ブックリスト登録機能を使うには ログインユーザー登録が必要です。
一方、調べものの成果があがって上機嫌のあや。そんなあやが出会った意外な人物とは……。
第76話 再会……!
 大学図書館、附属美術館、記念ホール、研究棟、レストラン―――ガラス張りの巨大な複合施設、上大オペラシティ。
「けっこー収穫あったなー。また来ようっと」
 その近未来的なプロムナードの大階段を軽い足取りで下ってゆく、あや。
「んっ?」
 そこであやは一人の女性の横顔に目を留めた。
 すらりとして上品な大人の女性、その色白の細い首、優雅な襟足の雰囲気……。
 見覚えがあった。
「ちょっ……ちょっと待って……!」
 あやは女性を呼び止めた。
 その声に反応して、ハイヒールの靴音がピタリとやんだ。
「あの、もしかして」
 あやは荒い息に胸をはずませながら訊いた。
 女性はゆっくりと振り向いた。
 その少女のような可憐な唇、物憂げで、それでいて意思の強そうな眼差し、左目の下の小さな泣き黒子―――
「か、かな先生……!」
 意中の人の姿をそこに認め、あやは思わず叫びだしていた。
「……あや……ちゃん?」
 彼女は小さく呟いた。
「やっぱり、かな先生だったんだ! お兄ちゃんにピアノを教えてくれてた……!」
 女性は何も答えなかった。
「かな先生、諏訪にいたんだ。もちろん、今でもピアノ、教えてるんでしょ?」
 けれど、あやはその雰囲気に気づかずに続けた。
「実はね、かな先生。お兄ちゃんも上大に通ってるんだ。知ってた?」
 女性は伏せていた目をかすかにあげた。
「そうだ、今度またお兄ちゃんにピアノ教えてあげてよ、先生。お兄ちゃん、あれから全然、練習さぼっちゃって……」
「―――ごめんなさい」
 女性はあやに背を向けて言った。
「え」
 あやは小さく声をあげた。
「悪いけど急いでいるの。失礼するわ、速水さん」
 それはゾッとするほど冷たい眼差しだった。
 まるで他人を見るような―――そんな突き放すような目。
「ま、まって、先生……!」
 女性は振り向かなかった。けれど、踏み出そうとした足を止めた。
「また会えるよね、かな先生」
 あやの言葉に女性は答えなかった。
 再び響く乾いた靴音―――二人の距離が広がってゆく。
 永遠に埋まることのない距離―――そんな予感があやの胸をよぎった。

 かな先生……

                                     第76話 終


昨日もお話したけども、月末でこのお話は完結なのね?
その時になって「うわー」と大騒ぎする方のないように、小説や文学、芸術一般について、私がどう解釈しているのかを縷々お話しすることにしたのね。
とりあえず、ブログのこのへんの記事も参考にしてみて下さいね<(_ _)>
記事URL→ http://risako-novels.cocolog-nifty.com/blog/2009/01/post-396f.html
ユウにピアノを教えていた、かな先生。その冷淡な態度にあやは……。
りさこの公式ブログです☆ 気になるお話、いっぱいです♪
りさこのギャラリー☆画像がいっぱい  小説の原作漫画やCGなど、いっぱいです♪
写真集〜「恋ひな」「恋ピア」 小説の舞台となった諏訪市の写真集です☆
りさこの動画のお部屋  りさこのいろんな動画がいっぱいです


+注意+
・特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
・特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)
・作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。