ブックリスト登録機能を使うには ログインユーザー登録が必要です。
セルフヌードに抵抗を感じるあや。女医は……
第58話 キモイ女
 女医の視線を受けとめることに耐え切れず、あやは気圧(けお)されたように目をそらした。
 うっすらと目元に涙が浮かぶ。
「ふ」
 女医の目がかすかにゆるんだ。
「速水あや……やはり、この程度か」
「え」
 あやは伏せていた顔をあげた。
「しょせん、ガキはガキ……か。大したことなかったわね、奥澤記念ビエンナーレも」
 傷つけられた栄光―――あやのプライド。
 同時に甦る苦い記憶……


「あのさー、速水さん」
 それは修学旅行の班分けの時の出来事だった。
「もしよかったら、班分け、ルリと代わってほしいんだけど……なんて」
 男子生徒はこともなげにそう言った。
ルリは黒板消しを片手に「ごめんっ」とあやを見て手を合わせた。
「どう? ダメかな」
 代わる代わるあやに言い寄る男子たち……
 黙っていたあやが口を開く。
「それって私はいらないってこと?」
  
「……そーそー」
 扉の向こうから聞こえてくるクラスメイトの会話。
「キモイんだよ、アイツ。なにかっつーと反抗的でさ」
「そーそー、あの性格は相当イタイよ」
「だって、アイツ、友だちとかいねーじゃん」
「でも、ちょっとだけ、かわいくね?」
「マジかよ、おまえ、あんなブス」
「あんなキモイ女、女じゃねーって」
「ハハハ、ひでーな、それ」

 転機はその筆先から突然に生まれた。
 パシャッ
 キシャッ
 フラッシュの閃光が壇上のあやに降り注ぐ。
『―――発表します。大賞は……』
 司会者の声が高らかにあやの名前を告げた瞬間―――
 胸元と肩をあらわにした黒のローブ・デコルテに身を包み、颯爽と大賞楯を受け取るあやの姿が、オーロラ・ヴィジョンに大きく映し出された。
 新聞各紙はこぞって現役女子高生の快挙を書きたてた。
 翌日の朝刊を飾るあやの写真、週刊誌のグラビア、特集記事……
『大賞は高校生・東京の速水さん』
『卓越した構成力―――専門家の評価』
『スクープ! 16歳・美少女画家の素顔』
『悩殺ボディ・噂の美少女画家は現役女子高生』
『アッとおどろくアイドル画家登場―――偏差値もアッとおどろく用賀(ようが)高校』

 ―――あれが、速水さんでしょ?
 廊下で囁く女子生徒の声。
「この前、雑誌のグラビア、出たんだって」
「えーっ」
 賛美と羨望の眼差し―――
「速水さん、美術教師の田中より、絵うまいんだって」
「だって、どこかの美術館にコレクションされたんでしょ、あの人の絵」
「バスケ部の高井先輩、速水あやに告ったんだって」
「もう、マジやべえって、この前のグラビア」
「いーよな、速水あや」
「なんか、他の先生たちも頭あがんないらしいよ」……

 もう私はキモイ女なんかじゃない。
 キモくなんか……

 あやは拳を握りしめた。 

                                     第58話 終
 

ブログのサイトマップまで来て迷っちゃってる人、多いんです……。
せめて記事までたどり着いて下さいね(:_;)
記事はここだぉ?
→ http://risako-novels.cocolog-nifty.com/blog/blog_index.html
キモイ女―――あやの意外な過去……!
りさこの公式ブログです☆ 気になるお話、いっぱいです♪
りさこのギャラリー☆画像がいっぱい  小説の原作漫画やCGなど、いっぱいです♪
写真集〜「恋ひな」「恋ピア」 小説の舞台となった諏訪市の写真集です☆
りさこの動画のお部屋  りさこのいろんな動画がいっぱいです


+注意+
・特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
・特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)
・作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。