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過去と決別したはずのあや―――そして、グラビアアイドルとしての自分。
第59話 本当の私
 私はもうキモイ女なんかじゃない―――あやの叫び。

「今さらなーに清純ぶってんだよ、この露出狂女」
 女医の言葉があやを現実に引き戻す。
「あなたが雑誌の悩殺グラビアとやらで全国のスケベオヤジから金をまきあげてること、知らないとでも思った?」
 あやの表情が凍りつく。
「あなたも結構、大胆ね。そこまでして目立ちたいとはね」
 女医は「くすっ」と笑うと、あやの目の前に写真雑誌を投げ出した。
「そんな……わたし……!」
 あやは思わず口を手で覆った。
 今にもこぼれようとする嗚咽―――あやは小刻みに身を震わせた。
「別に言い訳しなくてもいいじゃない」
 女医はその上にさらにグラビア誌を積みあげた。
「あれも、これも、すべてあなた自身なんだから」
「ち、ちがう……そんなつもりじゃない!」
 あやは叫び声をあげて女医の顔を睨みつけた。
 けれど、女医の視線に耐え切れず、自分から目をそらした。
 伏せた目元に涙が浮かぶ。
「私だって、もともとこんなことには興味なかった」
 あやは蚊の鳴くような声で言った。
「だけど、賞をとった時、雑誌の人がインタビューとグラビアをやらせてほしいって。だから思ったのよ」
 あやはキッと顔をあげた。
「ブスとかキモイとかテキトー言ってるバカにわからせてやるんだって!」
「だったら、どうして否定するの?」
「え……」
 女医の言葉に、あやは涙でぐっしょになった顔を向けて応えた。
「見せつけてやりたかったんでしょう?」
 女医は言った。
「スケベで男好きのするあなたの本当の魅力を」
「ひどい」
 あやの目からこらえきれずに涙があふれだした。
「そんな言い方って……!」
「どんな言い方をしても同じじゃないかしら?」
 女医は表情を変えずに続けた。
「あなたが自分の賞歴と外見を売り物にしたのは本当のことでしょう?」
 女医は、ビキニ姿で水しぶきをあびるあやの写真を手にとった。
「周囲はそういう見世物のあなたに振り向いた。それまでのあなたには誰も見向きもしなかったのに……ね」 
 女医は静かに雑誌を閉じた。
「まあ、それならそれでいいじゃない。お色気アイドル画家ってことで認めてもらえるなら」
「ちがう」
 あやは否んだ。
「そんなの本当の私じゃない! そんなの……」
 
 本当の私―――そんなの、私じゃない……!

                                   第59話 終
  

相変わらずブログのサイトマップで遭難する人、多いみたい……。
それとも、故意なの!? やだ、そんなの!!
悩殺グラビアの自分を否定するあや……。本当の自分とは?
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