女医の言葉に現実を看破されたあや。嗚咽に身をよじらせて……
第60話 号泣
「ちがわないわ、速水さん」
女医は嗚咽に身を震わせるあやに向かって言った。
「自分のしたことに嘘も本当もない」
「うくっ、えぐっ」
あやは子供のように泣きじゃくっていた。
「わけることなんかできないのよ。一人で絵に打ち込んでいたあの頃のあなたも、男たちを挑発し続けている今のあなたも」
あやは黙ったまま顔を覆って泣き続けた。
涙が止まらなかった。
「だけど」
そんなあやに女医は告げた。
「私は嫌いじゃないわ。そういうあなたも」
「えっ……」
あやは手で口を覆いながら、涙に濡れた瞳をあげた。
「よく見てごらんなさい」
女医は大写しにされたあやの写真を示しながら言った。
「どのあなたも、みんな一生懸命じゃない」
あやの涙が途切れた。
一生懸命―――
「あなたは精一杯やった。その一瞬一瞬があなたの本当の姿なのよ」
女医の言葉にあやの目から再び涙がこぼれ落ちた。
今度の涙は痛みのせいなんかじゃない。
あやは安芸子の腕にしがみつくと、その胸に額をうずめて泣いた。
安芸子は瞳を閉じて、あやを抱きしめた。
どうしてだろう? 涙があふれて……
第60話 終
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一瞬一瞬に輝くあやの人生―――本当の私。ようやく自分に素直になれたあやでした……
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