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秘められたユウの過去。今よみがえる、封印されたそれ……
第74話 悪夢
 パシャッ
 キシャッ
 パシャパシャァッ

 閃光に切り取られた少年の写真。
 それがゴシップ誌に載って、際限なく増殖をくりかえす……

「国際ピアノコンクールで審査員買収疑惑」
「コンクールを金で買った日本人―――現地の反感」
「日本人出場者全滅」
「激辛採点―――原因はやっぱりあの人のせい?」
「地元オーケストラ借り切りリハーサル、大物気取りのやりすぎピアニスト」
「天才少年(?)のAくん(14)」

 浴びせられた罵声がリアルな響きを伴って耳朶によみがる。

「みんなてめーのせーだよ。てめーが余計なことするからこんな目に」
「なんなのよ、あの演奏は? こんなことまで書かれて、もうおしまいよ!」
「死ね! あんたなんか死んじゃえ、バカヤロウ!」

 あわれむような周囲の囁きが傷ついた背中に追い討ちをかける。

「あの子が例の……でしょ?」
「あの年でかわいそーにね」
「しょうがないよ。自業自得よ……ね」



「うわあああああ、あああ!?」
 ユウは叫び声とともに布団を跳ね上げた。
 目に涙を浮かべ、荒い息に胸をつまらせながら。
 コチッ、コチッ……
 規則正しく時を刻む秒針の音を聞いて、ユウは初めてそれが夢だったことを悟った。
(ゆ、夢……か)
 青ざめた顔もそのままに、ユウはホッと安堵の息をついた。
 まだ現実に戻ってきたことが信じられなかった。
 自分はいまだ悪夢の中にいるのではないか―――そんな恐怖に凍りついた。
(今さらあの時の夢なんて……やっぱ、昨日、あやがあんなこと言ったから……)
 そんなことを思いながら、もう一度時計を見る。
「んっ?」
 卓上に添えられたメモに目がとまった。

 上大に調べものに行ってきます。
 お兄ちゃんも遅刻しないでね。
                               あや

「うっ、うわあーっ」
 ユウはカバンを手に玄関から駆け出した。
「そういえば、今朝、ミスコンのビラ配りの集合があーっ」

 やはり、妹がいなければ何もできないユウだった……。

                                     第74話 終


さて、他作品の宣伝で申し訳ありませんけれど、とある企画でホラーを書くことになりました。
前にも動画だけ紹介しましたけれど、ブログにもアップしたので、参考までにどうぞ<(_ _)>
動画ブログです→ http://risako-novels.cocolog-nifty.com/blog/2009/01/post-870b.html
明日以降、ちょっとしたお知らせがあります☆
世界の頂点よりも、まずは身の回りのことを……ダメなユウでした☆
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