いを浮かべながら、心の中で考えた。
(ま、舞さんより三歳年下ってことは、じゅ……十六歳……)
 てことは、妹さんのスケスケを見たってことは、十六歳の時の舞さんのスケスケを見るのと同じってことじゃ……
 バコッ
 振り下ろされた看板が再びユウの脳天に突き刺さった。
「な、なんかやらしー視線、感じたから、つい……」
 舞は看板の柄の部分をもちながら小さく呟いた。
「な……なにそれ……?」
 
 再び地面に突っ伏しながら、わが身の愚かさを嘆くユウだった。

                                  第81話 終


ようやく本題に入りました小説本文ですけど、火薬媚さんの言うように、もとから無駄なところを省いておけば、もっとすっきり読めたはずなのね、このお話。原作漫画に忠実に書きすぎました……ごめんなさい<(_ _)>
ブログでは私の元職場の動画とか、大学時代の学会のお話とか、いろいろ書いてみました。
記事URLはこちら→ http://risako-novels.cocolog-nifty.com/blog/2009/01/post-006a.html
ちなみに動画を撮った場所なのだけど、読者の方の指摘を受けて調べてみたところ、とんでもない事実が……
明日以降、またお話します……(-_-;)
ドイツから帰国した天才ピアニストは舞の妹・愛子だった……ユウくん、ショック!
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